【人物図鑑】中洲で働く女性たちに寄り添いながら、子どもたちの未来を育んでいく

【画像】草野真由美@ふくおか人物図鑑

中洲大学
代表
草野真由美

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【くさの・まゆみ】
1966年8月28日生、長崎県諫早市出身。両親の離婚に伴って母と共に福岡市へ移り住み、18歳の時から中洲で働き出す。1991年『クラブエリカ』をオープン。2005年に有限会社喜一プロジェクトを設立。2016年、内閣府所管の夜間保育園『マミーハウス』を開園。同年、駿台甲府高校(通信制課程)を卒業し、近畿大学九州短期大学通信教育部に学ぶ。2020年、保育士試験を一般から受験して合格し、資格を取得。『クラブエリカ』をコロナ禍前に売却。スナック『メンバーズエリカ』をオープン。同年12月『みんなの学校 さくらんぼ先生のひみつ基地』を福岡県糸島市に開設。2021年2月、中洲大学を本格的に立ち上げる。保育士をはじめ心理カウンセラーやボディケアセラピストなど資格多数。

【3Points of Key Person】

中洲で働く女性のための教育支援プロジェクト『中洲大学』を開講
◎ 中洲のシングルマザーら向けに内閣府所管の夜間保育園を運営
◎ 次世代型フリースクールを開設し、新たな学校づくりを構想中

中洲で働く女性やその子どもに寄り添って応援する

九州最大の歓楽街・中洲━━。
那珂川と博多川に挟まれた細長くて狭い三角州には、2,000軒もの飲食店がひしめき合い、1万人もの女性が働いているといわれる。

【画像】草野真由美@ふくおか人物図鑑
中洲大学を取り上げた番組での一コマ(NHK放映画面より)

中洲で働く女性のための学びの場であり、仲間づくりの機会といえる。そして、自分自身のスキルアップやキャリアアップをはじめ、起業・転職の〝学び舎〟が、『中洲大学』というカタチになっている」
中洲でお店を営みながら、内閣府所管の夜間保育園を開設し、さらに糸島でフリースクールを運営する草野真由美中洲大学代表は、凛とした表情で優しくほほ笑む。

草野代表は、以前から他店のママやホステスから経営相談や人生相談をされることも多かった。
今回、コロナ禍で働き場を失った女性らも含めた支援プロジェクトであり、女性の職業訓練も目的に立ち上げた取り組みが、中洲大学だ。
中洲大学では、キャリアコンサルタントによる職業適性や人生の目標を設定するキャリアプラン講座をはじめ、心理学関連の講座やスナック起業塾も開講している。
「中洲の女性はコミュニケーション能力に優れ、機転も利くので、セラピストとしての適性もある」
ユニークな見方を示す草野代表が主宰する中洲大学では、保育士や正社員の営業職への転職者らも複数出ており、着実に成果が実りつつある。

一方、中洲のママが開園した日本初となる〝水商売〟のシングルマザーを支える内閣府所管の夜間保育園が『マミーハウス』だ。
テレビや新聞などに取り上げられることも多い同園は、草野代表自身にとっての衝撃的な出来事で始まった。
30代半ばでわが子を得た草野代表は、赤ん坊の預け先を探してベビーホテルを訪れた。
すると、放置同然で寂しそうに母親を待つ子どもの姿を見て、自身の幼少期の記憶がよみがえった。
「かつて私自身が感じていた寂しさや悲しみをこの子らに抱かせてはいけない」と、子どもに寄り添って見守る保育園づくりに奔走する。

自然豊かな糸島市に次世代型フリースクールを開校

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かっぽう旅館を営む長崎県諫早市の家庭に生まれた草野代表は、家業で両親が忙しい中、家政婦を相手に育った。
幼少期から寂しさを抱えていたという草野代表は、その後両親の離婚に伴って母と一緒に福岡・博多へ移り住んだ。

思春期には、中洲でホステスとして働く母親とぶつかり、高校へ進学せずに家を出た。
飲食店でアルバイトをした後、18歳の時にホステスとしてデビューした。
20歳代半ばで『クラブエリカ』をオープンさせる。
その後、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災での自粛ムードも経験した草野代表は長年、移り変わる中洲の姿を見守ってきた。
この間、結婚して一男一女を授かる一方、離婚も経験した。

「もともと好奇心が強く、いろいろな学びや学校も好きだった」と、目尻を下げる草野代表は、「学びをもとに行動すると良い結果をもたらし、心も豊かになることに気づき、仕事や暮らしに役立つ学問や基礎教養の大切さを知った」ことを明かす。
三十路を過ぎてから本格的に勉強し始め、中洲で夜働きながら通信制高校、短大の通信教育部に学んだ。
保育士の資格は一般受験で合格して取得した。

その半面、長男は幼少期から怒りぼく、多動気味だった。
小学校2年生頃から暴れ始め、ゲーム障害や不登校になり、長くて辛い時間を親子で過ごした。
そうした中、「問題は息子でなく、私自身にあり、〝写し鏡〟になっていることについて、心理学を学んで気づいた」ことが、母子にとって転機になった。
そして当時、中学3年生だった息子は自らの意思で高校へ進み、いま起業を目指して専門学校で学ぶ。

「子どもや大人に成長のきっかけを与える学びや教育は、素晴らしくすてきなことであり、以前からやりたかった」と目を細める草野代表は、自然豊かな糸島市にフリースクール『みんなの学校 さくらんぼ先生のひみつ基地』を立ち上げた。
《大自然の中でビジネスを学ぶ》をコンセプトとする次世代型スクールでは、自らの〝好き〟や〝得意〟を生かして仲間と一緒にビジネスを生み出し、生きる力を育んでいく。
草野代表は、「かつて私たち親子が必要とした多様な学び、そして愛情あふれる安心できる環境づくりに努めていきたい」と胸を膨らませる。

「謙虚さや感謝を忘れなければ、人生はうまくいく」

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『中洲大学』、内閣府所管の夜間保育園『マミーハウス』、次世代フリースクール『みんなの学校 さくらんぼ先生のひみつ基地』……。
これらに続く新たな学校として、草野代表は心理学系のスクールづくりを構想として温める。持ち前の好奇心と人付き合いの良さから何気なく受けた心理療法をきっかけに心理学の奥深さに魅了された。

「幼少期に寂しさを潜在意識に刷り込んでしまうと、その後の人生が生きづらくなることを知った。私自身、以前生きている実感がなく、走り続けなければならないという心境だった。心理学を学んで親の有り難みや癒しの大切さを実感し、大きな転機になった」と草野代表は瞳を輝かせる。
「謙虚さや感謝を忘れなければ、人生はうまくいく」
幾多の荒波や困難を乗り越えてきた草野代表は、新たな目標に向けての一歩をしなやかに踏み出していく。

DATA

名 称:中洲大学
住 所:福岡市博多区中洲2-3-1 中洲Fビル5階 メンバーズエリカ内
創 業:2021年2月
代表者:代表 草野真由美
事 業:飲食事業・夜間保育事業・教育研修事業
URLhttps://nakasudaigaku.com/

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