【人物図鑑】特許・商標等の権利化・活用に全力疾走する、土木出身の〝異色の弁理士〟

加藤合同国際特許事務所
会長 弁理士
加藤久

加藤合同国際特許事務所 所長 加 藤 久
加藤合同国際特許事務所
会長
加藤久

【かとう・ひさし】
福岡県筑後市出身、1954年4月29日生、福岡県立八女高校卒~佐賀大学理工学部土木学科卒。1978年福岡市役所に入庁、福岡市の下水道事業や福岡国体に向けた東平尾公園整備、中央ふ頭再開発などのまちづくりを担当。1987年弁理士試験に合格、1990年弁理士登録、1994年加藤特許事務所(現加藤合同国際特許事務所)を設立して所長に就任。2004年特定侵害訴訟代理業務付記、2014年知財功労賞特許庁長官表彰。2020年1月会長に就任。

【3Points of Key Person】

◎〝知財の専門家〟として、出願手続き~事業化を総合支援
◎土木工学科出身で元福岡市役所勤務という〝異色〟弁理士
◎中小企業の知財活用を活性化させて日本を元気にしていく

特許や商標などの知財確立や事業化支援に汗を流す

「発明やネーミングなどを特許や商標などの知的財産としての権利確立に必要な特許庁への出願業務の代理手続きを担当しながら、良い技術を世の中へ送り出すための事業化支援にも取り組んでいる」と、加藤合同国際特許事務所の加藤久会長は、自らの弁理士業務における取り組みについて語る。

知的財産とは、人間の知的で創造的な活動によって生み出された、さまざまな成果を指す。これらの知財は法律によって、一定の条件下で創作者に一定期間独占できる権利を与えられている。具体的には特許権や実用新案権、登録商標権、意匠権などの権利であり、これらの〝知財の専門家〟が弁理士である。
 現在、JR博多駅前のオフィスビルに拠点を構えながら、東京にも出先を置く加藤合同国際特許事務所は7人の弁理士を含むスタッフ18人を擁すという陣容だ。

「分かりにくい知財制度について、よく知らない方々にも十分に活用していただくために国内だけでなく、海外にも広範な知財サービスをワンストップで提供できる体制を整えている」とする加藤合同国際特許事務所では、機械や電気、化学、ソフトウェアなどのあらゆる分野での発明や考案、デザインなどを国内外で権利化し、ビジネス的に活用していくサポートしていく体制を敷いている。 近年、著しい企業活動のグローバル化にも対応して、海外32カ国に65カ所の協力事務所とのネットワークを活かしていくことで、「世界水準での知財の保護と活用が求められるなか、お客さまによる技術開発や商品開発の成果に関して、知的財産として確実に保護して、ビジネス面での収益も生み出していくためのサポート業務についても力を入れている」と、加藤会長は意欲的に語る 

土木出身・元市役所勤務の〝異色〟弁理士のサバイバル術

通常、弁理士は機械工学科や電子工学科などの工学系出身者が多いのに対して、意外にも加藤会長は土木工学科出身だ。
さらに大学卒業後、福岡市の下水道事業や福岡国体会場の東平尾公園整備、中央ふ頭再開発などのまちづくりを手掛けたキャリアもあり、〝異色の弁理士〟といわれることもあるという。

「もともと発明家が夢だったので、弁理士と言う職業の存在を知った」という加藤会長は役所時代、月100時間もの残業をこなしながらも寸暇を惜しんで試験勉強に励んだ。弁理士試験に合格した2年後の39歳の時に弁理士として、特許事務所へ転職して知財の世界へ飛び込んだ。

もっとも、元公務員であり、さらに特許実務経験が皆無という状況だった当初は、「本当に大変だったが、いまから考えると、下積み時代の3年間の経験が、その後大きく役立った」と振り返る加藤会長。「転身した時や開業してからも得体のしれない不安から逃れたいので、とにかく売り上げを上げること、生きていくことに本当に必死で、とにかくがむしゃらに働いた」日々だったそうだ。

≪いまが全て≫と考える加藤会長は、「つらかったことや苦しいかったこと、うれしかったことも多々あったはずだが、当時は生きるのに精いっぱいであまり覚えていない」としながらも、「自分の熱い思いは、必ずや実現することを信じて、これまでの人生を歩んできた」。                                              

特許事務所を開設して今年で四半世紀を迎える。この間にも信頼していた部下が辞めたり、時として裏切られたこともあったが、「弁理士としてのやりがいは、仕事がうまくいった時のお客さまの笑顔に尽きる。仕事自体も私自身に合っており、非常に面白い。その半面、≪明日はどうなるだろうか≫という不安さえも、仕事をしていく上での動機づけにもなった」ことを加藤会長は明かす。

特許600年の原点に立ち戻って、〝おカネを生む〟知財へ

「九州における知財の潜在的な市場規模は、少なくとも現状の3倍ないし10倍はある」と、加藤会長はみる。もっとも、現状については、「潜在的な顧客も含めて、大半の人たちは、知財活用は他人事だと勝手に思い込んで無関心である」と分析する。

諸説はあるものの、現在知られている最初の特許はいまから約600年前の1421年、イタリアにあったヴェネツィア共和国の建築家・ブルネレスキに与えられたのが最初といわれている。ブルネレスキは、大聖堂建設に必要な大理石運搬船を発明して得た特許によって、運搬船から生じる莫大な利益を手にすることができた。
本来、知財とは、〝おカネを生み出す〟存在だったといえる。

「これまで知財事業化についてお客さま主体で取り組むケースが多かったが、今後はわれわれも積極的に関わっていくことで、ビジネス面においても収益も生み出していくことで成功の確率を高めたい」と、加藤会長は今後の策を練る。                                                  

 一連の取り組みの根底においては、「中小企業において、極めて低い知財活用を活性化させていくことは、日本全体の発展につながり、次世代を担う若者たちが希望を持って日本を引き継いでいく上でも有効である」との思いがある。
「思いは実現する」という言葉を胸にひたすら自分の信じる道を突っ走る人生だったとする加藤会長は、事務所自体の事業承継への布石を打ちつつ、「これまで多くの人たちに恵まれて、ここまでやってこられたので感謝の言葉しかない。明日死んでも悔いのないという覚悟で、これからの人生においても自分のできることを徹底的にやり抜いて、生涯現役を貫き通すことで恩返しをしていきたい」と、自らの人生においても休むことなく全力疾走し続ける。

DATA

名 称:加藤合同国際特許事務所
住 所:福岡市博多区博多駅前3-25-21博多駅前ビジネスセンター411号
創 立:1994年3月
代表者:会長・弁理士 加藤久
事 業:弁理士業務全般
URL:http://kato-pat.jp/

Follow me!