【人物図鑑】神職との〝二刀流〟の社労士が会社経営を世の中の理不尽さから守る

【画像】安藤政明

安藤社会保険労務士事務所代表
警固神社権禰宜
安藤政明

【あんどう・まさあき】
1967年8月27日生、熊本市出身、熊本県立済々黌高校卒~西南学院大学商学部卒。1990年、日本団体生命保険株式会社に新卒で入社した後、1993年に三井海上火災保険(株)代理店研修生となる。1995年、安藤事務所(保険代理店)を開業。1998年に安藤社会保険労務士事務所を開設。特定社会保険労務士、行政書士、一級FP技能士・CFP、認定心理士。中央大学法学部通信教育課程卒、武蔵野大学通信教育部人間科学部卒、大手前大学通信教育部卒。著書・共著に『労働判例にみる解雇基準と実務』(日本法令刊)、『徹底解説 就業規則作成マニュアル』(大蔵財務協会刊)、『労働判例に学ぶ中小企業の労務管理?労働紛争、モメてからでは遅すぎる』(労働新聞社刊)、『りすくのくすり相続特集』(花乱社刊)、『解雇予告除外認定申請完全ガイド』(日本法令刊)、『脚本で学ぶ個別労働紛争あっせん制度』(花乱社刊)などがある。福岡地方史研究会監事、福岡県地方史研究連絡協議会監事。

【3Points of Key Person】

特定社労士と警固神社権禰宜という〝二刀流〟の使い手
◎ 社労士で実務に当たる一方、3大学の通信制に学ぶ
◎ 執筆した演劇脚本の書籍化をはじめ著書多数

10年ごとに大学でリスキリングに励む異色の社労士

【画像】安藤政明

「おそらく特定社会保険労務士をしながら、神社の権禰宜を務めているのは、私ぐらいではないだろうか

警固神社の権禰宜でもある、安藤社会保険労務士事務所の安藤政明代表は、相好を崩す。安藤代表は神社の家系でないものの、神社を身近な存在と感じてきた者として長年、警固神社の清掃奉仕をはじめとする活動に取り組んできた。
熊本地震後の3年間、出身地である熊本県内の神社の復興を支援していくチャリティー講演会や演奏会を福岡市内の主要神社で開催した実績がある。

社伝によると創建1800年余り、福岡の中心部・天神に遷座して400年余りの警固神社の権禰宜に登録したのは2021年。
〝異色の二足のわらじ〟を履きながら、福岡地方史研究会の役員でもある安藤代表は、「もともとは歴史系の人間であり、神職として神社界に身を置くことでなかなか目にすることができない歴史的遺物に接し、さらに神社の作法についても歴史的な観点からの研究ができる」と意気軒高だ。

特定社会保険労務士に加えて、行政書士や一級FP技能士・CFP、認定心理士などの資格を取得する。
さらに士業の集まりであるリスク法務実務研究会や労働判例研究会、労務士業務研究会などを主宰。
長年、社労士会労働紛争解決センター福岡の副所長・あっせん委員を歴任した。

神職と社労士の〝二刀流〟の使い手は柳生新影流師範

【画像】安藤政明

「20歳代で西南大を卒業して、30歳代の時に中央大学法学部の通信教育課程も卒業し、40代では武蔵野大学通信教育部で認定心理士の資格を取得し、50歳代で大手前大学の通信教育部に学んだ」
各歳代において、大学に在籍した安藤代表は近く、人間学を学ぶ目的で武蔵野大学大学院通信教育部へ進学する予定だ。

最初、新卒で就職したのは、日本団体生命保険株式会社だった。
同社の久留米支社で3年間、生命保険業務に従事した後、あてもなく会社を辞めた。
「これまで3年間、生命保険をやってきたので、今度は損害保険に挑戦していくことで保険全般に精通していこう」
25歳で三井海上の代理店研修生となり、27歳の時に損害保険・生命保険の代理店として独立・起業した。

損保代理店として日々営業していく中、社会保険労務士という職業に出会う。
そして、独学ながら資格を取得した。
30歳のとき、安藤社会保険労務士事務所を開業する。
当初は、保険代理店との兼業だったものの、社会保険労務士事務所に専業することを決めて、代理店業務は譲渡した。

社会保険労務士としての実績を重ねた安藤代表は、「当時、まだ会社側の労働法に詳しい弁護士が少なかった時代だった。そうした中、まともな社員だけでなく、問題社員や悪徳従業員も保護していく労働法の理不尽さから会社経営を守っていくことの重要さを痛感した」と振り返る。
そして、安藤代表は、社会保険労務士の業務の中でも就業規則と労働紛争を専門分野にして極めていく。

これまで数多くの労働紛争の現場において、会社側の社会保険労務士として立ち合ってきた。
そして、労働紛争が解決した後、中小企業の経営者から涙を流しながら感謝されたという経験も幾度となくあるそうだ。

相談者との面談では、〝預言者〟と表されるほどの筋読みや独特の推察力を信条とする。
もっとも、その一方で「相手も人間であり、思い込みや先入観などが働いて、読み間違いとなることもあるので、十分自戒して臨んでいる」ことを安藤代表は、神妙な表情で明かす。

社会保険労務士と神職を兼業する〝二刀流〟ゆえに問題が生じたこともある。
労働紛争が解決して問題社員が退職した後、経営者からは、「お祓いをしてほしい」という依頼があった。
神職として、お祓いをしたところ、社内の一部からは「やり過ぎではないか」という声もあった。

その一方で安藤代表は不惑を過ぎた頃、福岡藩に伝わる剣の古武道である『福岡黒田藩傳 柳生新影流兵法』と出会った。
日々、鍛錬を重ねて柳生新影流兵法荒津会の師範免許も取得している。

また、産経新聞の九州進出以前から同紙の愛読者である。
『産経新聞九州・山口特別版』の発行後、2012年9月から同紙の名物コラム『一筆両断』の執筆陣に名を連ねた。
その後、2024年10月まで12年間にわたって毎月、健筆を振るい続けた。

業仲間らで労働紛争をテーマにした演劇を上演

【画像】安藤政明

元来の歴史好きであり、4歳だった保育園児の頃から武道(剣道、弓道、少林寺拳法)をやってきた安藤代表は、「老後の楽しみとして、刀を極めながら、神職を務めつつ、書道を教えることを考えていたものの、予定よりも前倒しで始めてしまったと、顔をほころばせる。
安藤代表は2025年4月、公民館サークルとして書道教室をスタートさせる。

2013年には、会員で『リスク法務劇団』を組織し、『ぽんプラザホール』(福岡市祇園音楽・演劇練習場)において、一般向けに上演したこともある。
安藤代表は、演劇に関して素人ながら、労働紛争をテーマとした脚本・監督を担当。脚本を基にした書籍『脚本で学ぶ個別労働紛争あっせん制度』も地元出版社から刊行した。

「今後も引き続き社会保険労務士として、世の中の理不尽さから会社経営を守っていきたい」

そう語る安藤代表の姿勢には、職人気質的なこだわりをのぞかせる。

DATA

名 称:安藤社会保険労務士事務所
住 所:福岡市中央区大名2-10-3-C1001
開 業:1998年7月
代表者:特定社会保険労務士 安藤政明
事 業:社会保険労務士事務所

Follow me!