【人物図鑑】大濠テラスの仕掛け人が考える、〝妄想〟から始まる企画〝必勝〟法

【画像】クレアプランニング株式会社プロダクト開発室室長 戸田三喜郎

BACK UP
まちづくりデザイナー
戸田三喜郎

【画像】クレアプランニング株式会社プロダクト開発室室長 戸田三喜郎
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まちづくりデザイナー
戸田三喜郎

【とだ・みきろう】
1973年7月22日生、愛媛県西条市出身。1996年積水ハウス株式会社に入社。アイランドシティ開発を手掛ける。2014年クレアプランニング株式会社に転じて、商業施設や店舗開発に取り組む。「We Love 天神協議会」会員。2020年9月大濠公園内の日本庭園横に『大濠テラス 八女茶と日本庭園と。』をオープンさせる。その後、まちづくりデザイナーとして活動スタート。好きな言葉は「自分の人生を幸せにするのも、不幸せにするのも自分次第!」「出会いが人生を変える!」。

【3Points of Key Person】

地元の中小企業チームで公募案件を勝利、『大濠テラス』を実現
◎ 積水ハウス出身、アイランドシティなどのまちづくりを手掛ける
◎ 妄想をチームビルディングでアイデアへ昇華させて事業化へ図る

小よく大を制して誕生した『大濠テラス』の奇跡

【画像】クレアプランニング株式会社プロダクト開発室室長 戸田三喜郎

全国有数の水景公園であり、〝福岡のオアシス〟である『大濠公園』――。公園運営者の福岡県は、官民連携による公募設置管理制度(Park-PFI)を用いた公園南側エリアの活性化事業を実施した。その結果、2020年9月に誕生したのが、『大濠テラス 八女茶と日本庭園と。』だ。

「大濠公園内に〝風と光を感じられる『場』〟を創り出したかった。そういう空間を設けないと、私たちが取り組む意味自体も無いと考えていた」と、前職時代に立ち上げた大濠テラスの仕掛け人である、まちづくりデザイナーの戸田三喜郎さんは、にこやかな表情をみせる。


現在、日本庭園の隣に位置して客足が途絶えない大濠テラスだが、当初の計画では、別の場所を予定していた。
本番である『福岡県営大濠公園飲食店等整備事業』には、全国区の大手企業や地場大手などが並み居る中、戸田さんは地元の中小企業チームを率いて応募した。
「熱い思いが無いと、アイデアやプランを考え抜くことはできない」「最初、手弁当で集まってきた地元企業グループの仲間でアイデアやコンテンツを出し合い、とことんまで考えて提案企画に織り込んだ」とする戸田さんらによる《日本庭園とつなぐ》《生産者とつなぐ》《歴史・文化とつなぐ》《未来へつなぐ》とする『大濠公園《つなぐ》プロジェクト』は大手企業を相手に僅差で勝利した。
そして、大濠公園内の立地や運営の仕組みデザインなどを含めて、コンソーシアムチームの総合力が評価されて、グッドデザイン賞2021を受賞するに至った。
その他にも、福岡県木造・木質化建築賞 大賞(2021年度)、福岡市都市景観賞 大賞(2021年度)、福岡県美しいまちづくり建築賞 優秀賞(2021年度)を受賞。

アイランドシティ住民1号、まちづくりを実践する

【画像】クレアプランニング株式会社プロダクト開発室室長 戸田三喜郎

四国の旧家に生まれ育ち、子どもの頃から住宅の間取りに興味を抱いていたという戸田さんは、大学進学で福岡市へ移り住んだ。
学生時代は、企画系サークルに所属して、親不孝通りのディスコ『マリアクラブ』での学生ダンスパーティー企画で1300人超の動員イベントを手掛ける。大卒後、新卒で入社したのは、積水ハウス株式会社だった。

2003年に福岡支店へ転勤して、2005年にアイランドシティ開発室へ異動した。
「積水ハウスにとっては、百道浜に続く福岡市との開発事業であり、誰も住んでないエリアで〝夢ある生活提案〟をする難しさを痛感させられた。販売責任者として、自ら住むことを決意して〝住民第1号〟になり、住民自治体の立ち上げをはじめ、地域清掃や夏祭りの実施などもゼロからのまちづくりに取り組んだ」と、目を細める戸田さんは2008年に戸建住宅販売で社内1位を獲得した。
また、自費で参加していた福岡青年会議所では、〝夢見る専門学校生〟向けの〝活躍・披露する場〟として、『FUKUOKA HAPPY COLLECTION!』を企画した。

もっとも当初、戸田さんが自由に取り組めたアイランドシティのまちづくりも事業が軌道に乗るにつれて、大企業としての〝限界〟を感じようになった。そして、戸田さんは退職して、空間プロデュース事業を手掛ける、前職のクレアプランニング株式会社への転職を選んだ。
「今後、企業は付加価値を持たないと生き残れない。受け身ではなく、企画提案が大事であり、《自分だからできる》《自分にしかできない》案件に取り組んでいる」とする戸田さんは前職時代、博多駅前の人気カフェレストラン『GARB LEAVES』、大川市の観光・インテリア情報拠点『大川TERRAZZA』などを手掛けた。

また、天神地区のエリアマネジメント団体『We Love天神協議会』会員しても『ランチミートアップ』などを企画し、海外先進都市への視察にも参加している。
大濠テラスに続き、コロナ禍で建設延期となったビル予定地を転用したキッチンカーや移動販売車が集まる〝場〟である『薬院テラス』を誕生させた戸田さんは、地元のテレビ番組で〝福岡のテラスブームの仕掛け人〟として紹介されたこともある。

妄想が〝この指止まれ〟の仲間結集で事業となる

【画像】クレアプランニング株式会社プロダクト開発室室長 戸田三喜郎

 「成功するかどうかは別にして、妄想でもいいので、《こんなコトがあったら楽しい》《自分がやりたい》ことに取り組み、挑戦することが大事だ」と、戸田さんは持論を述べる。
その上で「個人でも小さな会社でも《やってみよう》という意志さえあれば、行動して実現できる」との〝根拠の無き自信〟をもって語れる点も強みの一つだ。

これまで数々の妄想をアイデアに昇華し、さらに事業として具現化してきた戸田さんは、「《この指止まれ》スタイルで仲間に呼び掛けて、各自のアイデアやコンテンツ、スキルを手弁当で持ち寄るチームビルディングからコトが始まる」と説く。

「行動する人たちで自らプロジェクトをつくっていくことを通じて、結果的に〝より良いまち〟づくりにつながれば、本当に嬉しい」と顔をほころばせる戸田さんは、『BACK UP』のまちづくりデザイナーとして新たな活動をスタートさせた。
『まちづくりデザイナー』の名称は昨秋、地元中学校に社会人講師として招かれた際に紹介された肩書きであり、本人自身は中学生からの〝プレゼント〟と受け止めている。そして、自らの名刺に次のように書き記す。
「まちと 人、企業、パブリックをつなぎ 豊かなまちづくりに貢献します」

DATA

名 称:BACK UP
住 所:福岡市東区香椎照葉1-5-28
代表者:代表 戸田三喜郎
事 業:まちづくりデザイン、不動産プロデュース事業、PFI事業、PPP事業、Park-PFI事業の支援

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