【人物図鑑】住民基点での行政サービスを磨き、博多区の魅力を高めていく

福岡市 博多区長 中村卓也

福岡市
博多区長
中村卓也

【なかむら・たくや】
福岡県古賀市出身、1967年9月1日生、九州大学法学部卒。1990年福岡市役所に入庁。2016年4月同局健康先進都市推進担当部長、2017年4月同局政策推進部長、2019年4月同局総務企画部長、2020年9月同局部長(新型コロナウイルス感染症対策担当)、2021年4月同局理事、2022年4月福祉局長、2023年4月環境局長、2025年4月博多区長に就任。一方、2010年6月九州・アジア経営塾に入塾、翌2011年5月に卒塾。2018年7月碧樹会会長、2022年7月同会アドバイザーに就任。趣味は山登り、ロードバイク、旅行など。好きな言葉は「私は今までに一度も失敗したことがない。電球が光らないという発見を2万回も成し遂げたのだ」(トーマス・エジソン)

【3Points of Key Person】

◎博多区長として、住民サービスの〝フロントライン〟をつかさどる

◎マインドフルネスやウェルビーイングの取り組みを公私にわたり実践

◎セカンドキャリアデザインの勉強会やワークショップで研鑽を積む

商人の町・博多の伝統を守り継ぐ、陸海空の玄関口・博多区

福岡市 博多区長 中村卓也

陸の玄関口・博多駅、海の玄関口・博多港、空の玄関口・福岡空港を擁する博多区は、陸海空の要衝であり、ヒト・モノ・情報の交流拠点としての存在感は大きい。 

世界最古の港湾都市ともいわれる博多は中世、一大貿易都市として栄えた後、蒙古襲来を乗り越え、戦国期の博多焼失からも立ち上がって現在、福岡市7区の一角を占める。

「市民のみなさまに直接、対応していく区役所の現場は、行政サービスのいわば〝フロントライン〟であり、住民基点でのサービス提供に努めている」。2025年4月、環境局長を経て博多区長に就任した中村卓也区長は、にこやかに語る。

人口26.3万人(2025年4月現在)の博多区は、人口で福岡市7区の中で第3位ながら、人口増加率1.6%増(2025年5月/2024年5月)は同7区でトップだ。

また、5年間の定住率は60.9%(2020年/2015年国勢調査)であり、福岡市の中で最も住民の入れ替わりが激しい区でもある。

櫛田神社、住吉神社、承天寺、東長寺、聖福寺、妙楽寺、千年門……。
悠久の歴史に育まれてきた博多の地には、旧所・名跡も多い。
「これらが立地する旧博多部での『博多旧市街プロジェクト』は、価値ある資源をストーリーとまちなみでつなぎながら、市民や観光客のみなさまに認知していただき、楽しんでもらえるように魅力を高めていきたい」と意欲的だ。

ごみ発電会社を合弁で設立、アイランドシティでまちづくり

【画像】東部工場@中村卓也
画像提供:福岡市環境局

学生時代の就職活動時、折からのバブル景気もあって、さまざまな企業から内定をもらいながらも、中村区長は1990年4月、福岡市役所に入庁した。

「ちょうど、『アジア太平洋博覧会-福岡’89(よかトピア)』が開催されていた頃だった。当時、福岡市はアジアに開かれた国際化を掲げており、元気でパワフルだった。市の政策を通じて都市が発展していくことに興味を持っていたので、福岡市は面白いと思っていた」と、中村区長は目を細める。

2000年4月に着任した環境局では、『クリーンパーク・東部』(焼却処理施設東部工場)を建設・運営するための第三セクターの開設に奔走した。
その後、同年9月に福岡市と九州電力の共同出資による株式会社福岡クリーンエナジーを設立し、自らも出向して経営理念や中期経営計画などの策定に取り組んだ。

一連の事業の中でも、工場建設のための資金調達については、福岡市からのごみ処理委託費と九州電力への売電収入をベースにした資金調達を実現した。
「世界を飛び回る海千山千の銀行団の担当者らを相手に1年半もの間、丁々発止を繰り広げた末、福岡市としてはまだほとんど事例のなかったプロジェクトファイナンスという手法で約250億円の資金を調達できたことは貴重な経験になった」と、中村区長は振り返る。

2002年には港湾局に異動し、アイランドシティのまちづくりを8年間担当する。2022年4月にまちづくりエリアの分譲予定地の完売が発表された。
このニュースを聞いた中村区長は、「着任当時は、まだ道路も通っていない更地の状態だった。『環境共生』『健康』『こども』『みんなで関わる』の4つをコンセプトにして、何もない状態から民間企業と共に街の価値をいかに上げていくかということを真剣に取り組んだだけに思い入れも大きい」と感慨もひとしおだ。

民間との合弁会社への出向や官民協働によるまちづくりを経験した中村区長は、「市のリーダーとなる人材は今後、民間企業との交流を深める機会を増やすべきだ」と人事課に直談判した。

そして、人事課長からの勧めで入塾したのが、次世代のリーダー養成を目的とした九州・アジア経営塾(KAIL)だった。

殻を破れ――。
KAILの初代塾長だった四島司・福岡シティ銀行頭取の言葉を胸に刻む中村区長は、「KAILでは、リーダーが持つべき志や価値観を涵養し、変化の激しい時代を切り拓いていくための知恵を醸成してくれた」ことを明かす。
そして、卒塾後、OBらで組織する『碧樹会』の会長も務めた。

一方、福岡市役所においては2013年、保健福祉局へ異動し、市民の健康寿命の延伸に向けて産学官民で取り組む『福岡100』の推進に取り組んだ。

また、保健福祉総合計画策定なども手掛け、さらに新型コロナウイルス感染症対策担当部長としても多忙な日々を送った。
多くのストレスを抱える職員が増える中、中村区長はマインドフルネスの実践やウェルビーイング経営に注目した。近年の研究において、マインドフルネスの実践は、脳の疲労を減らし、注意力のコントロールや感情の制御に効果が認められた。
そして、ウェルビーイング分野では、幸せな人は、創造性や生産性が高く、寿命も長いことが明らかになっている。

「混とんとした時代を生きるリーダーには、マインドフルネスの実践やウェルビーイングの推進がますます必要になってくる」と、中村区長は、健やかな表情をみせる。

福岡100の一環でもあるセカンドキャリアデザインに挑む

福岡市 博多区長 中村卓也

いま、中村局長が個人的に取り組んでいることの一つが、福岡100でも進めているセカンドキャリアのデザインづくりだ。
「KAILに学んだ碧樹会のメンバーでも50代後半から60代前半の会員が増えており、自らのキャリアの振り返りや業務スキルの棚卸しなどに取り組むことが大切になる」と、いち早くセミナーやワークショップを開催している。 

「人生100年時代を見据えて、定年後のセカンドキャリアに向けた早い段階からの準備は今後ますます重要になってくる。碧樹会での取り組みが、日本のビジネスマンのセカンドキャリア構築に向けたモデルケースの一つになれば、嬉しい」と、目尻を下げる中村局長自身、これまでの歩みを振り返りながら、将来への布石をいま打ちつつある。

DATA

名 称:福岡市
住 所:福岡市中央区天神1-8-1
発 足:1889 年4月1日
代表者:市長 高島宗一郎
事 業:自治体事務
URLhttps://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/index.html

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