【人物図鑑】チャーミングで健やかな地域社会づくりへ運動プログラム開発で導く

株式会社スタディオパラディソ
代表取締役
森山暎子

【もりやま・ひでこ】
1961年12月2日生、福岡市出身、福岡県立福岡中央高校卒~別府大学文学部卒。在学中にエアロビックダンスのインストラクターとなる。大学卒業後、渡米して日本人として初めてのAFAA(アメリカエアロビックフィットネス協会)公認インストラクターの資格を取得。1983年に起業し、1985年指導者養成コースを開設。1986年に会員制フィットネススタジオを開設。2009 年九州大学大学院に入学、2010年10月から福岡市と共働で天神地区において『10分ランチフィットネス』を始める。大学院を修了した2012年に『一般社団法人10分ランチフィットネス協会』を設立し、代表理事に就く。座右の銘は「継続は力なり」「心に太陽を、くちびるに歌を」「一隅を照らす」。

【3Points of Key Person】

運動プログラムの開発を通じて〝チャーミング〟な地域社会を創造
◎ 運動が苦手だった女子が日本人初のAFAAインストラクターになる
◎ 暮らしているだけで健康的な行動につながる『0次予防』に取り組む

運動不足や苦手意識のある人向けに運動プログラムを開発

【画像】株式会社スタディオパラディソ 代表取締役 森山暎子

「身体・心・精神性のバランスを整え、しなやかさを開花させた人々と共にチャーミングな地域社会を創造していきたい」
エアロビクスのインストラクターとして、40年余りのキャリアを持つ、株式会社スタディオパラディソの森山暎子代表取締役は、福岡市・平尾の筑肥新道沿いのビルにある自社スタジオで生き生きとした表情で語る。

エアロビクスとは本来、空軍の軍医であるケネス・クーパー氏がNASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙飛行士向けに開発した心肺機能強化の有酸素運動プログラムだった。
その後、1980年代にアメリカから日本へ伝わった際に派手なコスチュームで走り飛び跳ねるなどの激しい運動を伴うエアロビクスダンスとして紹介された。

自社スタジオでのレッスンや指導者育成に加え、企業や自治体、医療機関、教育機関などで実技を交えた講演やレクチャーなどを 2000 回余り実施してきた森山代表は、「健康な人とは、病気や障がいの有無を問わず、その人らしく生き生きと暮らしている人だ」と考える。
そして、運動不足や苦手意識のある人たちを対象に開発した運動プログラム『パラディソ体操』は、福岡大学医学部と同スポーツ科学部による『ニコニコペース有酸素運動』と、古武道に由来する『立腰・丹田』の姿勢づくりを特徴とする。

一方、働く人たちの運動促進を目的に考案した『10 分ランチフィットネス』は、福岡市やまちづくり団体、企業などの協力を得て、市内各所の公開空地などで延べ 8000 人の参加者の声で開発した『パラディソ体操』をベースの運動プログラムだ。

これらの知見に基づいて、企業の健康経営を支援していく運動プログラム『active rest』は、産業医科大学や福岡大学との調査結果で職場の活力やコミュニケーション、生産性の向上に寄与することが明らかになった。
一連の取り組みは、日本産業衛生学会での各賞受賞や米国産業医学誌に査読付きで掲載されるなど、森山代表は、「運動プログラムづくりに大いなる使命感を感じている」と目を細める。

日本人初、米エアロビックフィットネス協会の公認資格を取得

【画像】株式会社スタディオパラディソ 代表取締役 森山暎子

歴史好きな一方、部活に挫折して理不尽な運動を苦手とした森山代表は受験時、第一希望だった京都の大学入試に失敗した。
そして、恩師の勧めで地方都市の小規模校ながら、歴史研究で特徴のある大学へ進んだ。

学生時代、友人と入った喫茶店で古伊万里の磁器に魅了された森山代表は、同店でのアルバイトを始めた。
喫茶店での常連の一人におしゃれで格好良い女性客がいた。「この人と仲良くなりたい」と思った森山代表は、彼女がジャズダンスを教えていることを知り、習い始めたことがエアロビクスとの出会いとなる。
その後、大学3年生だった20歳の時にエアロビクスのインストラクターとして活動を始めた。

エアロビクスについて学んでいく中でクーパー氏の著作に出会い、「当時のアメリカが抱えていた生活習慣病とメンタル失調者の増加は、何年か後には日本でも起きる。今後、日本でもますます運動が必要になる」と考えた森山代表は、アメリカへ留学する。
そして、日本人として初となるAFAA(アメリカエアロビックフィットネス協会)の公認資格を取得した。
森山代表は帰国後、個人事業主として、地元銀行や文化サークル、公民館などのレッスンや指導者育成に取り組んでいく。

1990 年に開催された福岡県とびうめ国体の開会式では、1800人による集団演技の企画や振り付けを担当し、自らも出演した。
また、福岡市健康づくりセンター『あいれふ』が完成した1995年には、開館イベントのパネリストとして登壇する。
2008年、株式会社ヤクルトの『腸トレ体操プログラム』の作成および監修を手掛けた。
論語での「知命」を控えた森山代表は2009年、「本質の価値を見極めて、クリエイティブに取り組むことが大事だ。仕組みなども含めたソフト分野について学びたい」と、九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻に入学した。大学院での研究や活動などは、10 分ランチフィットネスやパラディソ体操として花開く。

その後、開発したプログラムを事業化して広げていくために試行錯誤を繰り返し、軌道に乗り掛けたタイミングで立ちはだかったのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の到来だった。
「ピンチをチャンスにするのは得意かもしれない。その学びを誰かのために役立てていくことで自らの知見となり、いつか人も社会も自分自身もハッピーになるという好循環がおこる」と、振り返る。

社名はイタリア語の「天国」や「楽園」に由来

【画像】株式会社スタディオパラディソ 代表取締役 森山暎子

暮らしているだけで、いつの間にか健康的な行動につながっていく『0次予防』の仕組みや環境づくりのプログラムを提供していきたい」と、森山代表は瞳を輝かせる。
森山代表が社名として掲げる『パラディソ』(paradiso)とは、イタリア語で「天国」や「楽園」を意味する言葉だ。
20代後半に森山代表は半年間、ヨーロッパ各地を放浪した経験がある。「がむしゃらに突き進んだ道の前に新しい価値観とともに世界が広がり、肩の力が抜けた」という。

昨今、「人生100年時代」が叫ばれる日本は今後、ますます高齢化率を高めていく。
日本における高齢社会が、〝長寿社会〟として≪その人らしく生き生きと暮らしているかどうか≫、今後の取り組みに注目が集まりそうだ。

DATA

名 称:株式会社スタディオパラディソ
住 所:福岡市南区平和1-2-23 森山ビル4階
設 立:1986年12月20日
代表者:代表取締役 森山暎子
事 業:フィットネスクラブ運営、健康に関する人材育成・認定・ライセンス事業・コンサルティング・調査および研究・出張プログラムの企画および管理
URLhttps://paradiso.ne.jp/

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