【人物図鑑】次世代セレクトショップ『九州ヴォイス』で九州産品を太宰府から発信

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一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

【画像】一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう
一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

【かねこ・しんぞう】
1948年12月7日生、福岡市出身。高校卒業後に大日本インキ化学工業株式会社(現DIC株式会社)に入社。1970年東京デザイナー学院に入学、1972年同校グラフィックデザイン科を卒業。在学中に広告制作会社に入社して、その後共同創業を経て、1974年インデックスを個人創業した。2007年株式会社インデックスプラスに社名を変更して改組。学校法人双葉学園福岡デザイン専門学校の理事長兼校長として後進の育成に努めた。福岡広告協会賞・金賞、銀賞、銅賞、特別賞、TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞作AD、福岡デザインアワード金賞、優秀賞など受賞多数。作品はゲシュタルトウング美術館チューリッヒ、マレーシア美術館、インドネシア・バンドン大学、九州産業大学などに収蔵される。

【3Points of Key Person】

◎太宰府天満宮参道近くにデザイン主導型の九州産品セレクトショップを開設
◎クリエイターらによる連携で社会課題の解決に挑む
◎九州ブランドのグローバル戦略を推進。太宰府でのAR技術連携も実現へ

顧客や事業者らの〝声〟を生かし、〝売れるデザイン〟づくりを手掛ける

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一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

土産店や甘味処などが軒を連ねる太宰府天満宮への参道から一筋入った小鳥居小路に面した一角に古民家を改装した真っ白な壁の店舗がたたずむ。
デザインを切り口にした次世代のセレクトショップである『九州ヴォイス』の入口には、「九州各地の地域性が豊かで、安心安全な原材料を使って、ていねいに作り上げた食品や雑貨商品を取り揃えています!! “九州再発見”」と記した看板を掲げ、店内には洗練されてデザイン性に優れた食品や雑貨などの九州の地域産品が並ぶ。

デザイン主導型のユニークなアンテナショップを運営するのは、デザイナーや建築家らで組織する一般社団法人福岡デザインアクション(FUDA)だ。
FUDAの専務理事である、かねこしんぞう・株式会社インデックスプラス代表取締役は、「九州各地に魅力的な産品が多いにも関わらず、バラバラな状態だった。これらのモノを九州ブランドの産品という枠組みでの情報発信をはじめ、集客や販売していくことによって、全国的にも通用するブランドとしていき、さらに海外マーケットも視野に入れて取り組んでいる」と、にこやかな表情で語る。

デザイナーらをはじめとするクリエイターの集団が実店舗の経営まで手掛けているケースは全国的にも珍しいものの、FUDAは過去に博多リバレインで福岡デザインアワード受賞商品のセレクトショップ『D12』や九州ブランド商品のセレクトショップ『九州マルシェ』を運営してきた実績を持つ。
「これからのデザイナーは単にデザインするだけでなく、顧客や事業者らの〝声〟を生かしながら、販路開拓や販売促進などの〝売れるデザイン〟も手掛けていくことが求められる」と、かねこ専務理事は解説する。
従来、D12や九州マルシェが店舗販売主体だったのに対して、九州ヴォイスでは〝売れるデザイン〟の視点による商品開発や販路開拓などの新たなビジネスモデルづくりに挑む。
九州ヴォイスの2階には、古い梁や土壁を生かしてリフォームした新旧の入り混じった空間を設けて、ワークショップやセミナーなどの多目的スペースとして提供する。デザインを切り口にして、企業や消費者、そしてクリエイターらが共同して、新たなモノづくりや売れるデザインづくりを生み出していく場にもなっている。

半世紀近いデザイナー歴を生かし、クリエイター集団で社会課題の解決に取り組む

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一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

子どもの頃から絵を描くことが好きだったというかねこ専務理事は高校時代、美術部に所属していた。
そして高校卒業後、大日本インキ株式会社(現DIC株式会社)に入社した。当時は、後にデザイナーらにとって必須アイテムとなる印刷用色見本帳『DICカラーガイド』を同社が世に送り出した時期でもあった。

在職中、好きなジャズ音楽家らを描いていたかねこ専務理事の作品が、ジャズ喫茶などに並ぶようになって、デザイナーを志す思いも高まった。
22歳の時に会社を退職して、デザイン専門学校に入学した。
在学中に売り込みに行った大手広告代理店の部長からの紹介で制作会社からの仕事を請け負うことになった。そして、社員として採用された後、1974年に25歳でグラフィックデザイナーとして独立・創業した。

「かつてはデザイナー個人が脚光を浴びるという〝カリスマの時代〟だったが、その後組織力を生かした〝広告会社の時代〟となり、いまはクリエイターや制作会社が連携して社会課題の解決に取り組んでいく〝ソーシャルデザインの時代〟になっている」。半世紀近く地元・福岡のデザイン業界に身を置く、かねこ専務理事は自らの経験を重ね合わせながら、デザインの現状について語る。
《デザインはソリューション》をテーマに掲げる、かねこ専務理事は近年、西鉄の路線バス、BRTバスや久山町バスなどの社会公共デザインや、モノづくりやブランディングなどの分野も手掛ける。そして、金属家具『金属王』やオリジナルデザインブランドを立ち上げ、さらにデザイングッズのWebサイトを活用した情報発信も手掛けるなど、その活動範囲は広い。

価値観が成熟して多様化した今日、課題を解決していく手段の一つとしてデザインが注目される中、「従来はタテ割りだったが、現在ではグラフィックデザイナーや建築家などのさまざまな分野のクリエイターら連携して、チームを組んで取り組む時代を迎えている」と考える、かねこ専務理事は、「デザイン性は専門家だけでなく、誰でも持っている。常に関心を持ってデザインマインドを日々磨いていくことがデザイン性を引き出すことになり、審美眼を養うことにもつながる。そして、日々の暮らしから企業経営まで幅広く生かすことができ、人生そのものを豊かにしていく」と説く。

九州ブランドのグローバル戦略を欧州のデザイン会社との連携で挑む

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一般社団法人福岡デザインアクション専務理事
株式会社インデックスプラス 代表取締役
かねこしんぞう

古来、中国大陸や朝鮮半島との交流があり、特に大宰府政庁が置かれた7世紀後半以降、対外的な貿易・外交・軍事の要衝となった大宰府は昨今、国内外から1000万人が訪れる一大観光地として名を馳せる。
「九州ブランドの魅力ある商品を太宰府の地から日本のみならず、広く世界にも発信していきたい」と考える、かねこ専務理事は、海外展開に向けた販売チャンネル開拓や国際見本市出展に加え、ヨーロッパのデザイン会社とのタイアップによる現地向け商品の開発にも乗り出している。

一方、九州ヴォイスの出店先に選んだ太宰府の魅力を再発見に向けて、かねこ専務理事は地元出身のクリエイターや地域活動家らとも連携しながら、歴史的な遺跡・遺構を最新のAR(拡張現実)技術を用いたリアリティの高い仮想現実を体験できる文化発信プロジェクトの実現にエネルギーを注ぎ込む。

DATA

名 称:九州ヴォイス(運営:一般社団法福岡デザインアクション)
住 所:太宰府市宰府3-4−45
創 業:2019年11月27日
事 業:九州の優れた地域商品の全国向けに発信
URLhttp://kyushu-voice.net/

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