【人物図鑑】〝はたらくをデザインする〟人材会社が多様な働き方やQOLを追求する

【画像】九州スタッフ株式会社 代表取締役社長 大霜彰子

九州スタッフ株式会社
代表取締役社長
大霜彰子

【画像】九州スタッフ株式会社 代表取締役社長 大霜彰子
九州スタッフ株式会社
代表取締役社長
大霜彰

【おおしも・あきこ】
1971年9月24日生、北九州市出身、下関市立大学経済学部卒。日本生命保険相互会社に入社後、東京経済株式会社、株式会社おーぱす、株式会社エピ・マガジンでの勤務を経て、フリーライターとして独立。その後、株式会社DoCLASSEに勤務した後、2014年4月九州スタッフに入社。2016年5月同社取締役、2019年5月副社長、2021年4月社長に就任。趣味は読書。

【3Points of Key Person】

元九州松下系で現在地場独立系で五強の一角、2021年4月社長に就任
◎ 就職氷河期世代で地元出版界や東京でのライター職などを経験
◎ 働き方の多様化によるクオリティオブライフを実現を目指す

地元系・全国大手が競い合う人材市場で五強の一角

【画像】九州スタッフ株式会社 代表取締役社長 大霜彰子

日本の人材ビジネス市場は7兆円強――。市場調査を手掛ける矢野経済研究所は2020年10月、2019年度における人材ビジネス3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は事業者売上高ベースで前年度比4.5%増の7兆128億円だったと発表した。
このうち人材派遣業市場は同4.7%増の6兆6800億円、人材紹介業市場は同1.7%増の3080億円、再就職支援業市場は同3.3%増の248億円となっている。

《はたらくをデザインする》をコンセプトに、信頼をモットーに取り組んでいる。人材サービス会社として許認可事業である有料職業紹介事業と人材派遣事業を手掛け、特定技能外国人の登録支援機関としても活動している」と語る大霜彰子九州スタッフ株式会社社長は2021年4月、トップとしての舵取りを任された。
同社の前身は、九州松下電器株式会社(現パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社)系列の九州松下スタッフ株式会社だった。九州松下での勤務歴を持つ父の大霜洋会長が1998年4月、同社事業部を独立させる形で創業した。松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)による九州松下の完全子会社化に先立ち、2001年8月に社名を九州スタッフ株式会社に変更、独立系人材会社となる。

「地元企業ならでのネットワークが、当社の強みといえる。事務職をはじめとするオフィスワーク領域への人材派遣事業を主体にしながら、IT関連のシステム開発やシステム運用構築を担う技術者派遣に特化している」と、大霜社長は自社の特長を語る。
同業他社の地場企業に加えて、全国大手企業も参入して激しさを増す地元人材ビジネス市場において、同社は五強の一角を占めるという。

ライター職をはじめ数々のキャリアが経営に生きる

【画像】九州スタッフ株式会社 代表取締役社長 大霜彰子

「就職氷河期世代だったので、いろいろ大変だった。それだけに違うことをしないと、未来は見えてこないという意識が強かった」と振り返る大霜社長の学生時代は、アルバイトに明け暮れた。
家庭教師や唐戸市場での販売員、さらにサーカスでの入場者受付も経験した大霜社長は、「興味本位で行動する、物おじしない性格」と自己分析する。

厳しい就職戦線を乗り越えての新卒採用で入社したのは、日本生命相互会社だった。
もっとも、営業職だったこともあって入社後1年で挫折して退職。そして、企業調査や出版を手掛ける東京経済株式会社に転じて、校正業務をはじめ電話受付やお茶くみなども経験した。

縁あって、北九州のタウン情報誌『おいらの街』を発行していた株式会社おーぱすへ転職した大霜社長は音楽担当ライターになり、「性に合う仕事だったと思う。何よりもミュージシャンの話が楽しく、〝東京の風〟を運んできてくれたこともあって、自分の人生で一番伸びた時代だった」と、笑みを浮かべる。
在籍2年半で130人ものミュージシャンを取材した大霜社長は、「クリエイティビィティの考え方や発想は、取材現場で学んだ。仕事をしていく上での原点であり、私の人生にとって大きな経験となっている。後にフリーライターとしても自立でき、そして今日、会社を経営する立場になっても生きている」と、目を細める。
その後、福岡のタウン誌『博多独楽』の発行元だった株式会社エピ・マガジンに転じた後、フリーライターとして独立した大霜社長は。「東京の大手出版社に営業したら、思いがけず仕事の話が舞い込んできたので野心も芽生えて上京した」

東京でのフリーライター生活は、10年にも及んだ。
求人関係のWebサイトの仕事をしていくうちに人事関係や企業経営にも興味を抱くようになった大霜社長は、ミドルの女性向けの通販アパレルブランドを立ち上げた林恵子DoCLASSE代表取締役に注目し、縁あってコピーライターとして入社した。
思い出深い東京時代において人生の転機となったのは、東日本大震災だった。
「もともと父は父、私は私というスタンスだったが、家族のことを真剣に考えるようになった。家族の大切さを感じるようになると、自分のことだけでなく、人のこともいろいろ考え始めた」という大霜社長は2014年4月、九州スタッフに入社した。
IT関連のグループ会社との統合や有料人材紹介への参入などの多角化路線へ突き進み、売上高や事業規模が倍増していく。この間、社会貢献と地域活性化を目的とした異業種交流会 「VIVE(ビーブ)の会」の事務局を務めながら、コミュニティFM放送局『コミュニティラジオ天神(=コミてん)』の番組で3年間、マイクを前にゲストとのユニークなトークを繰り広げた。

働き方の多様化によるクオリティオブライフを実現

【画像】九州スタッフ株式会社 代表取締役社長 大霜彰子

「コロナ禍で加速していく新しい時代への流れに抗うことなく、働き方を多様化させていくことで一人一人のクオリティオブライフ(人生の質)の実現できる場や機会をつくっていきたい。そして、地元企業として、地域経済に貢献できるビジネスを構築していきたい」と真摯に語る大霜社長はプライベートで陽明学を学び、愛読書として内村鑑三著『代表的な日本人』を挙げる。

〝会社は社会の公器〟と考えて自らを律する大霜社長は、「日々、感謝の気持ちを忘れずに与えられた役割を全うしていきたい。大企業の場合、大き過ぎてできないことを小回りの効く当社で小さくても多様なビジネスモデルを展開しつつ、新しい働き方も追及していきたい」と、笑顔をみせる。
企業経営のトップに立つ大霜社長にとっては、働き方の多様化によるクオリティオブライフの実現に向けた東奔西走の日々が続く。

DATA

名 称:九州スタッフ株式会社
住 所:福岡市博多区博多駅前3‐2‐1 日本生命博多駅前ビル7F
設 立:1998年4月
代表者:代表取締役会長 大霜洋、代表取締役社長 大霜彰子
事 業:一般労働者派遣事業(許可番号 派40-010129)、有料職業紹介事業(許可番号 40-ユ-010166)
URLhttps://www.staff-q.co.jp/

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