【人物図鑑】スタートアップ支援イベントから〝場〟が誕生し、オープンイノベーションや投資ファンドが生まれる

【画像】GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー 岸原稔泰

GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー
一般社団法人StartupGoGo代表理事
岸原稔泰 

【画像】GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー 岸原稔泰
GxPartnersLLP 代表パートナー
StartupGoGo代表理事
岸原稔泰

【きしはら・としひろ】
北九州市出身、1973年6月生。下関市立大学経済学部卒。1996年4月ヤオハンに入社して経営企画部門に配属された翌年に経営破綻。1999年8月ディ・ブレイン九州(現株式会社グロースアシスト)に入社。九州地域でグリーンシートや証券取引所上場のためのコンサルティング業務に従事。2005年4月ディ・ブレイン証券株式会社に出向して経営企画室長や企業金融部長を歴任。2009年7月ディ・ブレイン九州を経営陣(MBO)して。株式会社グロースアシストとして代表取締役に就任。2016年1月一般社団法人StartupGoGoを設立して代表理事、GxPartners有限責任事業組合を立ち上げて代表パートナーに就任。StartupGoGo実行委員長、IPO異業種勉強会共同主宰者、一般社団法人九州・アジアビジネス連携協議会理事、福岡県ベンチャービジネス支援協議会監事・企画運営委員、福岡証券取引所活性化推進協議会専門部会委員なども務める。

【3Points of Key Person】

◎スタートアップ企業支援のための場づくりや仕組みづくりを手掛ける
◎上場支援を手掛けてマザーズ5社・Q-Board8社、時価総額500億円超
◎スタートアップの生態系、エコシステムで福岡、九州、日本を元気に

スタートアップ企業と地場大手、地域で生じる〝化学反応〟

【画像】GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー 岸原稔泰 

「長年、ベンチャー企業やスタートアップ企業への株式公開支援や経営支援を手掛けてきた専門家である」
GxPartners有限責任事業組合を立ち上げて、代表パートナーに就任した岸原稔泰・一般社団法人StartupGoGo代表理事は自らの仕事について語る。

当初、株式公開(IPO)支援業務に取り組んでいた岸原代表は、ベンチャー支援者や起業家らの有志でスタートアップイベント『StartupGo!Go!」を立ち上げた。
そして、西日本鉄道(西鉄)とのタイアップでコワーキングスペース『天神COLOR』を誕生させて、西鉄をはじめとする地場大手企業などがスタートアップ企業が協業していくためのオープンイノベーション活動も立ち上げた。

一方、スタートアップ企業が第一線の先輩起業家や投資家らから事業計画の改善などの手ほどきを受けられる『StartupGo!Go!アクセラレーションプログラム』をスタートさせた岸原代表は2019年4月、GxPartners有限責任事業組合(LLP)を立ち上げて、スタートアップ企業向けに特化して投資していく『九州オープンイノベーション1号ファンド』を設立・運営している。
一連の取り組みにおいて地場大手企業とタイアップする糸口となった西鉄とは、「最初、連携のオファーをいただいて、われわれの方からコワーキングスペース開設を提案したところ、驚異的なスピードで西鉄所有ビル内に天神COLORが誕生した」と、岸原代表は目を細める。

新たにサービスや技術を導入して自社の経営課題を解決したい大企業、そして企業の課題解決に向けた新サービスや技術を持つスタートアップ企業を結び付けるオープンイノベーションプログラムでは、大手企業とスタートアップ企業との〝化学反応〟が起きてくる。
『西鉄オープンイノベーションコンテスト』の開催を契機にして、九電グループのニシム電子工業、凸版印刷九州事業部、新出光など地場大手企業などの間でも広がりをみせている。

また、2019年4月に誕生したGxParterLLPの九州オープンイノベーション1号ファンドは、ふくおかフィナンシャルグループのベンチャーキャピタルであるFFGベンチャービジネスパートナーズと共同運営だ。ファンド規模として20億円を目指いしており、西鉄をはじめ九電グループのQTnet、新出光、福岡銀行などが出資する。

「世界に通用する新しいベンチャーキャピタルの形態として、短期集中的にスタートアップ企業の成長を支援していくアクセラレーションプログラムを実施している。先輩起業家やベンチャーキャピタリストらがメンター役を務めるほか、地場大手企業の新規事業担当者らも大手企業との事業タイアップに向けてアドバイスしていく」という岸原代表の言葉通り、ユニークなスタートアップ企業に特化したファンド事業として注目を集める。

IMF危機やリーマン危機を生き残ってスタートアップ支援へ

【画像】GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー 岸原稔泰 

アジアで働きたい――。大学時代のゼミでアジア地域研究を選んだ岸原代表が入社したのは国際流通グループのヤオハンだった。新入社員にも関わらず、経営計画室に配属されたものの、入社翌年の1997年に倒産という憂き目にあう。

企業経営の中枢において、IMF危機の最中での経営破綻を経験した岸原代表が経営コンサルタントを志望して、ディ・ ブレイン証券によるディ・ ブレイン九州の設立メンバーとして入社した。ディ・ブレイン九州の船出は新聞・雑誌やテレビで取り上げられるなど華々しかったものの、内部分裂が起きた結果、スカウトした会計士の新社長と同僚との3人体制で地道に株式公開に向けた支援業務を手掛けた。

入社10年を経て勤務先の経営権を取得し、株式会社グロースアシストとして再出発した。これまで東証マザーズ5社、福証Q-Board8社の株式上場を支援して関与案件の時価総額で500億円超という実績を上げているものの、「ITバブルや新興株式市場の相次ぐ開設で盛り上がった後、2007年のライブドアショックでの株式公開の規制強化、2008年のリーマンショックで株式市場が低迷した結果、2006年に年間188社だった新規上場企業は19社まで激減した2009年に再出発したので、必死に取り組み何とか食いつないだ」と、岸原代表は往時を振り返る。

2014年に株式会社サムライインキュベートが東京で主催した1000人規模でのスタートアップ企業向けイベントに出席した岸原代表は、「国際戦略特区となった福岡でも同様のイベントを開催したい」との思いを抱いて、ベンチャー支援者や起業家らの有志で2014年10月に立ち上げたのがStartupGo!Go!だ。
参加者200人・登壇したスタートアップ企業25社で始まった同イベントやオープンイノベーションプログラムなどに参加したスタートアップ企業は現在までに300社を超え、その資金調達の累計金額でも100億円を突破している。
これまで20年にわたって、株式公開支援やスタートアップ企業支援を手掛けてきた岸原代表は、「以前は株式公開での一括千金を狙う起業家が多かったが、いまでは《テクノロジーを使って世の中を良くしたい》というエンジニア系の起業家が増えた」と実感する。

「福岡が元気になることで九州、日本、アジアが元気になる」


【画像】GxPartners有限責任事業組合 代表パートナー 岸原稔泰 

スタートアップ企業に特化したベンチャーキャピタルの発足を契機に、従来の株式公開支援からスタートアップ支援へと大きく舵を切った岸原代表は、「福岡にはスタートアップの生態系づくりの土壌は出来ており、今後のエコシステムとして構築してお手伝いをしていきたい。起業して成長・成功して、エンジェル投資家として地元へ還元していくエコシステムのパーツは、一つ一つそろっており、実践を通じて深めていくことでつくり上げたい」「結果が求められる立場にあるので、しっかりと成果を出していきたい」と語る。
日本国内に留まらず、海外へも活動領域を広げる岸原代表は、「今後、福岡がもっと元気になっていくことで九州、日本、そしてアジアも元気になっていく」と自らの手綱を引き締める。

DATA

名 称:GxPartners有限責任事業組合
住 所:福岡市中央区天神1-15-5
設 立:2019年4月
代表者:代表パートナー 岸原稔泰
事 業:金融業・保険業
URLhttps://gxpartners.vc/

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