【人物図鑑】異色のカラオケ経営コンサルが描く5G時代のカラオケ未来社会

株式会社カラオケボックスコンサルタント経営
代表取締役
縄田正孝

株式会社カラオケボックスコンサルタント経営 
代表取締役 縄田正孝
株式会社カラオケボックスコンサルタント経営 代表取締役
縄田正孝

【なわた・まさたか】
福岡市出身、1967年2月生、福岡市立福岡西陵高校卒~九州産業大学工学部機械工学科卒。電材会社に入社して2年間勤務した後、カラオケボックス会社に転職して、店長、部長、常務取締役を歴任した。2014年1月株式会社DSAを設立して、代表取締役に就任。社名の由来は、「Do(実行)Speedy(迅速)Act(改善)」とする縄田代表の行動原理に基づく。同年5月、『カラオケCLUB DAM博多駅前店』を福岡市博多区博多駅前3丁目に出店。2019年2月株式会社カラオケボックスコンサルタント経営を設立して、代表取締役に就任。尊敬する人物は松下幸之助と孫正義。趣味はゴルフとマラソン。カラオケ自体は仕事だが、マイクを片手に歌う曲として菅田将暉やあいみょんを挙げる。

3Points of Key Person】

◎カラオケボックス経営者がコンサルティングを手掛ける
◎カラオケ業界歴は四半世紀余、店長などを長年務めて独立
◎これからの5G時代の到来でカラオケ産業は大きく変わる

知られざる6000億円レジャー市場・カラオケ産業のいま

市場規模6165億円(2015年)、参加人口4750万人(同)、施設数9555カ所――。一般財団法人全国カラオケ事業者協会調べの通り、日本においてカラオケは一大レジャー産業だ。
もっともカラオケ産業のピークは1996年だった。
1996年の市場規模1兆2980億円から半減以下に落ち込み、参加人口・施設数もピーク時の5690万人・1万4810カ所から17%減少・35%減少しており、縮小傾向は否めない。

「カラオケボックス業界は依然として軒数が多く、メーカー直営をはじめ大手チェーン店の割合が高い。一方で新規参入は少なく、異業種から新規参入した場合、失敗するケースが多いという特殊な産業である」と、株式会社カラオケボックスコンサルタント経営の縄田正孝代表取締役は解説する。

オーケストラなどの生演奏ではなく、レコードやテープで演奏を代用する《空オケ》を起源に日本で発明されたカラオケは、海外でも人気が高いレジャー産業だ。1960年代後半にジュークボックスにマイク端子を付けて歌唱できるサービスが考案されて、その後歌謡曲の伴奏を収録したミュージックテープも発売された。
1971年に伴奏テープ収録のカラオケ1号機『エイトジューク』の登場でビジネスとしてのカラオケ事業が始まった。その後、映像カラオケや採点システムが一般化した。1985年に登場した屋外型カラオケボックスで全国的なブームに火が付いた。

カラオケ業界に四半世紀余り身を置き、現場の店長などを長年務めて部長や常務取締役を歴任後、2014年1月に起業して自らカラオケボックスを営む縄田代表は、「カラオケボックス経営では、店長やマネジャーなどの現場社員の育成がカギになる。規模的に多い20~30室の場合、店長とマネジャーの社員2人とアルバイト約20人で運用しており、社員である店長とマネジャーの力量が店舗経営を大きく左右する」と力説する。
現役経営者がカラオケボックスコンサルティングを手掛けるケースは極めて珍しく、自らの経験や実務を基に実践的なカリキュラムを組んで社員やアルバイトの戦力化を図っている点が強みだ。

「たしかにカラオケメーカーによる店舗運営マニュアルはあるものの、多岐にわたるお客さまを接客するサービス業の現場においては、マニュアルにプラスアルファした接客おもてなしが求められる」とする縄田代表はコンサルティングだけでなく、カラオケボックスの運営自体も自社の運営会社による受託も可能だ。

カラオケボックス経営での絶体絶命のピンチが吉となった

工学部機械工学科を卒業した縄田代表は最初、電材会社に入社した。2年間勤務した後、25歳の時にカラオケボックス経営者から店長としてスカウトされて、カラオケ業界に身を投じた。
当時、郊外から都心へ進出してきたカラオケボックスの移行期であり、全国的に一大ブームを巻き起こしていた。

勤務先の店舗所在地だった福岡市・親不孝通りも全盛期を誇っていた。その後、西通り・大名の隆盛とともに衰退し始めた状況に危機感を抱いた縄田代表は、地元町内会に入って、地域を盛り上げるために『天三祭り』などのイベントを企画・開催した。
一方、メイド喫茶の流行時にいち早く、カラオケボックスでのコスプレサービスを開始すると、想像を上回るヒットとなって天手古舞した思い出もある。

起業後、自ら経営する店舗の出店先として選んだのは、博多駅博多口だった。「周囲がオフィス街で人通りが多いにも関わらず、カラオケボックスは無かったので、オーシャンブルーだと確信していた。しかし、博多口で働く人たちにとってのカラオケボックスは博多駅筑紫口であり、中州だった。当初、集客では相当苦労した」と、縄田代表は打ち明ける。
危機感を抱いた縄田代表は、チラシやDM、イベント企画、立て看板、など考えられる限りの策を講じたものの、苦戦し続けた。

転機が訪れたのは開店3年目の2017年だった。オープン以来、悪戦苦闘を続けていた店舗近くに同業大手が出店して来たのだ。「最初は青ざめたが、売り上げの落ち込みはオープン当月の1カ月だけで、2カ月目以降は逆に売り上げが伸びた」という。
この点について縄田代表は、「それまでの集客策が奏功したことに加えて、ライバル店の登場が博多口の人たちにカラオケボックスの存在を認識させることができ、相乗効果も生み出した」と分析する。ライバル店の誕生以降、客足は毎年約2割増で伸び、売り上げで当初の1.5倍まで拡大した。

今後の5G時代におけるカラオケ産業の新たな可能性

2020年から本格的に供用が開始されるのが、従来比で約10倍の高速大容量・多接続が可能な第5世代移動通信システム(5G)だ。
「これからは、いつでも・どこでも・誰とでもカラオケを楽しめるようになる。カラオケボックスという枠を超えて、スマートフォンでも楽しめるだけでなく、VR(仮想現実)技術を用いて、まるでコンサート会場で歌っているような満足感も得られるようになっていく」と、縄田代表はみる。

今後、カラオケ業界を取り巻く技術革新をビジネスとして生かしていければ、100億円企業づくりも可能と考える縄田代表は、「今後、カラオケでますます世界が楽しくなっていく。これからの時代では、大いに人生を楽しもう」と意気軒高だ。

DATA

名 称:株式会社カラオケボックスコンサルタント経営
住 所:福岡市博多区博多駅前3−22−5−4階
設 立:2019年2月
代表者:代表取締役  縄田正孝
事 業:カラオケボックスの経営コンサルティング業務
関 連:株式会社DSA(カラオケクラブ DAM 博多駅前店)

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