【人物図鑑】創業支援・事業再生を手掛ける経営コンサルトの原点は自らのルーツだった

【画像】児玉泰雄@ふくおか人物図鑑

兒玉中小企業診断士事務所
所長  
児玉泰雄

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兒玉中小企業診断士事務所
所長
児玉泰雄

【こだま・やすお】
北九州市出身、1974年4月2日生、玉川大学文学部卒。学卒後、印刷・
広告代理業に従事して、新聞社系広告代理店にUターン就職。2008年中小企業診断士試験合格。2015年4月兒玉中小企業診断士事務所を開設。現在、中小企業基盤整備機構チーフアドバイザー、福岡県中小企業振興センター事業支援専門家、福岡県事業引継ぎセンター事業承継支援専門家、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業登録専門家など。

3Points of Key Person

◎中小企業診断士として起業家支援や事業再生を手掛ける
◎日本の流通業界で立役者だった祖父の存在に導かれる
◎自助努力に基づく新たな事業承継やM&Aに挑戦する

新規事業・創業支援や事業再生の現場で奮闘

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日本におけるスーパーマーケットの嚆矢であり、業界初の24時間営業などの先駆的な経営で知られた丸和。同社創業者を祖父にもつ孫がいま、経営コンサルタントとして、ベンチャー企業支援や事業再生に打ち込んでいる。

兒玉中小企業診断士事務所児玉泰雄所長は、「もともと父方は医師・歯科医師の家系なのに対して、母方は事業家の家系で、丸和の創業者だった外祖父の吉田登は≪仕方ない≫という言葉を非常に嫌う人だった」と明かす。

かつてダイエー創業者の中内功氏も視察に訪れた丸和は日本経済の発展とともに着実に事業を拡大したものの、後継者だった息子の死去に加えて、バブル崩壊後の〝失われた20年〟における消費低迷のあおりを受けて経営不振に陥る姿を目にして、「企業経営のまずさ以上に自分自身の無力さを感じた」ことが中小企業診断士を志すきっかけとなった。

現在、兒玉中小企業診断士事務所では、主にベンチャー企業をはじめとする新規事業育成や、経営不振に陥った企業を対象とした事業再生事業を手掛ける。
新規事業育成で特に力を入れているのが、中小企業基盤整備機構の新連携事業だ。新連携事業とは、異分野の2社以上の中小企業が各社の強みを持ち寄った事業計画を国が審査・認定することで金融支援や販路開拓支援などを得られる。

新連携事業では、事業計画書のブラッシュアップや認定後のフォローアップを担当する。北九州のコワーキングスペース秘密基地が全国的なネットワークを活用して、日本各地のフリーランスをサポートする新連携事業も支援先の一つだ。  
一方、事業再生では「つぶれるかもしれない」という不安をひとりで抱え込む経営者を励ましながら、再建計画書を作成して一緒に金融機関へ説明にいくことで金融支援も得ながら経営再建に取り組んでいる。これらの案件は、信用保証協会や金融機関などからの相談として持ち込まれることが多いという。

やり遂げた仕事の〝報酬〟は、次の仕事だった

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大学を卒業して以来、印刷・広告代理業界に身を置いた児玉所長は中小企業診断士合格後も引き続き、流通・小売業界向け折込チラシを用いた販売促進や営業支援を手掛けた。
独立のきっかけは、「お金ありきの販売促進は、どうしても打ち上げ花火になりがちで、経営的に正しいのかと違和感を覚えた。そして、もっと上のステージで経営者のパートナーになりたいとの思いが強くなった」からだった。
最初、中小企業診断士協会への登録から始まったが、独立時に取引先3社から顧問契約の申し出もあって、順調なスタートとなった。

「良い仕事をやり遂げて、仕事の内容が評価されると、次の仕事がやってくる。仕事の〝報酬〟は、仕事となる」とする児玉所長は独立後、診断士の同期合格でともに研修を受けた仲間が勤める金融機関へあいさつに出向いたことがある。すると、同期の知人は公的制度を用いた専門家派遣の案件を与えてくれた。

チャンスとなった仕事の内容が評価されると、次に難易度の高い企業再建の案件が信用保証協会を通じて依頼された。当時、児玉所長は企業再建案件の実績が皆無だったため、保証協会も当初、別の者を充てるつもりだった。しかし、同期の知人からの強い推薦もあって、児玉所長の起用が決まると、試行錯誤しながらも依頼案件をやり遂げた。すると、事業再生案件が次々に舞い込むようになった。

もっとも、事業再生の案件においては、必ずしも再建できるとは限らない。「再建計画ができあがっただけで経営者が安心してしまって、実行せずにつぶれてしまうこともある。結果的に延命しただけで被害自体が大きくなってしまった」と、事業再生の難しさや限界にも直面したこともあった。

カエルの孫もカエル!? 経営コンサルのDNAとは

【画像】児玉泰雄@ふくおか人物図鑑
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戦後復興期に誕生したスーパーマーケットは群雄割拠の状況を経て、高度経済成長下での全国チェーン化で寡占化が進んだ。そして今日、ディスカウントストアやドラッグストアなどの市場参入もあって、サバイバル時代を迎えている。
創業者の死から12年後の2011年4月、丸和は福岡証券取引所への上場を廃止し、翌5月同業のユアーズに吸収合併された。法人自体は消滅したものの、丸和の名称は店舗ブランドの一つとして、今日存続する。

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「後継者がいない場合や育っていないケースでは、事業承継の選択肢のひとつとしてM&Aもあり得る。今後、事業承継やM&Aも手掛けていきたい」と事業再生の限界を知る児玉所長は新たな挑戦に思いをはせる。

過日、叔父が著した『丸和物語』の資料収集を手伝った児玉所長は、祖父とともに丸和を立ち上げた大伯父の吉田日出男が、その後「主婦の店」ボランタリーチェーンを運営して、日本で最初の本格的な流通経営コンサルタントとして活躍した事実を知った。

「自助努力」――。創業者一族に生まれた児玉所長は、かつての焼け野原から立ち上がった創業者らと同じく独立独歩の精神で自らの道を歩んでいく。

DATA

名 称:兒玉中小企業診断士事務所
住 所:福岡市南区大楠1-15-32 フォリアオークス308号室
創 業:2015年4月
代表者:所長 児玉泰雄
事  業:経営改善計画、事業計画書の策定・実行支援、売れる仕組みを作るマーケティング、ビジネスモデルの構築支援、販売促進・広告宣伝企画、集客力・販売力強化、販路開拓支援、資金調達・資金繰り改善、金融機関交渉支援

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