【人物図鑑】専門家ネットワークを生かした商店街活性化や中小企業支援に尽力する
九州志士の会 会長
有限会社エムケイブレーン 代表取締役社長
槇本健次
【まきもと・けんじ】
山口県出身、1945年生れ、山口県立豊浦高校卒~熊本大学工学卒。航空自衛隊に入隊して航空機開発に従事する。その後、医療機関向け医薬品卸に転職して、1991年中小企業診断士の資格を取得し、経営コンサルタントとして創業。1993年7月に有限会社エムケイブレーンを設立。商店街をはじめとする中心市街地のまちづくりや、中小企業向けの経営コンサルティングなどを手掛ける。
【3Points of Key Person】
◎中小企業診断士として10万点の画像データも用いて経営支援
◎航空自衛隊・医薬品卸を経て独立、九州志士の会を立ち上げる
◎社会的弱者の生活の質向上を目指して福祉介護分野に挑戦
10万点の情報画像を活用した企画立案で八代商店街が熊本県知事賞を受賞
九州各地の商店街活性化や地域おこし、中小企業向けなど経営改善に取り組む中小企業診断士事務所である有限会社エムケイブレーの槇本健次社長は、「まず当事者に自信をもたせることが大事。そのために無いものねだりではなく、〝あるモノ探し〟を自分たちでやっていくことが、まちや企業のパワーになる」と力説する。
日本全国を講演や視察、経営指導などで飛び回ってきた槙本社長の手もとには長年、参考事例やイベント内容、施設・設備機器などを撮影した10万点におよぶ画像があり、ジャンルやカテゴリー、地域別にデータベース化されている。
槙本社長にとって一大財産である〝虎の巻〟をもとにして、八代市の商店街からひな巡り・ひな祭りの開催企画についての相談を受けた折に自分たちでひな人形を手づくりするオリジナル企画を提案した。通常のひな祭りは昔から伝来の品々を並べるのに対し、八代のひな祭りは住民自ら手づくりでアニメ人形やぬいぐるみ、焼酎びんなどのグッズを着飾ったオリジナル作品を店の軒先に並べる創作ひな祭りだった。
≪こんな楽しいひな祭りは初めて≫≪商店街が元気になった≫などの声が、来場者や関係者から数多く寄せられた。こうした活動が認められ熊本県知事賞に輝くなど、八代商店街での取り組みは高い評価を得た。
商店街をはじめとする中心市街地の活性化とともに事業の柱である中小企業向けの経営コンサルティング活動においては、「混沌とした上に混迷を深めていく経済・社会において、嵐ともいえる経営環境に敢然と立ち向かっていく中小企業の羅針盤でありたい」との思いを強く抱く。
経営戦略、経営計画、人事・労務・組織、財務、販売、社内教育、マーケティング調査……。多岐にわたる企業経営上のテーマや課題について、各分野で活躍中のエキスパートとも連携しながら、取り組んでいる。指導先や支援先の経営者などから≪業績が良くなった≫≪本当に助かった≫などの喜びの声を聞くと、「経営コンサルティングとは、感謝される仕事」と、槙本社長は目を細める。
九州志士の会を立ち上げ、診断士協会長で後進育成
現在、地域活性化や経営コンサルティングなどを手掛ける槇本社長は、子どもの頃から無類の飛行機好きだった。大卒後、航空自衛隊に入隊して、航空機開発に従事していた。
その後、福岡に本社を構える医療機関向けの医薬品卸に転じた。当時はサラリーマンの医療費1割負担の時代であり、各県一医大政策による医師の急増もあって医療機関同士の競争が激しくなった時期でもあった
「自社が取り扱う医薬品の拡販を図る上でも販売先の医療機関が繁盛することが大事であり、いろいろ勉強して医師にアドバイスをしてみたが、納入先である医薬品卸に対しては、耳を傾けてくれなかった」という現実を目の当たりにしたことが、中小企業診断士を志すきっかけになった。
足掛け4年がかりで中小企業診断士の資格を取得したのを機にプロの経営コンサルタントとして独立した。もっとも、独立当初はコンサルティング実績がゼロだったため、先輩コンサルタントのカバン持ちをしながら、実績を積み上げた。
後年、福岡県中小企業診断士協会の会長を務めた際に自らの独立経験を踏まえて、新人の中小企業診断士の実績づくりにも努めて、後進育成に心を砕いた。
商店街や中小・零細企業などを取り巻く経済情勢が厳しさを増すなか、国や自治体による支援策も高度化・複雑化している。このため、多方面にわたる各分野の専門家らが連携しながら、サポートしていくことが不可欠な状況になっている。
このような背景を踏まえ、各分野の専門家との連携を深めて、幅広い課題の根本的な解決を目的に「九州地域中小企業等支援専門家連絡協議会」(九州志士の会)が誕生した。同会の会長を務める槇本社長は、「地域経済の活性化や中小企業支援について、真摯な高い志を持った士業らの専門家で構成されている」と語る。同会では、九州経済産業局や日本政策金融公庫をはじめとする中小企業支援機関などとも連携しながら、九州の経済活性化や地域課題解決に取り組んでいる。
「一人で悩まず、相談できる専門家を数多くもつ」
今後、あらたに挑戦していく分野として、槙本社長は福祉・介護・保育分野を挙げる。「社会的にも困っている分野であり、これらの分野での経営安定によって、利用者の安心や快適な社会生活も可能になる。社会福祉法人の経営安定は、社会的弱者のQOL(生活の質)の向上にもつながる」と考えている。
新たな挑戦に際しては、監督官庁による規制をクリアしながら、現場で働くひとたちのやりがいをいかに引き出すかがポイントになる。これらの点も踏まえながら、「もう一度原点に立ち戻って、こまやかな営業努力や新たな知識の習得で新分野開拓にも挑んでいきたい」と前向きな姿勢を崩さない。
「今日は明日よりも1日はやい」という言葉を座右の銘とする槙本社長は、「一人で悩まず、相談できる専門家との人脈を多くもつことが大事。そのためにも数多くのひとたちと会うことが大切になる」とのアドバイスを送る。
DATA
名 称:有限会社エムケイブレーン
住 所:福岡市博多区博多駅東1-12−5ハカタ大島ビル
創 業:1991年
設 立:1993年7月8日
代表者:取締役社長 槇本健次
事 業:商店街などの中心市街地の活性化や各地域におけるまちおこし、
企業向け経営コンサルティング
URL:https://www.mkbrain.co.jp/
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