【人物図鑑】抜群の営業力と誠心誠意の姿勢で零細医療商社を九州最大手へ導く

【画像】株式会社キシヤ 代表取締役会長 末石藏八

株式会社キシヤ
名誉会長
末石藏八

株式会社キシヤ
名誉会長
末石藏八

【すえいし・くらはち】
1947年6月4日生、佐賀県唐津市出身、佐賀県立唐津東高校卒。1966年、義兄が3代目社長を務めるきしや製作所(現株式会社キシヤ)に入社。1998年同社の4代目社長に就任。創業100周年にあたる2010年に会長へ就任した後、、2021年9月名誉会長となる。2022年春の叙勲・褒章で前日本医療機器販売業協会副会長として『旭日双光章』を受章。全国木鶏クラブ代表世話人会の副会長も務める。趣味は釣り、陶芸品収集。座右の銘は「常に天を意識し、堂々と生きる」「世の為、人の為に尽くす」

【3Points of Key Person】

◎ 九州トップクラスの総合医療商社のキシヤ名誉会長で多方面に活躍
◎〝伝説の営業マン〟として九大病院をはじめ各医療機関で実績
◎ 日本人としての誇りを持ち、良識ある経営者や政治家の育成に尽力

創業110年余り九州トップクラスの総合医療商社

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2019年度における日本の医療費は前年度比で約1兆円増の43兆6000億円――。厚生労働省は2020年8月、前年度の医療保険・公費負担医療分の医療費動向を発表した。内訳は診療費35兆5000億円(含む歯科3兆円)、調剤費7兆7000億円だった。そして、1人当たりに換算した医療費は、34万5000円に上る。

「入社して以来半世紀余り、経営理念である≪必要とされる本物の企業とは何か≫を探求しながら、≪常に顧客中心≫で≪真心を知識で包んで仕事に臨む≫という姿勢で事業を通じてお客さま、取引先、社員と共に歩んできた」と語る末石藏八株式会社キシヤ名誉会長は、喜色満面の表情で語る。

九州最大手の医療機器商社であるキシヤは1910年6月、創業者の故郷である糸島半島岐志の地名を冠した医療機器メーカー・きしや製作所として創業した。
今日、医療機器の総合商社であるキシヤは、九州全域を営業エリアに急性期医療のシリンジやカテーテルなどの医療材料からCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの最新医療機器まで幅広く取り扱う。医療現場で用いられる医療機器・材料は60万アイテムに及ぶといわれる中、キシヤは他社に先駆けてSPD(病院内物流管理)システムを構築した。
これらの積み重ねもあって2009年3月期から2022年3月期までの13年間で売上高を327億円から820億円へと2.5倍増となっている。

「〝人間はみんな家族〟という認識で互いに助け合える時代をつくっていきたい。そして、座右の銘である≪世の為、人の為に尽くす≫の精神を持つ日本人の素晴らしい民族性を知って、日本人に生まれたことへの誇りと自信を持てる未来にしていきたい」と、力強く語る末石会長は、『大志塾 修己治人の会』や『日本の未来を考える会』などの勉強会や会合を立ち上げて東奔西走する。
2020年2月には、雑誌『致知』の愛読者らで組織する『木鶏クラブ』の全国木鶏クラブ代表世話人会の副会長に就任した末石会長は、ますます意気軒高だ。

九大病院でシェア7割の〝伝説の営業マン〟

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子どもの頃からデザイン関係に興味があり、建築デザイナーを目指していたという末石会長が、大学進学を諦めた20歳の時に姉の嫁ぎ先だった会社に入社した。
「正直なところ、身内の会社で働くのは嫌だった」と明かす末石会長は、「自分の意志で選んだことだから、自分で決めた以上は迷わない。〝福岡一の医療商社を目指す〟と決めたので、その目標に向かってひたすら走った」と回顧する。
入社時、営業マン5~6人、全従業員でも10人程度という零細企業だった同社において、末石会長は≪顧客から喜ばれ、感謝して頂ける仕事≫にこだわった。

当時、九州の医療機器業界にとっての〝決戦場〟は、九州大学病院だった。九大病院前に従業員100人余りの同業大手が複数あり、営業部長を先頭に2~3人体制で営業に取り組む中、20歳台前半だった末石会長は、たった一人で立ち向かった。
医療知識の徹底習得に加え、他社を上回る圧倒的な訪問活動で医師や看護師からの信頼を獲得した末石会長は、年度末に週7日・1日18時間勤務して毎日4回、事務方へ足を運んだ。さらに年度末の書類作成では、朝から夜まで手伝うなどの積み重ねによって強固な人間関係を築いていく。
「営業マンは通常、事務方もしくは現場に強いタイプに分かれるのに対して、どこへでも顔を出していた私の場合、事務方・現場ともに顔が効いた。そして、全体的なモノの流れを把握できたので、常に先手を打つことができた」と目を細める末石会長は25歳~27歳の時、九大病院での医療機器・資材における取扱高でシェア7割を一人で達成した。

その後、担当した新設の産業医科大学においても顧客中心の営業を実践していた末石会長は、メーカーの政治力や外部からの圧力で内定していた大型の設備投資案件を担当教授や事務職員らからの理解と協力を得て、白紙に戻した。
そして、再度の入札では、取引メーカーからの承諾の下、白紙見積書を出すという前代未聞の大勝負にも出て、会社の創業以来で最大となる大型設備案件の受注を獲得できた。
さらに福岡市子ども病院や佐賀医科大学、福岡徳洲会病院などの新設では、〝切り込み隊長〟を務めて営業の橋頭堡を築いていった。久留米大学病院での新規営業開拓では、誰も見向きもしなかったベッド修理を糸口に新規参入を果たした。

華々しい活躍をみせた半面、それが換えってあだになって、あらぬ誤解を掛けた某大学病院の新設医局では一方的に排除された経験もある。徹底した嫌がらせを受ける中、≪耐えるだけ耐えてみせる≫との覚悟を決めた末石会長が通い詰め、そして誤解が氷解すると一転して、熱心な応援団に変わった。
「お客さまから≪あっぱれ≫と言われる、期待以上の仕事を積み重ねていくと、自然と道は開ける」と説く末石会長は、自らやってきた手法を体系化して社員教育に導入した。そして、会社は成長拡大路線に乗り、九州内における業界最大手の地位を不動のものとする。

「日本人としての誇りを持ち、正しい歴史を」

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「誠心誠意が大事であり、相手が喜ばれることに一生懸命やってきたことで結果を出せた」と振り返る末石会長は、「仕事ができることよりも、人間性が大事である。徳のある人を上に置き、その下に才のある人間を置くべきだ」と考える。

長年、社会から求められて必要とされる〝本物の企業〟を目指し、〝本物の人材〟育成に打ち込んできた末石会長は、「日本人であることを日本人として誇りに思う。日本人は、本来の正しい歴史を学ぶべきである」と力説する。
日本の未来を担う優れた経営者を育てると共に見識ある政治家を中央政界に送りたいとする末石会長は、「来世の夢は政治家になること」と、はつらつとした表情で言い切る。

DATA

名 称:株式会社キシヤ
住 所:福岡市東区松島1-41-21
創 業:1910年6月(設 立:1968年6月)
代表者:代表取締役社長 緒方裕輔
事 業:医療機器・病院設備・福祉及び介護用品販売・SPD事業ほか
URLhttp://www.kishiya.co.jp

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