【人物図鑑】女性起業家による、女性のキャリア支援と企業向けプロ人材ビジネス

株式会社Waris
共同代表
河京子

株式会社Waris 共同代表
河京子

【かわ・きょうこ】 
1984年8月27日生、岡山市出身、神戸女学院高等学部卒~慶應義塾大学総合政策学部総合政策学科卒。2007年4月株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に入社、営業や営業企画として法人企業向けに全体工程設計・運用、人材要件定義、採用コミュニケーションプランの立案などを担当、人材分野から企業の事業支援を手掛けた。リクルートキャリア在籍中の2013年4月に株式会社Warisを設立して、ボランタリーベースで経営に関わる。2014年6月リクルートキャリアを退職して、2014年7月株式会社Waris代表取締役・共同創業者に就任。2016年4月から福岡へ移住し、リモートで経営をする傍ら福岡・九州エリアの事業拡大を担う。2018年8月一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会福岡HUBサブリーダーに就任。


【3Points of Key Person】

◎女性3人で女性のキャリアアップを支援する事業会社を起業
◎法人向けに文系総合職フリーランスというプロ人材を紹介・あっせん
◎現代社会という〝砂漠〟で『能力』という〝花〟を咲かせる

女性活躍時代の、女性起業家による、女性キャリア支援事業

「家事や育児、介護がある中、女性はどのように活動して、成長していくべきか」「ライフプランやキャリアプランを考えた上で、女性の思いにどのように寄り添ったらいいのか」――。
新卒で金融機関に入社しその後経営コンサル会社のリサーチャー、リクルートで事業企画などを歴任した後に独立した米倉史夏さん(写真右)。雑誌記者からフリーライター、フリーランスのキャリアカウンセラーになった田中美和さん(同左)。そして当時、リクルートキャリアで法人顧客向けに採用関連の営業企画を手掛けていた河京子さん(同中)。

個性的でユニークな女性トリオが、「目指す夢や世界観などを熱心に語り合っていくうちにノリと勢いで会社をつくった」というのが、株式会社Warisだ。 
「実は3人とも経営者になる気持ちは無かったが、共に代表取締役に就き、共同創業者となった」と、河京子・株式会社Waris代表取締役・共同創業者は明かす。

「週に3日間だけ働きたい」「自宅でリモートワークをしたい」「プロジェクトのメンバーとして参画したい」……。
国を挙げて女性の活躍を推進していく状況下、これらの希望を持つ女性に対して時間や場所にとらわれにくいプロフェッショナル人材としての仕事を紹介するのが、Warisの事業モデルだ。
従来、フリーランスのプロフェッショナル人材を紹介・あっせん対象は、主にデザイン系やIT系だった。
これに対して、Warisは総合職として5年以上の勤務経験をもつハイスキル層の女性を主な対象に、彼女らの経験や知識をもとに事業企画やマーケティング、広報、人事・法務・会計・経理などの管理業務に通じたプロフェッショナル人材として、即戦力を必要とする法人に紹介・あっせんしていく。

現在、東京本社とともに福岡にもオフィスを構え、登録者は1万2000人を数える。福岡での事業展開について、「福岡で暮らしたくて夫婦で移住して、私自身もリモートワークで働いている」という河代表が、現地の責任者を務める。
プロフェッショナル人材を受け入れる企業サイドにおいても、「常時、スペシャリストを雇用しなくても、必要なときに必要なプロフェッショナル人材をシェアし合うことができる。私どもは創業以来、フリーランスのプロフェッショナル人材を紹介・あっせんしているので、優れた人材を低リスクでリーズナブルに活用できる」と、河代表は自社の強みを解説する。

フリーランスのプロフェッショナル人材を紹介・あっせんしているWarisでは、《フリーランスによる、フリーランスのための、オープンでゆるやかなつながりを持ったプラットフォーム》づくりを目指す一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の立ち上げ時からサポートしている。
「多様な働き方をするフリーランスやパラレルワーカーが今後、ますます活躍できる土壌や舞台をつくっていくことを通じて、 一人一人が自分らしい働き方を選択できる社会を実現できたら、本当に嬉しい」と、にこやかに語る河代表は、フリーランス協会の福岡HUBサブリーダーを務める。

原点は社会的弱者やマイノリティ支援による社会変革の志

もともと新聞社や出版社などのマスコミ志望だった河代表は、「社会的弱者やマイノリティ支援に取り組み、社会を変革したい」という思いを抱いていた。
大学時代のインターンシップ先だったリクルートで同社の社員から「マスコミの役割とともに人材の育成・活用の両方を担う仕事が大事」と説かれてリクルートキャリアに就職したことが、結果的に今日の女性向けキャリア支援事業につながった。

リクルートグループにおいて、個人向けキャリアと企業向け人材戦略の支援サービスを手掛けるリクルートキャリアにおいては、法人営業を振り出しに営業企画部門で人材面から企業の事業支援を担った河代表は、仕事や紹介などを通じて、後に共同創業者となる米倉代表、田中代表と知り合った。
会社設立後の1年2カ月は、無償のボランティアとしてダブルワークでWarisの経営に取り組み、その後退職して、Waris代表取締役・共同創業者に就任した。
入社後、自社の社員採用が活発化して一気に社員が増えていくと、創業期の感覚と違って、戸惑うことも増えた。幾度となく空回りする中で、「社内におけるメンバースタッフとボード社員との意識や立ち位置の違いを自覚して、自分自身のコミュニケーションのスタイルを変えていった。メンバーを信じて任せて、私自身は見守っていることが大事ということを痛感した」と、河代表は振り返る。

起業以来、着実に事業フィールドを広げるWarisは、総務省『ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業』や内閣府『地域における女性活躍推進モデル事業』などに採択されてきた。
そして、『フクオカベンチャーマーケット大賞』特別賞をはじめ、日本政策投資銀行『女性新ビジネスプランコンペティション』優秀賞や全国商工会議所女性会連合会『女性起業家大賞』奨励賞など数々の賞に輝く。


「失うものは何も無い」「行動こそが希望を生む」

「企業経営面では、一定期間に定期収入を得られるサブスクリプション方式のビジネスモデルを新たに確立することで経営基盤の強化を図り、メンバーの待遇改善を目指したい」と、河代表は今後の構想を練る。
その一方で女性における自信の無さや自己肯定感の低さの要因を現行の教育環境や教育システムにあると考えて、幼児から高校までの教育施設や学童養護施設の開設も思い描く。

社名となっているWarisとは、アフリカ大陸にあるソマリアの現地語で「砂漠に咲く花」の意味であり、「砂漠のように環境変化の激しい現代にあって、一人一人がそれぞれの人生のステージで自分らしく能力』という〝花〟を咲かせていけるような社会をつくりたい」と語る河代表は、「失うものは何も無い」「行動こそが希望を生む」という起業家精神を胸に夢の実現に向けてまい進する。

DATA

名 称:株式会社Waris
住 所:東京本社)東京都千代田区神田鍛冶町3-7 神田カドウチビル8F
     福岡オフィス)福岡市中央区赤坂1-11-20 8bit赤坂201
設 立:2013年4月1日
代表者:共同代表 米倉史夏、同 田中美和、同 河京子
事 業:人材サービス、各種セミナー、イベント等の企画・開催・運営
URLhttps://waris.co.jp/

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