【人物図鑑】日本の建物修繕・メンテを〝再設計〟する新規ビジネスを立ち上げる

【画像】有限会社オンワーク 代表取締役 森下勝実

有限会社オンワーク
代表取締役
森下勝実

【画像】有限会社オンワーク 代表取締役 森下勝実
有限会社オンワーク
代表取締役
森下勝実

もりした・かつみ】
1969年8月16日生。長崎市出身。八幡大学附属高校(現九州国際大学付属高校)卒。高校を卒業して複数の仕事を経験した後、20歳の時に義兄が経営する塗装会社に勤務して修行を積む。1995年1月に独立、塗装業を個人創業する。2004年12月に有限会社オンワークを設立して、代表取締役に就任。座右の銘は「他力本願」。趣味は旅行、温泉、廃墟巡り。

【3Points of Key Person】

長期計画に基づく建物修繕・メンテナンスの新規事業を立ち上げる
◎ 元野球少年が義兄の会社で塗装業を修行・独立、四半世紀余の業歴
◎ 日本での建物修繕・メンテナンスの〝再設計〟を目指していく

長期計画の建物修繕・メンテの新規事業を立ち上げ

【画像】有限会社オンワーク 代表取締役 森下勝実

日本国内には675 万戸のマンションがあり、1573 万人が暮らす(国土交通省調べ・2020年末時点)。一方、国内の人口30万人以上の主要都市に1万572棟のオフィスビルが建ち、延床面積で1億3178万平方メートルにも及ぶ(日本不動産研究所調べ・2021年1月時点』)。

そして、バブル期に数多く建てられたマンションやオフィスビルは今後、大規模修繕工事や建替工事のタイミングを迎える。特にマンションの場合、国土交通省『マンション修繕ガイドライン』によると、良好な居住環境を確保して資産価値の維持・向上させるための計画的な修繕工事が不可欠とされている。

「大規模修繕工事で分譲マンションの現場を数多く回った中、マンションの住民から管理会社に対する不満の声が数多く寄せられた。このような現状を踏まえて、われわれ自身で住民サイドに立った〝新しいマンション管理会社〟をつくろうと考えていた矢先に革新的な新規ビジネスと出会った」と、顔をほころばせるのは、有限会社オンワークの森下勝実代表取締役だ。
外壁塗装をはじめ建物修繕やリフォームなど工事全般を手掛ける同社において新たに立ち上げるビジネスが、工事先行型〝建物修繕&長期メンテナンス〟サービスの『コンパク』 だ。

マンションの大規模修繕工事は通常、15年に1度のタイミングで半年から10カ月の長期工事で一気に施工していく。これに対してコンパクでは、15年にわたる長期計画に基づいて建物の修繕工事とメンテナンスを継続的に実施していく仕組みだ。

このような特徴を備えたコンパクを導入すると、建物のオーナーは修繕工事を先行的に進めながら、支払いは毎月定額で済むため、大規模修繕工事で必要な多額の資金調達や積み立てが不要だ。また、入居者にとって不自由な長期工事が無くなって従来通り、快適に暮らせる。一方、施工会社は安定的に受注を確保できるため、計画的な施工や雇用で経営の安定化を図れるため、〝三方良し〟を実現できる。  

2022年1月の事業開始に向けて、専用サイト開設や販促物制作、営業体制構築などの準備を進める森下代表は、「サービス開始前から老朽化したマンションのオーナーや管理会社などから《すばらしいサービスだ》との引き合いや事前申込もあって手応えを感じており、潜在的なニーズは大きい」と、自信を持って語る。

20歳で塗装業界へ飛び込み、25歳で塗装会社を設立

20歳で塗装業界へ飛び込み、25歳で塗装会社を設立

幼少期から野球少年だった森下代表は毎日、日暮れまで白球を追い駆けた。中学校での部活引退後も受験勉強をそっちのけで後輩らの練習に付き合う中で偶然、野球強豪校の監督の目に留まり、スポーツ特待生としての高校進学が決まった。
高校卒業後、職を転々とする弟を心配した姉が、夫の経営する塗装会社に引き入れたことが森下代表にとって塗装の仕事、そして建築業界との出会いとなった。

「塗装では、技術力と共に段取りが重要である」と考える森下代表は、「社長タイプよりも親方タイプ」と自己分析する。義兄の会社に入社した半年後、二十歳でプールの塗装工事で現場監督を任された。まだローラーもなかった当時、広大な塗装面を刷毛だけで間に合わない中、ほうきを用いた塗装に挑戦した。結果的に失敗に終わったものの、塗装の師匠と仰いでいた人物によると、「いろいろと聞いてきて吸収し、実行していくことで自分なりに発展させながら仕事をしていた」そうだ。

10年の修行を必要とされる塗装業において、25歳の時に独立した森下代表は当時、バブル崩壊による不況で苦労も多かった。そうした中、自分から率先して現場へ出向いて休みなく働いた。10年後の2004年12月に法人化したのを機に塗装業に加えて、外壁工事や防水工事、内装工事などへ事業領域を広げた。そして、マンションをはじめホテルやパチンコ店、戸建て住宅なども手掛けるようになった。

創業して四半世紀余りとなる森下代表にとって、過去最大のピンチはパチンコ店の増築工事だった。人からの紹介で大規模工事の業者選定コンペに参加して、地元の有名建築会社を破って受注を決めた。
役所への煩雑な関係書類の提出でも完璧を期したつもりだったものの、重要書類の提出において一カ所だけミスがあった。書類不備による工事中止で巨額の賠償金が発生してしまう状況下、役所相手に交渉して不備を是正してくれたのは、高校時代の同級生だった。

「周りの人たちに恵まれていると思う」と謙虚に語る森下代表は、「独立や会社設立などの節目ごとに周りの人たちもステップアップしながら、いろいろな支援をいただいてきたと思う」と振り返る。
独立前年、先祖供養として仏壇を買い求めた森下代表は朝夕お経を上げながら、毎月の墓参りも欠かさないそうだ。

日本の建物修繕・メンテを〝再設計〟に全力投球

【画像】有限会社オンワーク 代表取締役 森下勝実

今日、住宅ストックとして増加の一途をたどる既存マンションは経年と共に修繕工事を増える一方、2回目や3回目の大規模修繕積立金の不足という問題も随所で発生している。
また、マンションの大規模修繕工事に際して管理会社が、住民らの管理組合に設計コンサルタントを紹介するケースもみられる。一見、修繕工事の設計・管理を安価で発注できるものの、付き合いのある施工会社に工事を請け負わせることで結果的にリベート費用込の高額な工事費を請求されるという事案も発生している。近年、マスコミでも〝マンション修繕業界の闇〟として指摘し始めている。

日本の建物修繕・メンテナンスを〝再設計〟する ――。「施工に関して、どこにも負けない技術を持っている」と負けず嫌いを自認する森下代表の座右の銘は「他力本願」だ。業界が抱える闇にも光を灯していくコンパクについて、「独りよがりにならず、みんなで一緒に事業として成功させていきたい」と意欲的な森下代表は、〝一球入魂〟〝誠心一投〟を胸に刻みながら、新規事業というマウンドに立つ。

DATA

名 称:有限会社オンワーク
創 業:1995年1月(設立:2004年12月)
代表者:代表取締役 森下勝実
事 業:建築・リフォーム事業

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