【人物図鑑】社会問題の解決を初期投資0円・出来高払いのビジネスモデルで図る

株式会社イクシス
代表取締役社長
池田浩

【いけだ・ひろし】
1972年1月4日生、岡山県出身、岡山県立岡山芳泉高校卒~下関市立大学経済学部卒、1994年4月RKB毎日放送株式会社に入社。入社後、福岡・東京・大阪においてテレビCMの販売や番組の企画開発などを手掛ける。2007年からメディア事業局メディア事業部において、イベント(コンサートや展覧会など)のプロデュースに携わる。2009年、データ放送を利用した日本初の広告配信システム『よんday』を開発。2013年ビジネスモデル特許を取得。デジタルテレビの特性を生かした新たな告知方法は話題を呼び、全国の地上波局に広がり同システムを採用して社内表彰を受ける。合わせて取得した商標『dポイント』は、NTTドコモのポイントサービスの名称としても利用されている。ビジネスモデル特許を2件取得。民間放送連盟においてデジタル委員会委員を務め、全国数十件の放送局で講演を実施した。2018年1月に株式会社イクシスを創業し、太陽光発電事業や不動産事業を手掛け始める。2021年12月、RKB毎日放送をコンテンツ開発部部長で退職し、イクシス代表取締役社長に就任。2022年8月、水道事業会社をM&Aで事業買収。現在、九州内で6カ所の大規模太陽光発電所が稼働中。趣味はテニス、釣り、キャンプ。

【3Points of Key Person】

電気・水を初期投資0円で中小企業向けに割安で供給するインフラを構築
◎ 岡山出身、山口で学生時代を過ごし、RKBに入社して新規事業開発を担当
◎ 初期投資0円、出来高払いの社会問題解決ビジネスモデルを他分野へ応用

電気・水を初期投資0円で中小企業向けに割安で供給する

【画像】株式会社イクシス 代表取締役社長 池田浩

「世の中を俯瞰すると、人々の困り事や不満、不便、社会問題を解決していくビジネスが事業としても伸びている。みんなが喜び、みんなが幸せになり、みんなが得をするWin—Winな関係づくりが大切だ」
テレビ業界出身の起業家であり、電気・水インフラを手掛けるスタートアップ企業を立ち上げた株式会社イクシスの池田浩社長は、はつらつとした表情で語る。

〝未来をつくるSDGsマガジン〟をうたう雑誌『ソトコト』は2023年7月、第1回ソトコト・ウェルビーイングアワード2023を開催した。
自社開発サービス『ZEROでんき』『ZEROみず』で受賞した池田社長は、「高騰する電気料金や水道料金で一番困っているのは中小企業だ。中小企業向けのリーズナブルで使いやすい電気や水の供給サービスが無かったので、自ら考案した」と語る。

今回、受賞したZEROでんきとは、契約社の敷地内に太陽光発電所を全額イクシス社の費用で設置して発電した電力を公共電気料金よりも安い単価で供給していく仕組みだ。
このため、契約先である中小企業の初期費用0円となり、電気は必要分だけ自家発電した分からリーズナブルに利用でき、従来の電気料金を最大で20%のコスト削減ができる。
また、電力の切り替えを必要とする新電力と異なり、従来の電力会社との契約は継続可能だ。このため緊急時、バックアップとしても対応できる。
一方、ZEROみずも同じく地下水について地下水プラントを初期費用無しで設置・供給する。従来の水道を併用でき、水道料金を最大30%削減できるという。

たしかに発電システムや地下水プラントを自前設置してのコストダウン手法は従来、電気料金と水道料金で年間各1,000万円以上の大口事業者向けにあった。
ZEROでんき・ZEROみずでは、リース方式をはじめ、導入設備や施工・管理面でオープンな水平分業を採っており、自己完結型で割高になりがちな大口事業者向けシステムとの差別化を図った。
このため、電気料金と水道料金も年間各360万円以上で設置可能となり、これまで導入できなかった中小企業にとっては朗報となる。

「ZEROでんきとZEROみずの2つを合わせて『ZEROインフラステーション』と呼んでおり、電気・水の両方を同じ事業モデルで提供する会社は現在、当社のみだ」とする池田社長は、「電力と水はすべての業種やエリアで共通する。企業経営に不可欠な電気や水をより安価で安定的に供給し、災害時も対応可能な新たなインフラ供給システムをスタートアップ企業が開発した」と意気軒高だ。

RKB時代、日本初の広告配信システム『よんday』で一世風靡

【画像】株式会社イクシス 代表取締役社長 池田浩

郷里である岡山県で生まれ育った池田社長は、大学は山口県、就職は福岡県と同級生の大半が、東京や大阪などへ東上していく中、九州へ渡った池田社長は、「祖母が大分在住で母方は九州であり、私の半分には九州の血が流れている」ことを明かす。

学生時代、体育会の空手部に所属しながら、数多くのアルバイトに従事した。
「自分が何に向いているかは、やってみないとわからない。約100種類ものバイトをやった結果、ルーティンな仕事は自分に向いていない」ことがわかった池田社長は同時に「自分で意思決定して夢を追いかけたい。誰かに委ねるのではなく、自分自身で決定したいので将来、独立して会社をつくろう」と当時から心に決めていたそうだ。
そして、ルーティンと真逆なクリエイティブな職場として選んだ就職先は、RKB毎日放送株式会社だった。

ラジオ制作を志望して入社したものの、配属先はテレビ営業部だった。そして、地元・福岡をはじめ、東京や大阪でテレビCMの販売や番組企画開発、イベント事業などで汗を流した。
福岡の有名企業・RKBも東京では、単なるローカル局でしかないという存在感も体感した。
一方、会社派遣での海外研修で訪ねたアメリカや韓国の放送現場では、福岡の放送局でも日本のテレビ界代表として迎えられると感じた池田社長は、「マーケットが異なると、会社の事業規模や知名度は関係ない。地元で満足するよりも日本全国、世界に打って出て勝負したい」との思いがつのった。

営業担当として東奔西走する池田社長は、社外での多彩な出会いや人脈などを培って2009年、データ放送を利用した日本初の広告配信システム『よんday』を世に送り出した。
ビジネスモデル特許も取得した同システムは、デジタルテレビの特性を生かした新たな告知方法として話題を呼び、全国の地上波局複数社が採用した。

そして、以前から遅くとも40歳台のうちに独立することを決めていた池田社長は2021年12月、RKBを退職してイクシス代表取締役社長に就任した。
「RKBは、ものすごく良い会社で今でも大好きだ。仕事が面白い上に現場に権限を委譲して仕事を任せてくれて、優秀でユニークな社員も多かった」と、サラリーマン時代を振り返って目を細める池田社長は、現在もRKBとは別の広告事業を協業しており、プライベートでは今でもRKBテニス部の正式部員である。

初期投資0円、出来高払いでの社会問題解決手法を水平展開

【画像】株式会社イクシス 代表取締役社長 池田浩

「ZEROでんき・ZEROみずを国内、海外への普及を考えている。そして、社会課題を初期投資0円、出来高払いで解決していくビジネスモデルを電気・水以外の分野にも応用していきたい」との思いを描く池田社長は、新しい住宅団地開発の手法として〝ZEROタウン〟を構想して実現に向けて布石を打つ。

俯瞰して取り組む行動力、既成概念にとらわれない発想力で坂本龍馬を深く尊敬する池田社長は好きな言葉として、龍馬の父・八平が語った「この世に生まれたからには、己の命を使い切らんといかん。使いきって生涯を終えるがじゃ」を挙げ、将来にわたっての全力疾走での事業拡大を目指している。

DATA

名 称:株式会社イクシス
住 所:福岡市中央区大手門2⁻1⁻11
創 業:2018年1月
代表者:代表取締役社長 池田浩
事 業:インフラ開発、広告事業、化粧品開発、通販事業
URLhttps://ixys.info/

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