【人物図鑑】ひとやまちの関係性のデザインによる自律した多様な社会の実現へ

コミュニケーションデザイナー 岩永真一

コミュニケーションデザイナー 岩永真一

コミュニケーションデザイナー 岩永真一
コミュニケーションデザイナー
岩永真一

【いわなが・しんいち】
福岡市出身、1981年生、福岡大学附属大濠高校卒~福岡大学商学部経営学科卒。学生時代からまちの清掃活動に取り組むグリーンバードに参加して、天神のまちづくり団体『We Love 天神協議会』へ参画。大学卒業後、広告業界で営業やプランナーを経験して2009年に独立。福岡テンジン大学を企画して福岡市へ提案、2010年9月に開校、学長に就任。現在、複数の企業やNPOの社外社員、大学の非常勤講師など、一人で産学官民の領域において複数の仕事をする〝複業〟フリーランスを実践する。

【3Points of Key Person】

◎福岡テンジン大学学長をはじめ、〝複業〟フリーランスを実践
◎内定ゼロで大学を卒業、東京・渋谷での会合参加が人生の転機となる
◎自律的な働き方や生き方ができる社会づくりに日々奮闘

コミュニケーションデザイナーとは、どのような職業なのか

グリーンバード

「コミュニケーションデザイナーとは、人と人、人と企業、人と街に関するあらゆるコミュニケーションをデザインし、関係性をつくり価値を生み出す〝つなぐ専門家〟」と、岩永真一さんは、自ら名付けた肩書きについて解説する。

〝まち〟全体がキャンパスとなり、学びの場であり、誰もが生徒になって先生にもなれる――。学校教育法で定めた正規の大学ではなく、生涯学習を推進する任意団体として『福岡テンジン大学』を立ち上げた岩永さんは現在、西南学院大学で『課題解決力(PBL)』を教える非常勤講師であり、北九州市立大学では『キャリアデザイン』を担当する非常勤講師としても教壇に立つ。

岩永さんは、カエルメディア代表として広告事業をはじめ教育事業やまちづくりを手掛け、さらに健康食品製造・販売を手掛ける夜明の里カメミツ株式会社、戦略的PR会社の株式会社キナックス・ホールディングス、ビル再生企画の株式会社スペースRデザインで、それぞれ非常勤社員を務める。

「《本当の仕事は何なの?》《結局、何が専門なのか?》と聞かれることが多く、やっているすべての仕事を一くくりにしたら、〝コミュニケーションデザイナー〟というネーミングにいきついた」と、岩永さんはさわやかな表情で語る。

学長を務める福岡テンジン大学をはじめ、複数の大学や企業に関係する〝複業〟フリーランスを自認する岩永さんによると、「自分自身の強みは、圧倒的にいろいろな業種の人たちとつながっている点だと思う。これも、まちを舞台に、まちを素材にした学びを手掛ける福岡テンジン大学の存在が大きい。新しいコトやモノと出会うと、ワクワクする性格でもあり、いろいろなヒトとのつながりから具体的なビジネスが発生してくることもある」という。

2018年5月から、いわば〝部活動〟として一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会の福岡HUBリーダーも務める岩永さんは、「自分の世界観や価値観と合うコトは金額の有無や多寡に関係なく、一緒にやっていきたいと思う。やはり、お金に関係なく継続することがポイントになる」

岩永さん自身、大学4年生のときからゴミ拾いボランティアのNPOである『グリーンバード』に参加して2014年までグリーンバード福岡の事務局長を務めた後、2013年にグリーンバード北九州を立ち上げて代表を務める。国内外90カ所余りあるグリーンバードにおいて、グリーンバード北九州の年間活動回数148回、活動人員3500人で、〝世界一〟となる活動実績だそうだ。

就職先の内定ゼロだったから、多分野で〝複業〟的に活躍!?

福岡テンジン大学

2004年3月卒業の職氷河期世代だった岩永さんは、就職先の内定も無いまま社会へ巣立った。
「就職活動では企画系の仕事を志望し、エントリーシートや一次面接、二次面接も突破した。しかし、なぜか最終面接で落とされることが多く、夏頃に就活自体をあきらめて、行動しなくなった。いま振り返ると、行動をしないことが結局、自分自身の選択肢を狭めてしまったと思う」
その後、広告業界でアルバイトし始めて、営業プランナーを経験した後、2009年に独立して、カエルメディアを創業した。

転機が訪れたのは2006年4月、東京・渋谷で開かれた会合の場だった。
偶然、上京したタイミングでグリーンバード関係者から「シブヤ大学というのをつくっている」と聞き、その場でピンときて「福岡でテンジン大学をやります」と宣言したのだ。

その後、NPO法人などと行政が共働して地域課題の解決や都市活力の向上を目指す福岡市共働事業提案制度に採択されて、2010年9月に福岡テンジン大学が誕生した。
福岡市との共働事業として2年間活動した後、2012年3月にNPO法人福岡テンジン・ユニバーシティ・ネットワークを設立して運営にあたる。福岡テンジン大学では、これまで431回開催し、参加者は9680人に上る(2019年6月末時点)。

一連の流れを振り返って岩永さんは、「内定ゼロのまま、社会に出た私を育ててくれたのは、福岡のまちでつながった多様な職業の人たちだった。《福岡のまちで、人と人の間にある価値の最大化》することを自分自身の理念としている」

律的な働き方や生き方ができる社会の実現を目指す

フリーランス協会

福岡テンジン大学をはじめ、グリーンバードでのボランティア活動、さらに複数の大学・企業での〝複業〟で忙しく働く岩永さんは、「目まぐるしい世の中だからこそ、自律的な働き方や生き方が求められる。興味や関心、好奇心、あるいは違和感などで行動を起こしてみることが、自分なりの世界観や価値観につながることが多い。これらの行動の結果として、自律的な働き方や生き方ができる社会になったら嬉しい」と、思いを描く。

「八百万の神に代表されるように本来、日本は多様な社会だったが、今日では同質性の高い社会になっており、かつての多様性を取り戻したい」と考える岩永さんは、「大学生も含めて子どもたちが日頃、接する大人である親や先生が昔のままの価値観なため、結果的に古いキャリアデザインになってしまう。子どもに接する大人自身の学び直しや働き方改革、意識改革が大事であり、大学での講義や講演会などの場で伝えるように努めている」と、自律した多様な価値の社会実現に向けての飽くなき挑戦が続く。

DATA

名 称:福岡テンジン大学
住 所:福岡市中央区薬院1-6-5-603(グリーンバード福岡内)
創 立:2010年9月
設 立:2012年3月(NPO法人福岡テンジン・ユニバーシティ・ネットワーク)
代表者:学長 岩永真一
事 業:地域文化の醸成と発信の促進を図る活動、行政区分の地域を越えた人のつながりをつくる活動、地域・企業・個人の情報発信の活性化を図る活動、社会教育の推進を図る活動、子どもの健全育成を図る活動
URL:https://tenjin-univ.net/

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