【人物図鑑】地域と歴史の縁を結ぶ『太宰府遊学』で〝和魂〟を未来へ継承していく志士

【画像】日本経済大学 経済学部 経済学科 教授 竹川克幸

日本経済大学 経済学部
経済学科 教授
竹川克幸

日本経済大学 経済学部
経済学科 教授
竹川克幸

【たけがわ・かつゆき】
1973年3月1日生、福岡県飯塚市幸袋出身、太宰府市在住。 福岡県立嘉穂高校卒~鹿児島大学法文学部人文学科卒~鹿児島大学大学院人文科学研究科修了~九州大学大学院人文科学府・博士課程満期退学。西日本新聞TNC文化サークル職員・講師(麻生西日本新聞TNC文化サークル事務局長)、日本経済大学非常勤講師、同専任講師、同准教授を経て、現在、同教授。同大の地域連携センター長も兼務。専門は歴史学(日本近世史・幕末維新史、幕末薩摩藩と太宰府)と観光学(歴史文化観光)。編著書に「福岡県歴史散歩」他『アクロス福岡文化誌』シリーズ(全10巻、海鳥社)など。現在、日本観光学会九州沖縄支部理事、日本計画行政学会九州支部理事・幹事、福岡県文化団体連合会調査役、福岡龍馬会歴史アドバイザー、西郷南洲顕彰会専門委員、飯塚市立図書館郷土誌アドバイザー、太宰府市文化協会参与、太宰府市観光推進基本計画策定委員、遠賀川学識者懇談会委員(文化財)なども務める。

【3Points of Key Person】

◎ 歴史と観光や経済を融合しフィールドワーク重視の〝太宰府遊学〟を志向
◎ 維新の故郷へ遊学して、古都・太宰府で地域の歴史を再発見する
◎ 太宰府において、未来の志士を育む『学びのまほろば』に取り組む

歴史、観光、経済の融合で〝太宰府遊学〟となす

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元号・令和の発祥地であり、『鬼滅の刃』人気でも注目される福岡県太宰府市にキャンパスを構える日本経済大学の竹川克幸教授は、「江戸期の学者や文化人、幕末の志士らが学んだ〝遊学〟のように歴史的な出来事や人物ゆかりの地を実際に訪れて、見聞を広めることで学問の素養や教養、経験値を高めていく、フィールドワーク重視の〝未来の歴史学〟である『太宰府遊学』をライフワークにしている」と、笑顔で語る。
大学内で地域との連携の窓口である地域連携センター長も兼務する竹川教授は、「歴史学を軸に観光や経済、教育、食文化など他分野との融合を通じて過去・現在・未来へつながる観察力や発想力を備えた社会実学として〝経世済民〟の志を持った人材を育成する〝学びのオープンイノベーション〟に挑んでいる」。  

具体的には歴史文化観光の視点から、坂本龍馬や中岡慎太郎ら幕末志士の日記や紀行文に基づく長崎や太宰府への九州遊学の旅、同志との連携や交流を図った国事周旋の旅、彼らが旅先で体験した当時の料理や観光も調査・研究している。
「なぜ、福岡には、がめ煮(筑前煮)や鶏すき、水炊きなど鶏肉を用いた郷土料理が多いのか」「なぜ、唐揚げは鶏肉なのか」「なぜ、福岡市の鶏肉消費額が日本一なのか」―-。最近、テレビや新聞、Webメディアなどが福岡人の〝鶏肉好き〟を取り上げられる際、竹川教授は専門家として登場する機会も多い。
竹川教授にとって太宰府遊学と共にライフワークとする福岡の鶏肉・鶏卵の食文化研究は、福岡県産地鶏『はかた地どり』の調査・研究を福岡県畜産課と協同で行ったことがきっかけだった。今日、九州鶏すき学会の研究員や日本唐揚協会認定のカラアゲニストなどの顔も持つ竹川教授は、「産官学連携の取り組みを通じて地域や市民らとのつながりを大切にしながら、調査・研究を進めている」そうだ。

維新の故郷に遊学し、古都・太宰府で再発見する

【画像】日本経済大学 経済学部 経済学科 教授 竹川克幸

竹川教授にとっての《学びの原風景》は、明治維新の故郷である薩摩・鹿児島だった。NHK大河ドラマ『西郷どん』や『篤姫』をはじめ、多くの時代考証を手掛けた鹿児島大学名誉教授の原口泉先生と大学時代に出会った。
そして、原口先生と共に現地を歩き、地域の歴史を現場で学ぶ史跡巡見の実習経験を通じて、「歴史学は謎解きでもあり、時代を越えた出会いや発見があり、時間を旅するような不思議な感覚が楽しい。未来への可能性を無限に秘めている」ことに気づき、心動かされた。

その後、九州大学大学院博士課程を終えた竹川教授は、学習塾講師時代に『アクロス福岡文化誌』の編集に携わった。そして、福岡県内の文化資源を取材・調査したことが、人生の転機になった。『アクロス福岡文化誌』をガイド本に福岡県内各地での歴史講座をはじめ、歴史探訪やまち歩きである『遊学旅行』を企画・実施した。
さらに西日本新聞TNC文化サークルで歴史探訪講座『ふるさと歴史散歩』を開講した竹川教授は、ラジオ番組の歴史ナビゲーターを務めた。そして、福岡県文化団体連合会の『県民ふるさと講座』など生涯学習講座を通じて、「地域の歴史や文化の魅力を語り、市民と共に楽しく学ぶ〝遊学〟の楽しさに気づいた」そうだ。
その後、西日本新聞TNC文化サークルの職員・講師(麻生西日本新聞TNC文化サークル事務局長)として就職した竹川教授は太宰府市へ移り住み、まちを歩いて観察する中で『古都太宰府』の価値や不思議な魅力を再発見していく。そして、まち歩き観光『歩かんね太宰府』の観光ガイドや『太宰府検定』企画委員も経験した。

太宰府においては、〝明治維新の策源地・太宰府〟の歴史とも巡り合った。薩摩藩の定宿で西郷隆盛や月照ゆかりの維新の庵・松屋、土佐藩の定宿で中岡慎太郎ゆかりの泉屋(現菓子処梅園)、三条実美ら五卿が滞在した太宰府天満宮などの幕末太宰府の歴史研究は、竹川教授にとって学びの原点である幕末薩摩藩の歴史研究にも結び付いた。
そして、日本経済大学が太宰府をフィールドワークしながら、地域経済と地域資源の活用を学ぶ地域学科目『地域再発見』を開講した際に非常勤講師となった竹川教授は、専任講師、准教授を経て現職に就いた。
「あたかも散歩や遊学みたいに寄り道や回り道をしながらも、多くの方々とのご縁を結んだことで地域へもコネクションや人脈ができて、人生の価値観が広がった。恩師や同僚、老若男女や国籍を問わず多くの同志や教え子と出会ったことが、私自身の宝物になっている」と、竹川教授は柔和な表情をみせる。

学びのまほろば・太宰府で〝和魂〟を継承する

【画像】日本経済大学 経済学部 経済学科 教授 竹川克幸

SDGsの実践活動として、〝新時代・令和〟の発祥地であり、古くから学問や文化交流の拠点だった太宰府に福岡キャンパスを構える日本経済大学、同大地域連携センターを拠点にして、次代のリーダーや未来の志士を育む〝学びのまほろば〟を広めたい」との大志を竹川教授は抱く。
まほろばとは、素晴らしい土地・住みやすい場所を意味する日本の古語であり、太宰府では代名詞の一つになっている。具体的には、自ら主宰するSDGs茶話会や公開講座を開催する三十三茶屋(大宰府政庁跡前)や維新の庵・松屋のような太宰府の和風店舗や古民家、令和の象徴である風や気持ちが和らぐ空間を想定している。

「令和ゆかりの雅宴となった『梅花の宴』のように同志や仲間が集って語り合い、さらに美しく心を寄せ合い交流・共感していく『太宰府遊学』の場において、学びのまほろば・太宰府につくっていきたい」と考える。
そして、「古都・太宰府に伝わる悠久の自然や風土、歴史、文化、さらに1300年を超える時代の流れの中で育まれた土地や場所、雰囲気の素晴らしさである〝まほろば〟の中から、幕末の志士らも大切にした長寿国家・日本独自の融和・親和性、持続可能性の原点である〝和魂〟の価値観を再発見して、〝学びのまほろば〟を次世代へ、未来へ継承していきたい」と、竹川教授は、「温故知新・笑門来福」を大切に、〝まほろば・太宰府〟を未来へ継承する〝志士〟としての思いを新たにする。

DATA

名 称: 日本経済大学(学校法人 都築育英学園)
住 所:福岡県太宰府市五条3-11-25
開 学:1968年
代表者:理事長・学長 都築明寿香  都築学園グループ総長 都築仁子
事 業:大学教育、研究、地域・社会・国際貢献
URLhttp://www.jue.ac.jp/

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