【人物図鑑】事業のカギを握る『知財』戦略の企業経営への早期導入のすゝめ

【画像】藤岡国際特許事務所 所長・弁理士 藤岡靖和

藤岡国際特許事務所
所長・弁理士
藤岡靖和

【画像】藤岡国際特許事務所 所長・弁理士 藤岡靖和
藤岡国際特許事務所
所長・弁理士
藤岡靖和

【ふじおか・やすかず】
1976年12月23日生、福岡県宗像市出身、福岡大学附属大濠高校卒~福岡大学卒。2002年 6月松尾特許事務所に入所。2005年10月に弁理士登録(登録第14005号)。2005年10月株式会社ニコンに入社、2017年 4月九州大学産学官連携本部に転じて、知的財産グループ長・准教授に就任。2019年 8月藤岡国際特許事務所を設立して、所長となる。2021年 1月九州国際特許事務所(福岡市中央区 有吉修一郎所長)と業務提携。趣味はプロレス観戦、ベンチプレス、野球観戦。

【3Points of Key Person】

特許事務所、大企業、大学での知財経験を生かして、地元企業を支援
◎ 一部上場企業で和解金を数百億円獲得した特許訴訟チームの一員
◎ 九州大学で特許ライセンス収入1億円超(前年度倍増)を実現

特許事務所、大企業、大学で知財を経験した異色の弁理士

【画像】藤岡国際特許事務所 所長・弁理士 藤岡靖和

発明と呼ばれる高度で新しい技術アイデアを保護する『特許』、小発明ともいえる『実用新案』、物や建築物・画像のデザインである『意匠』、商品やサービスを他と区別するための文字やマークなどを対象とした『商標』……。
これら人間の知的活動で生み出されたアイデアや創作物のうち、財産価値を持つものが『知的財産』だ。
知的財産権の手続きを代理する国家資格者であり、商品のアイデアやデザイン、ブランドを守る専門家が弁理士だ。弁理士は弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士と共に職務上請求権が認められた8士業の一つでもある。

「企業の知的財産活動を支援している。ビジネスを拡大させていく企業は、いずれ知財の専門部署をもつ大企業と関わることになる。その際にうまく付き合って《味方になってくれるか》、あるいは逆に《敵になってしまうか》という2つの道に別れる」と、弁理士である藤岡国際特許事務所の藤岡靖和所長は説く。
藤岡所長は、これまで特許事務所での勤務に加え、大企業知財部での実務経験、さらに大学の各研究室が持つ特許を企業へライセンスするための権利化を手掛けた。大企業勤務時は数百億円に及ぶ和解金を獲得した訴訟チームの一員であり、勤務した大学ではグループ長・准教授として特許ライセンス料収入を大幅に拡大した実績を持つ。

「今日、大企業は特許を経営戦略の一環に組み込んでおり、そのレベルは中小企業のはるか上をいく。このようなレベル差があるにも関わらず、中小企業やベンチャー企業は、知財で〝同じ土俵〟に立たなければならないという現実を直視すべきだ」と指摘する藤岡所長によると、中小企業やベンチャー企業が大企業と知財契約を結ぶ場合、経験差から不利な内容になりがちだという。
「事業拡大や新規事業参入を図る中小企業やベンチャー企業が、大企業と関わるときにこそ〝大企業の知財に対する考えを知ること〟が必要だ」と考える藤岡所長は過去、〝不平等〟契約になりそうだった案件を交渉した結果、円満に〝Win-Win〟となる内容にまとめたという。

「実際に特許が使われる場面を意識することで結果を出す」

【画像】藤岡国際特許事務所 所長・弁理士 藤岡靖和

大学での就職活動期を迎えて、弁理士という職業を意識し始めたという藤岡所長は、「当時は就職氷河期であり、本当に大変だった。そうした中、まだ日本は知財大国であり、《今後、日本は知財で生きていく》という潮流もあったので、知財の専門家である弁理士を目指した」ことを明かす。
大学を卒業して3年間、弁理士を目指して専門学校へ通った後、藤岡所長は当時、九州で最大手だった特許事務所に就職した。在職中の2004年11月に27歳の若さで弁理士試験に合格、翌2005年10月に弁理士登録をした。
試験合格後、あらためて就職活動をした結果、知財部署をもつ大手企業4社から内定を得た。その中から藤岡所長が選んだのは、外国企業との知財訴訟で実質勝訴したばかりの株式会社ニコンだった。

同社では、オランダのASML社、独カール・ツァイス社に対する、半導体露光装置やデジタルカメラの特許に関する訴訟に向けた準備も手掛けるチームに所属した。その後、訴訟となった本件でニコン側は、ASML側から数百億円の和解金を得た。
「大企業において、実際に特許が使われる場面を意識した権利化を経験した。その中で、同じ発明やアイデアでも捉え方やその後の権利の取り方によって、知財の価値が大きく変わることも学んだ」と、藤岡所長は真摯に語る。
その後、九州大学産学官連携本部に転じて、グループ長兼准教授に就任した藤岡所長は、「九大では、特許が使われる場面を意識することを徹底して権利化を行った。その結果、それぞれの特許の価値が上がり、特許ライセンス収入で従来の倍増となる1億円の大台に乗せることができた」と目を細める。

特許事務所、大企業、大学でキャリアを積んだ藤岡所長は、「知財の仕事にもう一つ大事な点があることに気づいた。ビジネス戦略を表側とすると、その裏側には、知財戦略が文字通り裏付けとして存在する。ビジネス・経営、知財、研究・開発の三位一体を実現すべきだ」と考えて2019年 8月、藤岡国際特許事務所を設立した。

「専門家を交えた知財戦略を企業経営に早期組み込み」

【画像】藤岡国際特許事務所 所長・弁理士 藤岡靖和

「知財は単なる儲けでなく、重要な経営資源であり、時としてビジネス競争上の抑止力にもなり得る」とする藤岡所長は、「福岡の地元企業は経営と研究・開発を優先して、肝心の知財戦略が後回しになってしまっているケースがあまりにも多い。企業自らの成長・拡大過程において知財で痛い目に合わないためにも早期段階から経験豊富な専門家を交え、知財を戦略的に考えて、企業経営に組み込んでいくことが必要だ」と力説する。
そんな藤岡所長は趣味の一つとして、プロレス観戦を挙げる。
アントニオ猪木いわく「道はどんなに険しくとも、笑いながら歩こうぜ!」。

DATA

名 称:藤岡国際特許事務所
住 所:福岡市中央区天神1-6-8天神ツインビル6階(従たる事務所:九州国際特許事務所)
設 立:2019年8月
代表者:所長・弁理士 藤岡靖和
事 業:弁理士業務全般

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