【人物図鑑】特区高校を舞台にソーシャルイノベーション×発達障害×就職に取り組む

内閣府認定特区高等学校:明蓬館高等学校 理事長補佐
ニューロ・インクルーシブ研究会 主幹
桃原祥文

【ももはら・よしふみ】
1957年4月26日生、福岡県宗像市出身、西南学院大学文学部外国語学科(英語専攻)卒。1982年4月にロイヤル株式会社に入社、福岡空港店や千歳空港店、沖縄空港店、成田空港店などで店長・支配人を歴任後、地場大手人材会社に転職して障がい者アスリート支援などを手掛けた。2008年にリーフラス株式会社に転じて執行役員や顧問を務め、障がい者アスリート『リーフラスチャレンジ』を創設。2012年から3年間九州医療スポーツ専門学校において医療・治療とスポーツの統合による全世代健康事業を推進後、長崎県へ移住して地方創生交付金事業や厚生労働省緊急雇用人材育成事業を手掛けた。2018年に株式会社九電ビジネスフロントに転じた後、2024年9月、明蓬館高等学校理事長補佐に就任。趣味は「公私統合」。
【3Points of Key Person】
◎ソーシャルイノベーション×発達障害×就職での研究会を立ち上げ
◎幾多の業種・地域における共同化による地域課題解決を手掛ける
◎明蓬館生徒の一般企業・特例子会社への就活支援・コーディネート
不登校だった子どもたちが通う通信制の特区高校

通信制高校に通う生徒は29万人強、高校生の11人に1人が通信制を選択(文部科学省『令和6年度学校基本調査』調べ)━━。
内閣府から『地産・地習・e環境教育特区』に認定された福岡県川崎町で2009年、明蓬館高校は広域通信制課程の単位制普通科として開校した。
同校は、インターネット通信教育事業や学校事業の企画・運営を手掛ける株式会社アットマーク・ラーニング(東京都品川区、日野公三社長)によって、旧川崎町立安宅小学校校舎を用いて誕生した。
「小・中学校時代に不登校でほとんど通っていなかった子どもたちが毎日、9割以上も通学している」
内閣府認定特区高等学校(全国広域通信制)である明蓬館高校の桃原祥文理事長補佐は、自宅学習がメインの通信制にもかかわらず、生徒の大半が通学して来るという同校の状況について語る。
「いわゆる発達障害は、発達特性であり、それぞれの特性に合った学習環境を整えるべきだ」
「各教科の教員や福祉支援員、臨床心理士のチームで子どもたちの興味や関心を教科に結び付けたカリキュラムを編成している」
「そして、パソコンやタブレット端末を用いた学びを自分自身の探究として、学習成果をレポートにしていく」という明蓬館高校は現在、川崎町の本校をはじめ全国7カ所に直営施設とサポート施設24校があり、在籍生徒数は約1,000人にも及ぶそうだ。
「<ソーシャルイノベーション発達障害×出口戦略としての就職>に取り組んでいる団体が、ニューロ・インクルーシブ研究会だ」
「脳の特性を理解すれば、今後天才も出現する。これからの雇用のあり方そのものも変わっていく」とする桃原補佐は、自ら主幹する研究会の発足意義について語る。
多業種・多地域の共同化で社会課題の解決に取り組む

「顔を洗って出直します」――。
2年遅れの学生に就職先は無いといわれた1980年代初頭、1浪1留の桃原補佐は当時、チェーンストア理論による躍進で大量採用中のロイヤルを受験した。
一次試験で志望動機を書く作文で軽率な自分の動機を恥じて、解答用紙に一文だけ書き残して試験会場を後にしてしまう。
珍妙な回答に興味を覚えた人事部長が直接呼び出し、人事部長面接を経て採用が決まった。
小説『外食王の飢え』で知られるロイヤル創業者・江頭匡一氏から直接、薫陶を受けた最後の世代である桃原補佐は、福岡空港店や千歳空港店、沖縄空港店、成田空港店の店長・支配人などを歴任。
その後、縁あって転職した地場大手人材会社において、行政との連携による雇用支援とともに障がい者アスリート支援も手掛けた。
「一般的にスポーツ選手はスポーツ界のエリートなのに対して、障がい者スポーツの選手は幾多の苦難を乗り越えてきた努力の人であり、彼ら・彼女らの話には深い感動がある」とする桃原補佐は、障がい者アスリート支援事業を考案した。
後に同プロジェクトはパラリンピックでの金メダル獲得などの実績を上げたものの、同企業での事業展開は断念することとなる。
この時、50歳を迎えた桃原補佐は地域協働による子ども向けのスポーツ振興を手掛けていたリーフラス株式会社へ転じた。
執行役員や顧問を務めながら、障がい者アスリート『リーフラスチャレンジ』を創設。
その後、リーフラスは、社会問題や地域課題をスポーツで解決していくソーシャルビジネス企業としての側面を強めた。
「いろいろな社会課題は既に身の回りに顕在化しており、みんなで一緒になって地域共同体として、全方位で取り組む必要がある」と説く桃原補佐は、医療・治療とスポーツの統合による全世代向け健康事業に取り組む九州医療スポーツ専門学校において、新規事業を推進した。
そして、長崎県へ移住した後、地方創生交付金事業や厚生労働省緊急雇用人材育成事業を手掛けることとなる。
還暦を過ぎた桃原補佐が新たなチャレンジとして飛び込んだのが、新規事業総括セクションを発足させた株式会社九電ビジネスフロントだった。
九電グループの1社である同社では、従来の人材派遣・紹介事業、キャリア支援事業などに加えて、新領域での事業創出として、グローバル人材活用・ソリューション事業やソーシャルイノベーション事業などを新規事業として立ち上げた。
桃原補佐は2018年5月、同社内において『ソーシャルイノベーション研究会』を立ち上げて、地域協働による社会課題解決やキャリア形成・就労支援に取り組んだ。
同研究会に<不登校><出口戦略としての就職>を新たな要素として、加味した進化版が今回のニューロ・インクルーシブ研究会といえる。
地域協働での社会課題解決とキャリア形成に尽力

社会に足を踏み入れて以来、強気一本槍できた桃原補佐にとって、宗教法人妙見閣寺代表役員であり、全日本経営人間学協会理事長の竹内日祥上人との出会いは一大転機となった。
「40歳過ぎて自己革新する機会を頂いた竹内日祥上人は人生の師だ」
「従来の実績重視・能力重視の手法では、結果的に人を潰してしまうので、人を育ていく志向や考えの下、自己の姿勢や組織風土から見つめ直した」とする桃原補佐は以後、社会問題やソーシャルビジネスへの関心を深めていく。
「世代や組織を越えた仲間たちと地域協働による社会課題解決とキャリア形成に取り組めることが、一番の幸せだと思う」と、桃原補佐は顔をほころばせる。
ニューロ・インクルーシブ研究会を立ち上げた桃原補佐は、「残りの人生を最後まで自分らしく働き、地域社会の課題解決に向けた地域協働や共創、連携などに取り組んでいきたい」と、新たな舞台での奮闘を続ける。
DATA
名 称:明蓬館高等学校
住 所:福岡県田川郡川崎町安眞木1373
設 立:2009年4月
代表者:理事長 日野公三
事 業:私立通信制高等学校
URL:https://at-mhk.com/



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