【人物図鑑】元気な福岡の〝縁の下の力持ち〟は、新事業の創出を通じて、未来へ舵を取る

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福岡地域戦略推進協議会 事務局長 
石丸修平


福岡地域戦略推進協議会 事務局長 
石丸修平

【いしまる・しゅうへい】
福岡県飯塚市出身。1979年10月18日生。経済産業省に入省後、大臣官房政策評価広報課、中小企業庁長官官房参事官室等を経て、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に参画。その後、福岡地域戦略推進協議会に転じ、2015年4月から現職。九州大学客員准教授、アビスパ福岡アドバイザリーボード(経営諮問委員会)委員長、九州大学地域政策デザイナー養成講座エグゼクティブディレクター、Institute for Future Asian Football(IFAF)等を歴任。九州経済連合会行財政委員会企画部会長、福岡県飯塚市行政アドバイザー等公職も務める。

【3Points of Key Person】

◎FDC事務局長として戦略策定から推進まで一気通貫で手掛ける
◎元経産省職員で、外資系経営コンサルタルトとしても活動
◎岐路に立たされたFDCを再建して地域の成長エンジンとする

最強都市・福岡を下支えする産官学民の連携組織

天神ビッグバン、SHIP’S GARDEN、Fukuoka Growth Next、Meeting Place Fukuoka……。「すごい」「最強都市」と称されることの多い福岡市のプロジェクトを下支えする産官学民の連携組織が、福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)だ。

「FDCは福岡の新たな将来像を描いて、地域の国際競争力を高める成長戦略づくりから推進までを一貫して手掛けるシンク&ドゥタンクであり、ポイントは様々なニーズに対して、ワンストップでサービスを提供している点だ」と石丸修平FDC事務局長は解説する。

2024年までに30棟のビル更新を促す『天神ビッグバン』の建設投資効果は2900億円で、毎年8500億円の経済波及効果を生み出す。
一方、民間活力の導入で再整備した水上公園『SHIP’S GARDEN』はコストを収益に変えて新たなビジネスとにぎわいを生み出した事業として内外から注目を集める。

また、福岡市のスタートアップ支援施設『Fukuoka Growth Next』では、入居企業24社で約70億円を調達して、約130人の新規雇用を創出している。
さらに国際会議などの誘致強化を目的に2014年に誕生した『Meeting Place Fukuoka』は、国際会議開催件数を発足時の1・5倍となる約380件に伸ばした。

一連のプロジェクトの〝縁の下の力持ち〟といえるFDCは、世界10都市がまちづくりを学び合う『国際地域ベンチマーク協議会』に日本で唯一加盟する福岡市での年次総会開催を契機にして、2011年4月に地元の産官学36会員で発足した。

≪国際競争力の強化で東アジアのビジネスハブになる≫ことを目標とするFDCでは、2020年に雇用6万人増、域内総生産で2.8兆円増、人口7万人増の数値目標を掲げてきた。
石丸事務局長によると、「雇用増、人口増はともに達成しており、統計処理でタイムラグが生じる域内総生産についても達成を見通している」

「企業と行政との橋渡し役として、地域の課題解決に向けた社会実験や新規ビジネスの社会実装などを支援している」と、石丸事務局長は説く。
FDCは一見、福岡市都心部での大型事業が注目されがちなものの、福岡経済圏の離島におけるプロジェクトでも成果を上げている。

まち・ひと・しごと創生本部が打ち出した『生涯活躍のまち (CCRC)』に応じた『壱岐市版CCRC』づくりでは、市民参加の共創活動であるリビングラボを通じて、福岡などからの移住者や地域住人が生涯、健康で活躍できる仕組みづくりをFDCが支援した。

同事業では、住民による空き家リノベーション事業や民間主導によるワンストップサービスなどを通じて移住目標200人に対して204人・新規雇用目標154人に対して253人の数値目標を達成した。

政策提言から新事業の創出へ、路線転換で復活を果たす

「もともと産業政策系の人間であり、法律・予算・政策†などの公共分野が得意。その後、経営コンサルタントとして民間ビジネスを支援して、大学や医療機関向けのコンサルティングも手掛けたので、産官学それぞれの立場について一応の相場観はある」とする石丸事務局長は最初、経済産業省に入省した。
その後、世界4大会計事務所の一角であるプライスウォーターハウスクーパースのコンサルタント部門に転じた。そして、2013年5月福岡地域戦略推進協議会のフェローに就いて、2015年4月に事務局長に就任した。

「FDCは一体、どこを目指しているのか」――。事務局長就任のあいさつ回りで投げ掛けられた言葉が象徴するように当時、FDCは岐路に立たされていた。
「事務局長の就任時、FDCの存在意義について地域から十分な理解が得られておらず、組織的にも変革が求められている状況だった。早急な立て直しと、必要とされる組織になることが求められていた」と、石丸事務局長は振り返る。

さまざまな困難に日々直面する状況において、石丸事務局が心の拠り所としたのは、座右の銘である「莫煩悩」だった。
13世紀、蒙古襲来という国家存亡の危機に立ち向かう若き執権・北条時宗に禅僧の無学祖元が贈った《精神を集中して物事にあたる。できる限りの準備をした後は透明な心で困難に立ち向かえば、自ずと結果は出る》という言葉を胸に最初に手掛けたのは、FDCの活動内容を具体的にし、できる限りの事業を生み出し可視化して、会員からの理解と信頼を得ることだった。

そして、次なる布石として打ったのは、部会中心の運営からプロジェクト中心の運営への抜本的な改革だった。従来、各部会は産学官民による政策形成をベースとした事業化を目指していたため、時間や手間を必要としていた。
このため、地域課題を起点としたプロジェクト中心の運営に舵を切って、既存ビジネスや関連事業組み込んでいきながら、新たな事業を創出していく路線を推し進めた。

さらに域外の会員を増やすことで、従来地元に無かった新たなリソースも獲得しながら、福岡への投資や事業展開を図った。
その結果、福岡市と連携して実施していた『スタートアップ支援』や『福岡100』『実証実験フルサポート事業』などのプロジェクトのスピードも大幅に向上し、新規事業も相次いで立ち上がるという成果を上げた。2019年5月現在、会員190、稼働プロジェクトは70へと拡大している。

社会的インパクトの最大化を図り〝より良い社会〟へ

FDCは、2020年に現在進行中の第1フェーズが完了する。現状、新たな10年を見据えた戦略の検討を進める中、石丸事務局長は、「教育や医療・福祉など公共以外にも解決できる可能性のある分野を対象としていく。あるいは非ビジネスと考えられていた分野で新たな事業を起こして、社会をもっと良くしていきたい」と考える。

もっとも、課題となるのは、社会的インパクト事業は、ビジネスと異なって明確な評価基準がない点だ。
これについては可視化を図りながら、新たな評価軸を市民間で共有化していくカタチでの浸透を考える石丸事務局長は、「常識自体が変わる変換期にはチャンスしかない。従来は過去の延長線上で決まっていたが、誰も答えを持っていない時代においては誰もがプレイヤーであり、チャレンジしたい人たちとは一緒に前へ踏み出していきたい」と、すがすがしい表情をみせる。

DATA

名 称:福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)
住 所:福岡市中央区天神1-10-1市役所北別館6階
設 立:2011年4月
代表者:会長 麻生泰
事 業:福岡地域の成長戦略の策定から推進までを一貫して取り組む
URL:http://www.fukuoka-dc.jpn.com/

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