【人物図鑑】まちや地域のアナバ(穴場)で一点突破、価値創造で全面展開を図る

【画像】株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役 橋爪大輔

株式会社ダイスプロジェクト
代表取締役
橋爪大輔

【画像】株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役 橋爪大輔
株式会社ダイスプロジェクト
代表取締役
橋爪大輔

【はしづめ・だいすけ】
1968年12月1日生。大分県宇佐市出身。広島工業大学卒。建築設計事務所と都市デザイン会社勤務後、2002年4月ダイスプロジェクトを設立、代表取締役に就任。設立時に「作らづに創る」をテーマにしたリノベーション事業であるアナバプロジェクトを立ち上げる。2012年10月にメディア事業 として〝活動型〟Webマガジン『アナバナ』を創刊して、発行人に就任。2015年2月同社とNPO法人、株式会社2社の代表と共同で社会と障害福祉の柔軟な関わり方を提案する事業を手掛ける株式会社ふくしごとを設立して、代表取締役に就任。

【3Points of Key Person】

まちをデザインするクリエイティブチームの代表を務める
◎ 建築事務所を経て、〝建物をつくらない〟ビジネスを創造
◎ 地域とツーリズムをテーマに新たなチャレンジに挑む

まちづくりと情報メディアで地域が動き出す

【画像】株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役 橋爪大輔

強いブランドをつくる《事業企画・商品企画》、新しい流れをつくる《開発・都市デザイン》、心地よい場をつくる《建築・空間デザイン》、伝わる仕組みをつくる《コミュニケーションデザイン》、新しい体験をつくる《イベント・セールスプロモーション》――。
まちをデザインするクリエイティブチーム〟を自認する株式会社ダイスプロジェクトの橋爪大輔代表取締役は、幅広い事業領域においてビジネスを仕掛ける。
FUKUOKA RESORT NEXT農産漁村地域ビジネス創出推進事業、川端夜祭、博多の食と文化の博物館ハクハク、21世紀博多織JAPANブランド事業、大名小学校跡地計画、UR団地再生事業、JA八女ブランディングなどを手掛けてきたダイスプロジェクトは、「5つの《専門技術領域》で企業や地域の課題解決や価値創造を手掛ける一方、リノベーションなどの不動産事業、Webマガジン運営、福祉関連の3事業を自社企画の《自主事業》として取り組んでいる」と、自らの事業領域を構造的に解説する。

居心地の良いBARや個性的な雑貨店などを都市のアナバ(穴場)とし、既存建築物を改築工事で価値を高めるリノベ―ジョン事業『アナバプロジェクト』を創業時に立ち上げた。同事業は今日、〝場〟やエリアを再生させる不動産事業となっている。
「これからの都市の在り方として、ハードへの投資を軸にまちを変えるのでなく、情報や体験によってまちを変化させて価値を見出せる」と考える橋爪代表は、〝情報デザイン〟という視点でメディア事業に取り組む。
〝九州のワクワクを掘り起こす〟活動型Webマガジン『アナバナ』は、九州各地の食材や人を情報発信する。そして、取材した生産者と都市の消費者をつなぐイベント『穴バー』、九州の食や道具を集めて生産者とバイヤーが向き合う見本市『皿の上の九州』などのイベントも仕掛けた。
今回のコロナ禍でイベント中止を余儀なくされたものの、生産地を訪ねてYouTube配信する『アナバナチャンネル』、過去に取り上げた人たちの近況や挑戦、食材を取り上げる『#のぞき穴通信』などの新たなWebメディアが立ち上がった。

一方、持続可能なまちや地域のサポートをテーマに掲げて、障害者と社会をアートでつなげるNPO法人やデザイン事務所、Web・システム開発会社と共に『株式会社ふくしごと』を設立して、福祉商品の企画・開発や販売活動を支援していく。
「面白く楽しいと、人は自然と集まって来て、ムーブメントになる」「楽しいや好きなど直感で始めたプロジェクトは、独自性や稀少性のあるサービスや魅力づくりになって競合も生まれにくい」と語る橋爪代表の表情から笑みがこぼれる。

原点は建築家の建物をつくらないビジネス!?

【画像】株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役 橋爪大輔

「建物を建てるしかないことが建築設計事務所にとってビジネス上のジレンマとなる」「建物や社会インフラに満ちあふれた今日、あえて建物をつくらなくても成立するビジネスをつくろう」と決意した橋爪代表は創業した。
そして、〝事業をつくる〟という観点から建築やグラフィック分野などに限定されていたデザインの手法をビジネス領域に持ち込むという試みを通じて、アナバプロジェクトをはじめとする事業やサービスなどを生み出していく。

「日本がGDPで世界3位となった2010年は、当社にとってターニングポイントになる年だった。3年掛かりで創業時からの業務を見直して生み出したビジネススタイルによって以降、順調な事業成長を遂げている」と、目を細める橋爪代表は、2012年にWebマガジン『アナバナ』を立ち上げた。
一方、個人宅向けリノベーションも手掛けていたアナバプロジェクトをBtoBビジネスに特化させた橋爪代表は、「祖業だった個人宅のリノベ―ションから撤退という決断になったものの、地域・自治体や事業者を対象としたことで地元の人たちとの対話やワークショップなどを通じた〝場〟の再生やエリアの再生につながった」とする。

メディア事業であるアナバナは、2006年に紙媒体として創刊した。その後、一時休刊した後にWebマガジンとして復活させた橋爪代表は、「何事もへこたれずにチャレンジしていると、いつかどこかで失敗から成功が生まれる」とする。
事業企画や商品企画、企業の戦略サポートなどの《企画を考える》こと、まちや建築・空間などで、アイデアを《カタチにする》こと、販売促進・広告・プロモーションなどの《情報発信する》ことに打ち込む橋爪代表は、「20世紀は、タテ割りにみられるようなセパレート的に効率を追求する時代だった。一方、21世紀はいろいろミックスしながら、まちや地域の豊かさを事業ともつなげ、継続性を追求していく時代だと考える」と、楽しいや好きという直感を起点に走り続ける。

未来への輝きを感じる地域へのツーリズムに挑む

【画像】株式会社ダイスプロジェクト 代表取締役 橋爪大輔

「今日、自分の好きな場所で仕事をしながら、その場所をもっと面白くでき、お金にもなっていく。未来への光や輝きを感じさせる地域には、来訪者や移住者らがやって来るので今後、地域とツーリズムをテーマに新たなチャレンジをしていきたい」と意欲的な橋爪代表は、「モノゴトの目線を変えてみると、違った見え方ができて、新たな価値も創造できる」との見方を示す。

「多様性が地域に豊さをもたらし、地域が成長する原動力になる。その半面、多様性にどれだけ寛容になれるか、いかに経済とつながっていくのが課題だ」とする橋爪代表は、〝多様性〟というテーマと向き合いながら、価値創造に挑む。

DATA

名 称:株式会社ダイスプロジェクト
住 所:福岡市博多区千代1-20-14
創 業:2002年4月
代表者:代表取締役 橋爪大輔
事 業:事業・商品企画、開発・都市デザイン、建築・空間デザイン、コミュニケーションデザイン、イベント・セールスプロモーション、メディア事業、不動産事業ほか
URLhttps://www.diceproject.com/

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