【人物図鑑】地域・企業とスクラムを組み、プロ球団の未来にトライ

株式会社LERIRO
代表取締役
島川大輝

【しまかわ・だいき】
1983年6月8日生、兵庫県三田市出身。埼玉県立浦和高校、早稲田大学スポーツ科学部卒。在学中より母校・浦和高校ラグビー部のコーチを務め、全国高校ラグビー大会(花園)出場に貢献。2013年に福岡市へ移住し、税理士法人で企業会計支援に従事。その後、24時間フィットネス事業会社の九州統括として、九州エリアの店舗立ち上げ・運営支援を担当。うきは市の地域おこし協力隊を経て、2022年に株式会社LERIROを設立し、代表取締役に就任。信条は「ないなら、つくる」。
【3Points of Key Person】
◎ 兵庫生まれ、阪神大震災で埼玉に。ラグビーが縁でゆかりのない福岡へ
◎ 母校コーチとして花園出場。高校生の進路相談がプロ球団誕生のきっかけ
◎ 地域・企業と共創する次世代型プロスポーツチームを創る
ラグビー王国・福岡に異色のプロ球団が誕生

日本有数のラグビー王国とされる福岡県は戦後、全国社会人ラグビーフットボール大会で存在感を高めてきた。
第1回大会で初代王者に輝いたのは、福岡を拠点にした配炭公団ラグビー部だった。
続く第2回大会では三井化学(当時・三井東圧化学)が栄冠を勝ち獲り、第3回大会で八幡製鉄(現・日鉄八幡製鉄所)が初優勝した。
以後、黄金期を迎えた八幡製鉄は、歴代1位となる12回の優勝を果たす。
2022年1月開幕の日本ラグビーの最高位競技会『ジャパンラグビー リーグワン』に、九州電力、コカ・コーラ、サニックスの3チームが名乗りを挙げた。
しかし、コカ・コーラは開幕目前に廃部し、サニックスも開幕中に活動を休止した。
「当初は4チーム目を目指していたところ、状況が一変して両チームの所属選手の受け皿も兼ね、慌ただしく発足した」と株式会社LERIROの島川大輝代表取締役は明かす。
2022年4月にスタートを切ったプロラグビー球団『ルリーロ福岡』のチーム名は、本拠地・うきは市の鳥・カワセミのルリ色の羽根と、フランス語で「笑い」を意味する単語「le rire」に由来する。
一般的にプロ球団は、大都市圏を拠点に置く大企業が母体であり、「企業のためのチーム」であることが多い。
一方、ルリーロ福岡では、「チームのために事業がある」という発想だ。
球団から選手へ支給される固定給はなく、選手給与は地元企業が肩代わりする。
球団公式アプリや選手個人パートナー制度で得たファンや企業からのスポンサー料が、選手本人へ還元される仕組みを取る。
これらの営業で年間2,000~3,000枚もの名刺交換を重ねるという島川代表は、「うきは市をはじめ福岡県南14自治体と連携協定を結び、500社超のパートナー企業との協力体制は〝ルリーロ経済圏〟として機能している」と相好を崩す。
ルリーロ経済圏からは、事業承継した球団直営の米粉パン『ル・パン舞鶴店』が誕生し、スポーツカメラマンの自立も兼ねた子ども向けフォトスタジオ『Awoooo photography』を立ち上げ、朝倉市ではバーも経営している。
「当社は、『人と地域を〝育てる〟会社』であり、スポーツチームを核とした地域活性化を目指す地域商社だ」と、島川代表は自信を持って語る。
一方、競技面においてもルリーロ福岡は、発足した2022年の秋にトップキュウシュウAで優勝し、翌2023年も連覇して、リーグワン参入を決めた。
地域で高みを目指す地域づくり『ルリーロ構想』

兵庫県南東部に位置する三田市で学習塾を営んでいた島川一家は1995年、阪神・淡路大震災を機に埼玉県へ引っ越した。
子どもの頃、放課後に遊ぶ友だちを横目に見ながら、島川少年は家業の学習塾へ向かう日々だった。
ラグビーと出会ったのは高校時代。担任教諭からの強い勧めで入部した。
ラグビーに夢中になった島川代表は、「ラグビーの魅力は、何よりも仲間とプレーすること」を挙げる。
そして、ラグビーは、島川代表とって、かけがえのない居場所となった。
高校卒業後、早稲田大学スポーツ科学部に進んだ島川代表は、ラグビー部の門を叩いた。
しかし、1年で退部した島川代表は、母校の花園出場を目標に浦和高校ラグビー部コーチに就く。
大学卒業後もアルバイト生活をしながら指導を重ね、30歳の時、54年ぶりとなる全国高等学校ラグビーフットボール大会出場を決めた。
念願の花園出場を成し遂げた年、島川代表は、ラグビーの縁で福岡市内の税理士法人に就職する。
そして、島川代表は、縁もゆかりもない地へ移り住んだ。
税理士法人で企業会計支援に従事した後、24時間フィットネス事業を手掛ける企業の九州統括として、複数店舗の立ち上げや運営支援を担当し、独立した。
2016年に高校ラグビーで日本一を目指す福岡県立浮羽究真館高校ラグビー部監督の吉瀬晋太郎教諭と知り合い、その後同校ラグビー部のコーチに就いた。
2021年2月、進路指導の現場で「高校ラグビーで注目されると、関東や関西の大学へ推薦で進学し、そのまま帰ってこない現実を知った」
「この地域で高みを目指しながら、地域づくりをする『ルリーロ構想』が誕生した」と島川代表は目を細める。
最初は選手3人からスタートし、高校生に交じって練習を始めた。
その後、選手も増えて7人制ラグビーに出場できる規模となり、さらに15人制ラグビーへも出場できるようになった。
そして、ルリーロ福岡の快進撃が始まった。
これまで幾多の経営危機をノリと勢いで乗り越えてきたという島川代表は、人から「なぜ、このような大変なことをやっているのか」と問われるたびに、「人生は、大いなる暇つぶし」という持論を述べながら豪快に笑う。
強いチーム・強い地域づくりにトライ

「競技性・事業性・地域性の3つが重なる領域で<スポーツ×〇〇>という発想で地域に貢献する活動に取り組んでいる」と語る島川代表は、地域とのスクラムを重視する。
具体的な内容について島川代表は、「競技性で頂点を目指しながら、事業性ではチームを経済的に支えていく〝地域のインフラ〟を構築し、さらに地域性で日本一・世界一豊かな地域を目指し、強いチーム・強い地域を実現していく」と考えを示す。
そして、「地域企業とともに地域経済を支える存在であり続けることが、ルリーロ福岡の使命だ」と力強く語る。
事実、ルリーロ福岡の選手らは、各自が地域の企業で働きながら、日本ラグビー界最高位のリーグワンという舞台で大都市圏の企業母体のチーム選手と対戦していく。
それ自体が独自の戦いであり、プロ球団としても未知の挑戦だ。
「ルリーロ福岡のチームメッセージは、<We have wings だれもが、いつでも、どこでも、何度でもチャレンジできる社会の実現>」と語る島川代表は、自ら地域とプロ球団の未来にトライしていく。
DATA
名 称:株式会社LERIRO
住 所:福岡県うきは市吉井町18-1
設 立:2022年3月
代表者:代表取締役 島川大輝
事 業:プロスポーツ事業、経営支援・BPOサービス事業、教育・研修サービス事業、M&A・事業承継事業、ソーシャル事業、不動産・拠点開発事業URL:https://leriro.co.jp/


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