【人物図鑑】中小企業診断士が大学客員教授として挑む産学官・事業コーディネート

【画像】中小企業診断士、福岡大学産学官連携コーディネーター客員教授  中川普巳重 

中小企業診断士
福岡大学産学官連携コーディネーター客員教授
中川普巳重 

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中小企業診断士、福岡大学産学官連携コーディネーター客員教授
中川普巳重 

【なかがわ・ふみえ】
福岡県春日市出身、1967年9月16日生、福岡女学院高校卒~福岡大学経済学部産業経済学科卒。1990年株式会社TKC九州情報センターに入社してインストラクター業務を担当する。1992年株式会社コム・ブレインズに転じ、業務ソフトに関わるコンサルティングを手掛ける。1996年株式会社シーマックスを設立して取締役、1999年株式会社リテール・プランニング・サポートを設立して代表取締役に就任。2002年京都リサーチパーク株式会社に転じ、EBSセンター所長や成長企業支援部チーフインキュベーションマネジャーなどを歴任。2010年中小企業診断士として独立。公益財団法人京都高度技術研究所でコーディネーターをやりながら、個人の中小企業診断士として専門家派遣員や企業研修講師などを務める。2013年に「平成25年度イノベーションコーディネータ表彰」イノベーションコーディネータ大賞・文部科学大臣賞を受賞。2015年福岡大学産学官連携センターの産学官連携コーディネーター客員教授に就任した。

【3Points of Key Person】

◎中小企業診断士や産学連携の客員教授などとして多方面で活動
◎イノベーションコーディネータ大賞・文部科学大臣賞を受賞
◎日本での活動モデルをアジアなどの海外での展開を志す

経産省管轄の中小企業診断士が〝文科大臣賞〟を受賞した

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「OLを振り出しに経営コンサルティング会社社長になって、大企業子会社での勤務歴があり、さらに自治体外郭団体スタッフも務めて、大学客員教授という〝ひとり産学官連携〟の実例はそうそういないと思う」。
中小企業診断士であり、福岡大学の産学官連携コーディネーター客員教授を務めながら、ITコーディネータや生涯学習開発団体認定コーチの資格も持って活動する中川普巳重さんは柔和な表情をみせる。

中小企業診断士としての経営品質の確保をはじめ、経営におけるIT利活用をITコーディネータとして取り組み、さらにコミュニケーション能力の向上を目指したコーチングやリーディングなども手掛ける中川さんは、「ビジネスコーディネーターとして、単につなぐだけでなく、自ら触媒となって融合させることで化学反応を起こして、新たな価値を創造していく」と意欲をみせる。
具体的なイメージとしては、人と人、機能と機能の間を飛び回る〝ミツバチ〟のような存在と考える中川さんは「いろいろつながって連鎖していくことに面白さがある。常にいろいろリンクしていくように心掛けている」と相好を崩す。

一連の活動においては365日・24時間支援をはじめ、企業に寄り添う伴走型の支援スタイルに加えて、ティーチングやコーチングを融合させながら、女性目線で確立した独自の手法は高い評価を得ている。
そして、2013年11月経済産業省管轄の国家資格である中小企業診断士の資格保持者が、文部科学省管轄の独立行政法人科学技術振興機構による『イノベーションコーディネータ表彰』においてイノベーションコーディネータ大賞・文部科学大臣賞を獲得するという〝快挙〟も成し遂げた。

ヒアリング力を武器に構造化・見える化でむちゃ振りに挑む

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福岡市内の女子高に通う18歳だった時に書店で手に取った本がきっかけになって、中小企業診断士を目指し始めた中川さん自身にとって、何不自由なく育った祖父の事業失敗を目の当たりにして「《知らないということは、本当に怖いことだ》と痛感した経験が、いまの仕事の原風景にある」と振り返る。

地元の福岡大学を卒業した中川さんが選んだ就職先は、中小零細企業を対象とする税理・会計事務所に向けた情報サービスを提供する株式会社TKCだった。新入社員研修最終日、人事担当者が新入社員一人一人に宛てた手紙に書かれていた《あなたは人の話を聞くのがうまい》という文面を読んだ中川さんは自分の強みとして意識し出した。
そして、新人時代から重ねてきた経営者との面談では、「ヒアリングしながら、経営課題を読み解いて、経営者といきなり本質に踏み込んで話ができた。本質を読み取る力に加えて、その内容を構造化しながら〝見える化〟できた点も自分自身の強みだと思う」とする中川さんは、ヒアリングした内容を文字に書き表してツールを使って構造化することで経営者と課題や思いを共有することに努めた。

「〝見える化〟することで考えが深まり、方針や構想を進化させることができる」と説く中川さんが、中小企業診断士試験に合格したのは30歳の時だった。
その後、仕事が忙しくなる一方で在籍していた資格取得スクールで受験生らの前に講師としても教壇に立った。多忙を極めながらも、「1時間の授業に最低3時間の予習を自らに義務付けた結果、私自身の受験生時代よりも講師になってからの方が勉強した」と苦笑いする。

中小企業診断士として、また経営コンサルティング会社社長としても伸び悩みを感じていたタイミングで声が掛かったのが、大阪ガスが立ち上げた全国初の民間運営リサーチパークである京都リサーチパーク株式会社に関する案件だった。
最初の打ち合わせで出張した中川さんは協議の結果、京都リサーチパークへの転身を決断し、京都での住まいも決めて出張から帰ってきた。そして、京都を拠点に大企業の社内ベンチャー支援やインキュベーション施設の立上げや運営を手掛けた。 

その後、科学技術の振興と企業経営支援を目的に掲げて京都府と京都市が経済界と一緒に設立した公益財団法人京都高度技術研究所に移籍した。コーディネーターをやりながら、個人の専門家派遣員や企業研修講師、コーチングを手掛けて、イノベーションコーディネータ大賞も受賞した。
2014年に再び福岡へ拠点を戻したが、「むちゃ振りの仕事は学びのチャンスだと思って、やる気が出る。何よりも自分自身が試されている気持ちになって、何事にもチャレンジしていく性格だ」と自己分析する中川さんは2015年4月、母校である福岡大学が開設している産学官連携センターの産学官連携コーディネーター客員教授に就任した。

エネルギッシュに活動・実現できる〝魔法の方法〟とは…

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もらったメールへの未返信、他人に依頼した案件状況の未確認、書類の未整理、伝えるべきお礼の未実行、汚れたモノや壊れたモノの放置……。
「これらの〝気がかり〟なモノがあると、気にかかるたびにエネルギーが消耗してしまう。人は何気に毎日エネルギーを消耗している」と考える中川さんが実践している解決策は、気がかりなコトや未完了事項を書き出すことだ。
そして、すぐにできることから着手して、終了事項を消し込んでいくことで達成感を得られるとする中川さんは、「実行すると、心が落ち着き、時間ができて、やりたいことにエネルギーを向けることができるので行動力もアップする」とする。

今後、国内だけでなく、アジアをはじめとする海外へも活躍の幅を広げたいと考える中川さんは、「自分の未来は自分自身でつくる」「人間はできることしか思いつかないので、意識が向かえば実現できる」と、自らの人生において勇躍を期す。

DATA

住 所:福岡県春日市白水ヶ丘
創 業:2010年4月
代表者:中川普巳重
事 業:中小企業診断士、ITコーディネータ、(財)生涯学習開発団体認定コーチ、産学官連携コーディネーター客員教授など

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