【人物図鑑】幼老共生のチアダンスで元気づくり・地域づくり・幸せづくりへ導く

【画像】古庄美樹

株式会社 MIKI・ファニット
代表取締役
古庄美樹

株式会社 MIKI・ファニット
代表取締役
古庄美樹

【ふるしょう・みき】

1967年2月7日生。福岡県筑後市出身。福岡県立八女高校卒~福岡大学体育学部卒。九州大学大学院統合新領域学府(ユーザー感性スタディーズ専攻)在学中、九州大学ビジネス・スクール修了(MBA)、九州大学地域政策デザインスクール修了。大学卒業、結婚して専業主婦となり、出産後にボランティアで運動教室の体操講師を始める。その後、NHK講師をはじめ専門学校講師や運動教室の講師を経て、2006年7月に株式会社MIKI・ファニットを設立し、代表取締役に就任。趣味は山登りと旅行。著書に『前傾姿勢でいいじゃない〜ママ明日から社長になるけん』(西日本新聞出版)『ファニットリズムでどうぶつ体操』『子どもとママのやる気を引き出す運動遊び集』がある。

【3Points of Key Person】

子ども・子育て世代向けとシニア向けチアダンス・運動教室を運営
◎ 専業主婦が運動指導のボランティア活動を経て起業
◎ 個人向け事業に加え、法人対象・職場向け事業も開始

子育て世代&シニア向けのチアダンス

【画像】古庄美樹

子供とシニアとの幼老共生━━。
専業主婦だった女性が、子ども向け運動講師を始め、自ら起業して子育て世代向けのチアダンス教室を始めた。
その後、50~80代の中高年向けにチアダンス『グランチア』も立ち上げた。
「グランチアの女性メンバーは、どんどんきれいになって若返る。身体的な運動に加えてメンタル的でも〝心理的ウエルビーング〟になる」
人生百年時代が叫ばれる中、株式会社MIKI・ファニットの古庄美樹代表取締役は、たしかな手ごたえを感じる。

秋の気配も深まった2023年10月中旬の昼下がり。
『さいとぴあ』の愛称で親しまれる福岡市西部地域交流センターの多目的ホールでグランチアの全国大会出場チームとスペイン派遣チームとの合同練習を行った。
その輪の中に古庄代表自身も飛び込んで指導した。
和気あいあいとした雰囲気の中、はつらつとした表情を前向きな姿勢をみせる彼女らを前に「チアダンスでのポンポンは、彼女らにとって〝仮面ライダーの変身ベルト〟になる」と、古庄代表はいたずらっぽく笑う。

一方、子ども向け運動指導で30年余りのキャリアを持つ古庄代表は、「MIKI・ファニットでは、幹(芯のつよさ)を育てFUN(楽しい)&FIT(こころ体元気)になる健康サービスを提供する」ことにこだわる。
子ども向けチアダンス教室では、保護者である母親らも一緒に参加し、保護者間での交流も生まれている。

企業経営で多忙な中、古庄代表は現在、2度目の大学院生として九州大学大学院統合新領域学府に通う。
そして、2020年スポーツ庁から委託された脳の疲労と運動効果の生理学的エビデンスをさらに心理的ウエルビーングからも明らかにする研究を、修士論文として発表する予定だ。

専業主婦がボランティアを経て起業

【画像】古庄美樹

子どもの頃から運動好きだった古庄代表は、体育教員を目指して福岡大学体育学部へ進学した。
「入学してみると、周りはオリンピック候補選手やインターハイの出場選手らばかりで落ちこぼれた」と、苦笑いする古庄代表は、「その分、できない人の気持ちがわかるようになった」ことも明かす。

大学時代はバスケット部に所属するも、部活中に靭帯を断裂。リハビリ代わりにとエアロビックダンスに出会う。
就職後も大けがを負う交通事故に遭う。
結婚して、専業主婦になる。1男1女に恵まれたものの、家庭訪問で来た保健師の「お変わりはありませんか?」の一言に号泣した。
変化の無い日々に鬱積していた古庄代表は、「自分にしかできないことをやろう」と決意し、子連れで体操のボランティア講師を始めた。

その後、健康運動指導士の資格を取得して保健所主催の健康講座の講師も勤める。
「指導が面白い」との評判を聞きつけたNHKから健康講演会の講師依頼の話が舞い込んだ。
講師経験は無かったものの、「来た球は打つ」を信条とする古庄代表は初講演でクリーンヒットを放つ。以後10年間、NHKからの仕事を手掛ける端緒になった。

そして、古庄代表が、子ども運動指導技能の協会へ学びに行くと、教育ディレクターを委嘱されて協会業務に従事した。スポーツ系の専門学校が相次いで開校していた時期であり、協会を辞めて非常勤講師やサークル講師に専念した。
その後、講師仲間らと一緒にレクリエーション系のボランティア団体を立ち上げ、代表に就く。2006年7月、会社を設立した。

当時、エアロビクスダンスは大会志向だったため、古庄代表は新たな模索でチアダンスと出会う。
のちに映画『チア☆ダン』〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜となった関係者と知り合い、「福岡で一早くチアダンス教室で起業したこともあって当時、珍しがられた」と、古庄代表は振り返る。
もっとも〝素人社長〟を自覚して起業後、創業セミナーへ通ったこともあるとか。

起業して営利企業になると、従来利用していた公共施設を使えなくなった。
このため〝子どもたちが来てくれることで喜んでくれる場所〟を模索した古庄代表は、イオン九州と掛け合う。
経営陣を相手に《子ども1人が来ると、両親や祖父母・親戚ら大人8人が応援に来る》という独自理論を展開した。
すると、経営陣は共鳴して会場提供に合意した。

その後、百貨店やモールとの提携で教室を広げる。
もっとも、中には採算上の問題で閉鎖した教室もあり、「明日からウチの子は、どうしたらいいの?」という保護者からの言葉が胸に刺さった。
そして、「教室は、ライフラインだ」と自覚し、自らの実力不足を大いに反省したという。
その後、九州大学ビジネス・スクールでMBAを取得した古庄代表は日々、学びながらチャレンジを続ける。

新しい姓で気持ち一新、 対法人向け新規事業を構想

【画像】古庄美樹

「今後の私の仕事は、後進のために草を刈って道を拓くこと」と、古庄代表は語る。
そして、従来の対個人向けサービスに加え、大学院での研究成果も踏まえて対法人向け事業にもアプローチする考えだ。

「一般企業をはじめ、メーカーや介護施設の現場で人間関係は重要だ。特に対人職の場合、さらにウエイトは高まる」
古庄代表は今後、職場単位での運動指導や対話によるチームビルディングを通じて〝辞めない職場〟づくりや健康経営の実現に取り組む。

「『どうせ私なんか』という言葉を『私にもできる』『年齢は関係ない』に変えていきたい」と、古庄代表は意欲をみせる。
旧姓鹿野から結婚後に太刀山になり、離婚後も著作刊行があって太刀山を名乗った。
2023年7月、高校時代の同級生との再婚を機に新郎の姓に改めた古庄代表は、「気持ち的にすっきりした。みんなが後押しをしてくれた」と目を細める。

「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前を向いてしか生きられない」━━。
19世紀の思想家キルケゴールの言葉を座右の銘とする古庄代表は前向きに突き進む。

DATA

名 称株式会社MIKI・ファニット
住 所:福岡市西区内浜1-7ウエストコート姪浜(西部スポーツガーデン2F)
設 立:2006年7月7日
代表者:代表取締役 古庄美樹
事 業:子ども・シニア向けチアダンス教室
URLhttps://www.mikifunnit.com/

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