【人物図鑑】スマートホテルで社会起業、福岡を基点に日本国内やアジアへ展開

【画像】株式会社Bulls 代表取締役社長 影山哲

株式会社Bulls
代表取締役
影山哲也

【画像】株式会社Bulls 代表取締役社長 影山哲也
株式会社Bulls
代表取締役
影山哲也

【かげやま・てつや】
1988年6月30日生、東京都杉並区出身、国学院大学久我山高校卒~早稲田大学教育学部数学科卒。2011年4月野村証券株式会社に入社。初任店の調布支店において個人富裕層や中小企業経営者ら向けの資産運用ビジネスに従事して、2014年7月ベトナム・ホーチミンに赴任。2015年5月に帰国して名古屋支店に勤務した後、2016年10月同社を退社。2016年11月株式会社ZUUに入社。社長直下で複数の新規事業を立ち上げた後、 2019年8月に退職。 翌9月に株式会社Bullsを設立して、代表取締役社長に就任。趣味は映画鑑賞、好きな言葉は「力必達」。

【3Points of Key Person】

不動産業界IT化の橋頭堡としてスマートホテル事業を立ち上げ
◎ 東京出身、野村証券でベトナム勤務、東京で設立後に福岡移住
◎ チャレンジできる環境づくりやアジアの貧困解消へ社会起業

新たな波となる、ホテル・不動産界の〝黒船〟が誕生

【画像】株式会社Bulls 代表取締役社長 影山哲也

観光庁『宿泊旅行統計調査』によると、国内の総宿泊者数は2019年まで順調に伸びていたものの、新型コロナウイルス感染症が出現した2020年は一転して、前年比48.9%減の3億479万人と落ち込み、観光・宿泊業は厳しい経営環境下にある。

逆風が吹き荒れる中、2020年5月福岡市・天神にホテル『ORIGO Tenjin #1』、2021年2月同市・春吉に『HOTEL ORIGO NAKASU』がオープンした。
両ホテルを企画・運営する株式会社Bullsの影山哲也代表取締役は、「コロナ禍が本格化する前の2月時点に5月開業で契約していた。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の真っただ中、赤字覚悟で1棟目のホテルをオープンさせた初月宿泊者は0人で、文字通りゼロからのスタートだった」と実情を明かす。
IoTによる省人化・効率化で運営コストを低減させた『スマートホテル』を運営する同社は、通常2年を見込むホテル建設を既存ビルの改装で最短2カ月での開業を可能にしている。

開業後、不安と焦り、プレッシャーで眠れない日々を過ごしたという影山代表は、コロナ禍での非常事態下においても持続的に事業が発展すると共に周辺地域も活性化していく新たなビジネスモデルとして、『ホテルビジネス2.0』を打ち出した。
「もともと単にホテル業ではなく、ホテルをメディアとして、ホテル×ITによる『ホテルテック』の実現を目指す」とする影山代表は、不動産業界のIT化への橋頭堡として〝ホテル×IT〟の掛け算によるスマートホテル事業を立ち上げた。
そして、ホテルビジネス2.0ではホテル×ITを核に宿泊、美容、小売、資金などのビジネス要素を組み込む。具体的には、ホテル×IT×宿泊=『スマートホテル事業』、ホテル×IT×美容=『シェアサロン事業』(空間ビジネス)、ホテル×IT×小売=『D2C事業』、ホテル×IT×資金=『クラウドファンディング事業』を立ち上げた。

第1弾として、6〜7月に実施したクラウドファンディングでは、『未来宿泊券』と名付けたホテルの宿泊予約受付だけでなく、周辺地域の飲食店や物販店と共に地域と一体的に取り組んだ。
「集客装置であるホテルは地域観光の中心だと考えており、宿泊者ら向けに周辺の飲食情報やお奨め情報などをコンテンツとして提供していくことで周辺地域への導線をつくっていく。その結果として周りの店舗も潤い、お客さまも喜ぶ事業モデルを目指す」と、朗らかな表情をみせる影山代表は、「もともとIT支援が得意なので、Webサイトの制作やWebマーケティング、インスタグラム集客、さらに資金調達なども支援できる」と意欲的だ。

野村出身、ベトナム勤務、東京から福岡へ移住

【画像】株式会社Bulls 代表取締役社長 影山哲也

福岡でスマートホテル事業を立ち上げた影山代表は東京出身で当初、会社を東京・渋谷で設立した。そして、福岡を初めて訪ねたのは、会社を設立した後だった。
「ホテル経営を簡単な数式で表すと、《売り上げ―土地代》となる。東京と地方の場合、土地代は圧倒的に違うにもかかわらず、宿泊費はどの地域もほぼ同じ金額だ。このような利ざやビジネスにおいて福岡は注目すべき都市だ。コンパクトな都市であり、ホテルを出店する上での成功率も高いので福岡での事業立ち上げを決めた」と福岡へ移り住んだ影山代表は、「コロナ禍で大変だった中、福岡での固定費の安さは本当に助かった。これらの点も含めて福岡で創業して、本当にラッキーだったと思う」と、波瀾万丈だった事業の創世期を振り返る。

福岡への初訪問時、かつての後輩が福岡で起業しており、彼の紹介でいろいろな人物との出会いもあって2020年3月の福岡移住に合わせて会社自体も福岡へ移転させた。
「福岡で暮らしてみると、東京と違って目立つ。東京の場合、当社のような小さな会社は埋もれてしまうが、福岡では逆にいろいろな方々から声を掛けていただいて有難い」と、目を細める影山代表は、福岡の〝水〟が合ったようだ。

東京で生まれ育った影山代表は当初、数学の教師を目指していた。
早稲田大学教育学部数学科へ進んだ影山代表は、《本来、教員も一度実社会を経験すべき》と考え、自らの〝修行先〟として選んだのは、証券業界最大手の野村証券株式会社だった。
初任店である調布支店に営業マンとして赴任した影山代表は当初、散々な成績だったそうだ。毎日150軒の飛び込み営業の中で「学校と同じだ」と気づいた影山代表は、「資産運用にまったく興味の無い顧客に一から教えて、関心を持たせて自ら行動するという手法を編み出した」
その後、個人富裕層や中小企業経営者ら向けの資産運用ビジネスの営業成績を飛躍的に伸ばし、役員賞や社長賞を数多く受賞した。

2014年、ベトナム・ホーチミンに赴任した影山代表は、生活のために危険な仕事に従事するストリートチルドレンや、4カ国語も話せるのに一家の稼ぎ手として風俗で働く女の子らと出会ったことでアジアの貧困を目の当たりにした。
そして、彼らを積極的に雇って、彼らの夢を叶える飲食店の日本人オーナーと出会ったのだ。
「ビジネスを通してヒトを育てるという姿勢に深い感銘を受けた。マニュアル化しやすいビジネスであれば、多くの人たちが成長でき、自らの夢を叶えるきっかけになると考えた」ことが影山代表にとって起業する上での原点となった。
帰国後、名古屋支店勤務を経て、2016年11月、金融×ITであるファインテックのベンチャー企業である株式会社ZUUに転じた影山代表は、複数の新規事業を立ち上げた。 2019年8月に同社を退職し、翌月に株式会社Bullsを設立した。

みんながワクワクできる世界づくりに挑戦していく

【画像】株式会社Bulls 代表取締役社長 影山哲也

「挑戦したいのにできないことは、すごく嫌なことだと思う。それだけにチャレンジしたい子たちには、自らの夢を叶えてほしいとの思いが、私自身の中に強くある」とする影山代表は、福岡を基点とした今後の事業構想を練る。

「挑戦したい子たちと一緒になって、福岡から全国へ、そしてアジア各地にチャレンジすることでみんながワクワクできる世界をつくっていきたい」と語る影山代表は、自らの夢の実現に向けてチャレンジし続けていく。

DATA

名 称:株式会社Bulls
住 所:福岡市中央区天神3-3-20
設 立:2019年9月9日
代表者:代表取締役 影山哲也
事 業:スマートホテル事業、シェアリング事業、不動産開発コンサルティング
URLhttps://bulls-inc.co.jp/

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