【人物図鑑】鉄道の安全・安心な運行を下支えする技術者集団の人材育成に注力
西鉄エンジニアリング株式会社
取締役社長
永尾亮二
【ながお・りょうじ】
1965年生、福岡県出身1988年4月西日本鉄道株式会社に入社、同社電車局営業部業務課長、2012年7月筑豊電気鉄道取締役電車事業部長、2013年7月西鉄テクノサービス(現西鉄エンジニアリング)常務取締役、2015年6月西鉄ステーションサービス社長、2017年6月筑豊電気鉄道代表取締役社長を経て、2021年4月西鉄エンジニアリング株式会社社長に就任。趣味は剣道、座右の銘は「周りを、元気にしたい」。
【3Points of Key Person】
◎西鉄グループの鉄道技術者集団の会社社長として、経営のかじを取る
◎鉄道好きもあって西鉄に入社。鉄道系子会社の社長・役員を歴任
◎中学時代に始めた剣道での80歳現役を目指して鍛錬を重ねる
鉄道の安全運行を担う〝縁の下の力持ち〟技術者集団
「1年365日、運行時間内でよほどのことが無い限り、動き続けているのが、公共交通機関としての鉄道だ」
「このような鉄道の安全・安心な運行を支えているのは、人知れずの夜間作業や炎天下での野外作業に従事している社員らによる頑張りの賜物である」
85社・1学校法人で従業員数(連結)2万人弱の西鉄グループにおいて、車両をはじめ軌道や土木施設、鉄道電気・通信設備などの鉄道関連整備事業を担う西鉄エンジニアリング株式会社の永尾亮二社長は、真摯な姿勢で自社の取り組みを語る。
鉄道運行を支える、いわば〝縁の下の力持ち〟的な存在である西鉄エンジニアリングは、西鉄天神大牟田線や西鉄貝塚線、グループ企業の筑豊電鉄に加えて、九州内の公営鉄道や第三セクター、私鉄の鉄道車両整備事業も手掛けている。
1968年8月に西鉄興産株式会社として設立した同社は、2002年12月西鉄テクノサービス株式会社に改称した。
その後、2019年4月にグループ会社の鉄道技術・車両部門を統合して、西鉄エンジニアリング株式会社としてスタートし、現在に至っている。
「社員一人一人の力によって、会社の使命が果たせており、社員の成長が会社の発展につながっている」
「現在、会社を挙げて取り組んでいることの一つが、〝人財育成〟だ。〝人財育成〟は、当社にとって最も大切なことだと考えており、みんなで一緒になって取り組んでいる」と、永尾社長は朗らかな表情をみせる。
同社における具体的な取り組みとしては、専門家による支援や指導も仰ぎながら、各部署の管理職が自ら考える人材育成のグランドデザインの原案を描いていく。
そして、全社員に説明した上で意見交換や質疑応答を重ねていきながら、みんなが腹落ちするような形での〝人財育成〟の仕組みづくりを進めているところだ。
「〝人財育成〟の取り組みにおいて一歩一歩ではあるが、前へ着実に進んでいると思っている。なんとしても、社員が自らの成長を体感しながら、仕事へのやりがいを感じられる〝働きがいのある会社〟にしていきたい」と、永尾社長は奮闘し続ける。
「周りを、元気にしたい」を信条に組織づくりに尽力
「鉄道が好きだったこともあるが、地域に根差した会社であり、地域と共に歩みながら、地域を良くしていきたいとの思いが強かった」とする永尾社長は1988年4月、西日本鉄道株式会社に入社した。
入社後、電車局営業部業務課長、筑豊電気鉄道取締役電車事業部長、西鉄テクノサービス(現西鉄エンジニアリング)常務取締役、西鉄ステーションサービス社長、筑豊電鉄の代表取締役社長を歴任して2021年4月、西鉄エンジニアリング社長に就任した。
「周りを、元気にしたい」━━━。
西鉄ステーションサービスでの総務部長時代、契約社員主体の組織である一方、当時まだ契約社員向けの人事制度が無かった。
このため、新たな人事制度づくりのミッションが、会社から永尾社長に下った。
当時、次世代リーダーの育成する九州・アジア経営塾(KAIL)に通っていた永尾社長は、「KAILでは四島司塾長と出会い、自らの殻を破ることの大切さを学び、自分の目指す北極星を見出して、ぶれない軸を持つことの大切さを知った」と、目を細める。
そして、ちょうど永尾社長の在塾時だったので、契約社員向けの人事制度構築を、卒論に該当する総仕上げの<個人プロジェクト>のテーマにした。
「パートナーである専門家のアドバイスを受けながら、新制度の構築に取り組んだ。その時、何のために行うのか、の問いに答えられなかった」ことを明かす。
そして、正直避けていた、契約社員からの話を徹底的に聞くことにした。そう決めた瞬間、自分の殻が破れていくのを感じた。
聞くと「お客さまからの『ありがとう』という言葉が嬉しい」などの意見が出て、事務局メンバーから、「これは元気プロジェクトだ」という声が出た。それ以来、「周りを、元気にしたい」一心で励んでいる。
当時を振り返りながら永尾社長は、「以前は指示されたことをしっかりとやり遂げる仕事をしており、そのことに対して自信さえも持っていた。しかし、KAILで学んだことで自分の目指す目的を実現させていくために<いま、ここで何をやるべきなのか>について、常に深く考え、行動するようになった」と、率直に語る。
その後の2017年6月、筑豊電気鉄道社長に就いた永尾社長は、課長以上の管理職らで意見を出し合いながら、社員らの声も聞いた上で企業スローガン「笑顔あふれる『明日』を創る」を制定した。
そして、2018年11月、日本で初めてといわれる、2種類の車体塗装を列車の左右両面に塗り分けた〝二つの顔を持つ〟列車を登場させて、大いに話題を集めた。
この斬新なプランも社員からのアイデアや声によって実現したものだった。
「仕事も剣道と同様に基本が大事だ」「修練し続ける」
「何事も<基本が大事だ>ということをあらためて悟った。<素振りがきちんとできなければ、その先はない>と原点回帰し、素振りの稽古に励んでいる」と語る永尾社長は、中学時代に剣道を始めた。その後、高校進学後も強豪だった剣道部に入部し、さらに大学でも剣道を続けた。
社会人になって久しく遠ざかっていた竹刀を再び降り始めた永尾社長は、「いま自分より高齢の先生に付いて、剣道の稽古をつけていただく中、剣道の奥深さをあらためて実感している」
「毎回、基本も含めて自分の足りないところを学んでいる。」と、はつらつとした表情で語る。
「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」(宮本武蔵)━━━。
「仕事も剣道と同様に基本が大事だ。剣道の先生を見習って私自身、80代になっても剣道を続けられ、少しでも上達できるよう、体力づくりも含めて修練し続けていきたい」と意欲をみせる永尾社長は日々、仕事と剣道での鍛錬を重ねる。
DATA
名 称:西鉄エンジニアリング株式会社
住 所:福岡市南区大橋2-10-3
設 立:1968年8月16日
代表者:取締役社長 永尾亮二
事 業:車両ならびに軌道及び土木施設、鉄道電気・通信設備・駅務機器の検査・整備・補修・改修
URL:https://nishitetsu-eng.jp/
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