【人物図鑑】手笛での路上ライブからTEDx登壇、アポロ・シアター出演を果たす
手笛アーティスト
パフォーマー
なかしま拓
【なかしま・たく】
福岡市博多区出身、1995年12月4日生、福岡大学経済学部卒。12歳の時にテレビ番組で手笛を知って興味を覚える。15歳の時、ミュージシャン志望の友人がギターを始めたのに触発されて、手笛の練習を始める。20歳の時に福岡市・中州の春吉橋で路上ライブデビュー。大学卒業後、プロの手笛アーティストとして、音楽事務所などに所属せずにフリーランスとして活動を始める。趣味は旅、将棋。尊敬する人はシンガーソングライターの半崎美子、座右の銘は「機会を待て。だが、決して時を待つな」(ヴィルヘルム・ミュラー)。
【3Points of Key Person】
◎手笛アーティストとして、イベント出演や路上ライブで音楽活動
◎独学で手笛をマスターしてTEDxHakata登壇やアポロ・シアター出演を実現
◎子どもたちの夢への挑戦を手笛での演奏で応援していく
自分の手を楽器に、多彩な音色を奏でる手笛アーティスト
手を組んだ手のひらの空洞内に息を吹き込むと共鳴して、オカリナやホルンのような透明感のある音色を奏でる。
手笛で複雑な旋律も軽快に演奏していくアーティストである、なかしま拓さんは、「手笛の音色は人間自身で創り出す音なので、音階が無く、無限の音を奏でることができる。そして、手笛がもつ音色の揺らぎは、人の心を癒してくれる」と解説する。
自分の手を楽器替わりにして演奏する手笛アーティストである、なかしまさんの活動は、路上ライブからイベント出演やテレビ・ラジオ出演、TEDxHakata登壇、アポロ・シアター出演まで幅広い。なかしまさんの持ち曲は常時約30曲だが、一度耳にした曲を手笛で再現できるため、演奏できる曲数は無限といえる。
大卒後、音楽事務所に所属することなく、フリーランスで音楽活動を続ける、なかしまさんは、「色んな会社の人たちと会えるのが楽しくて50社のインターンシップに参加して、内定も3社から頂いたが、自分のやりたいことをやろうと思って、フリーランスの道を選んだ」。
なかしまさんの音楽活動は、イベントなどへの出演活動と路上でのライブ活動の二本柱だ。
現在は月に10本程度のイベントや結婚式などでのアトラクション演奏への出演があり、TNC開局60周年特別番組『華大・松本のどげんですか?』への出演では、大物タレントである松本人志氏からも絶賛された。
一方、週に6回開催を自らの目標として課している路上ライブは、天神、博多駅、中州の各所において手笛で奏でる。最長15時間という自己記録をもつ路上ライブは毎回、5~6時間というロングラン演奏だ。これらの演奏は、インターネット上に動画としても公開するなど情報発信にも力を入れている。
フリーランスのアーティストである、なかしまさんは以前、自ら飛び込み営業で回ったが、評判が評判を呼んで最近では口コミでの依頼が大半を占めているという。
2019年9月、アメリカのポピュラー音楽界で最も著名なクラブの一つである『アポロ・シアター』で半年に1回開催される公開オーディションに、なかしまさんは登壇した。「事前申し込みの仕組みが無く、登場できるかどうかは行ってみないと分からなかったので当日、朝4時からお店の前に並んで出番を待った」というなかしまさんは、数え切れないほどの応募者が参加した中、予選を突破した。
その後に開催される本選が帰国予定日だったので急遽、航空券をキャンセルして挑んだ。本選では、子ども枠3人を含めて総勢10人で争った結果、日本からの飛び入り参加であり、さらに英語も話せないというハンディキャップを持ちながら、なかしまさんは4位入賞という成績を収めた。
手笛アーティストのデビューを救ったのは意外な人物だった
12歳の時にテレビで見た手笛に興味を持った、なかしまさんは15歳の時にミュージシャンを目指してギターを始めた友人に触発されて、独学で手笛の練習を始めた。最初は1日6~7時間、手笛と格闘して3日目にようやく音を出せるようになった。この間、小指を疲労骨折したものの、手笛の音色に感動した、なかしまさんは手笛にのめり込んでいった。
子どもの頃は引っ込み思案で人前に出たがらなかったという半面、「ひとつのことを徹底的にやり続ける性格だった」という。その一方で、「何よりもみんなの前で披露するのが楽しく、自分にしかできない演奏であることに喜びを感じていた」と、なかしまさんは当時を振り返る。
なかしまさん自身にとっての人生初ライブは2016年の5月28日、福岡市・中州に架かる春吉橋の路上だった。当時20歳だった、なかしまさんは初日、2時間近く手笛を演奏したが、誰も振り向かず、立ち止まらなかった。
諦めようとした矢先、初老のホームレスらしい人物が一人立って聞いていた。そして、演奏している、なかしまさんに近づくと、服の中に手を突っ込んで無言のまま立ち去った。演奏後に確認すると、ポケットから出てきたのは、しわくちゃの1000円札だった。「おじいさんは、ぼくの演奏に対して、なけなしの1000円札で投げ銭をしてくれたことに驚き、感動した」というなかしまさんは後日登壇した、世界的なスピーチイベントを開催・配信するTEDxHakataでエピソードを紹介すると、会場からは万雷の拍手が贈られた。
福岡・日本からアメリカ、世界へ手笛の音色を広めていく
TED、アポロ・シアター、アメリカズ・ゴット・タレント――。「これまで人生の目標にしていた3つのステージのうち、2つを達成できた。残っている米NBCの公開オーディション番組であるアメリカズ・ゴット・タレントへの出演を目指していきたい」と、なかしまさんは思いを膨らませる。
その一方で、教員免許(高校地歴)を取得して、子どもたちの教育にも関心を抱く、なかしまさんは、「子どもたちには、自分のやりたいことや自らの夢などにチャレンジしてほしい」と説く。その上でも「音楽で食っていくことは、けっして難しいことではなく、夢物語でもないことを自らの実践していくことで証明していきたい」と語る言葉にも力が入る。
「世界は音によってできている。音楽は音の無い時にこそ、その素晴らしさが分かってくる」と考える、なかしまさんは今後、活動エリアを日本国内から海外へと広げながら、一歩前へ踏み出そうとする人たちへのエールを手笛で奏で続ける。
DATA
代表者:なかしま拓
事 業:手笛アーティスト、同パフォーマー
URL: https://handflutetaku.hatenablog.com/
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