【人物図鑑】九州の地で新たな〝しあわせ〟を共創していくシンク&アクトタンクづくり

九州しあわせ共創ラボ 所長 
松本裕介

九州しあわせ共創ラボ 所長 
松 本  裕 介
九州しあわせ共創ラボ
所長 
松本裕介

【まつもと・ゆうすけ】
横浜市出身、1963年3月21日生、上智大学経済学部卒。1986年博報堂に入社、マーケティングディレクターとして、自動車、飲料、食品、住宅、保険など幅広い業種・業態の企業向けにマーケティングやブランディング業務に従事。商品開発やコンテンツ開発、事業開発、企業経営コンサルティングなどを数多く手掛けてきた。2011年『博報堂新しい大人文化研究所』を設立、市場創造シニアコンサルタントとしてエルダーマーケットコンサルティングを手掛ける。2012年博報堂九州支社にマーケティング部長として赴任。2016年博報堂生活総合研究所客員研究員を兼任、2017年『九州しあわせ共創ラボ』を設立、所長を務める。2018年博報堂九州支社支社長代理兼MD局長に就任して、同九州支社のマーケティングおよびクリエイティブ業務全般を統括する。座右の銘は、「年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る」(19世紀のアメリカの実業家、サミュエル・ウルマンの言葉)

【3Points of Key Person】

◎九州しあわせ共創ラボを立ち上げて所長を務める
◎マーケティング畑で商品・事業開発を手掛け、TV番組も立ち上げる
◎福岡での個人的な幸せを持続発展させながら、普及・拡大を図る

シンク&アクト〟タンクで試みる、新たなビジネスの実験

博報堂生活総合研究所、博報堂行動デザイン研究所、博報堂買物研究所、博報堂こそだて家族研究所、こども研究所、若者研究所、メディア環境研究所、新しい大人文化研究所、新どさんこ研究所、東北6県研究所……。
広告代理店大手の博報堂グループには、実にユニークで個性的なシンクタンクが数多く存在する。
「広告代理店として意外なほど、多彩な研究所があるのは、好奇心旺盛で行動力のある社員が多く、変なコトをやりたがるモノ好きな人間が多いからかもしれない」と笑う松本裕介・株式会社博報堂九州支社支社長代理兼MDプラニング局長は、自ら設立した『九州しあわせ共創ラボ』(Qラボ)の所長を務める。

Qラボでは、定量調査やヒアリングなどを通じて、九州の生活者の意識や価値観を分析して〝しあわせのカギ〟を見出して、〝これからのしあわせ〟につながるアイデアを生活者や企業、大学、行政などと一緒に考えて実現していくことを目指す。
松本所長自身、社内での公募事業で『こども研究所』を誕生させ、その後エルダービジネス推進室から派生した『新しい大人文化研究所』を発足させた。そして、2016年9月に『しあわせ』をキーワードに立ち上げたのが、Qラボだった。

Qラボのメンバーは博報堂九州支社内のマーケティング、クリエイティブ、営業、メディアなどの各部門から横断的に募った12人で構成するものの、「自社の社員だけで考えていては駄目なので、九州の企業や大学、自治体、ベンチャー企業などのさまざまなパートナーと共創しながら、一緒に盛り上げていく」とする。
具体的な活動の一つが、Qラボが九州大学大学院芸術工学研究院SDGsデザインユニット、九州大学未来デザイン学センター、西日本新聞社と共同で設立した会員組織『九州SDGsデザインネットワーク』だ。
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで≪持続可能な開発のための2030アジェンダ≫として採択された国際目標であり、九州SDGsデザインネットワークでも目標実現に向けて具体的に活動している。
一方、『Kyushu Local Happy Award』は、九州で暮らす人たちを対象にして、九州内でもあまり知られていない素晴らしい≪しあわせ体験≫を公募して、九州在住者で選んで表彰していくコンテストだ。2017年からスタートして、毎年開催している。

「九州のしあわせ度の調査・研究だけのシンクタンクではなく、具体的にプロジェクトや事業の立ち上げていく〝シンク&アクト〟タンクを目指す」との基本戦略を松本所長は打ち出す。アクションでは、企業としての収益化も試みる。
ベンチャー企業向けマーケティング支援やクリエイティブサポートなどを提供し、売り上げ歩合による回収を試みている。また、経営コンサルティング会社やベンチャーキャピタルと提携して、ベンチャー企業・中小企業向けの支援サービスも実施しているものの、成功報酬という〝果実〟を得るには至っていない。
「いろいろ挑戦しているが、現状はあまりうまくいっておらず、失敗の連続といえるかもしれない」と松本所長は率直に語るが、収益環境が激変した広告代理店業界において、新たなビジネスモデル構築に向けた〝実験〟は繰り返されている。

ベテランマーケッターが明かす、成功する企画づくりの要諦

大学3年時、雨の中を子犬が走り回るウイスキーのテレビコマーシャルを見て感動した松本所長は、「こんな作品を自分でもつくってみたい」と、広告業界への就職を志望した。後にその作品が、サントリー不朽の名作CM『雨と犬』と知った。

卒業後、博報堂に入社した松本所長は適性検査の結果、クリエイティブ部門ではなく、マーケティング部門に配属された。マーケティング部門はデータ集計・分析~マーケティング戦略立案にとどまらず、クリエイティブやセールスプロモーション、パブリックリレーションズ、メディアなどの部門と連携しながら、企画提案を統括していく、いわば〝頭脳〟的な役割を担う部門でもある。

入社以来、自動車や飲料、食品、住宅、保険など幅広い業種・業態において、マーケティングやブランディングなどを手掛けた松本所長は、「入社以来200社を優に超える企業を担当した。新しいコトやモノをつくるのが好きで、商品開発や事業開発、新規コンテンツづくりも手掛けてきた」と振り返る。
松本所長にとっては、自ら担当した商品開発や事業開発の一つ一つに愛着があり、「10年以上前に企画開発した商品を販売店や広告で見つけた時は、本当に嬉しい。自分の子供と再会したような気持ちになる」と、相好を崩す。

「長年の経験から、自分で考えた企画内容を自分自身が本気で信じられない場合や、クライアントを忖度し過ぎた企画はうまくいかない。対象の商品・サービスを徹底的に体感し、競合商品も熟知した上で自分自身が買いたくなる理由を絞り出す。つまり、対象を本当に好きにならないと、よいプランは出てこない」と自戒する。

福岡・九州と横浜の二眼レフでの新たな地域振興策を企画中

「週末はヘンな人たちと一緒にお酒を飲むのが楽しみ。おいしい酒をみんなで飲める生活が幸せ」と、自らの幸福論を語る松本所長は、「今の日本が好きで、中でも出身地の横浜と現在暮らす福岡は大好きだ。急速な人口減少に伴い、このままではGDPも縮小していく日本で、どのようにしたら今の暮らしを持続させることができるかを自分なりに考え、行動していきたい」との思いを抱く。

九州転勤に際して、母から若い頃の父が福岡で暮らしていたことを明かされた松本所長は、「福岡は大好きなまちなので、会社をリタイアした後も地元の中小企業やベンチャー企業の人たちを応援して、もっと元気になってもらう活動を横浜と九州の二眼レフで取り組んでいきたい」との将来的な企画構想を練る。
福岡に赴任して8年目を迎えた松本所長は、「福岡、九州は、域外からみても本当に魅力的な都市であり、素晴らしい土地なので、暮らす人たちが自ら動くことでさらにしあわせになって欲しい。私自身も仕事や人付き合いなどを通じて、一緒に汗を流していこうと思う」と、自らのプランニングについても余念がない。

DATA

名 称:九州しあわせ共創ラボ
住 所:福岡市博多区下川端町2-1 博多リバレイン イーストサイト
    (株式会社博報堂九州支社・株式会社博報堂プロダクツ九州支社内)
設 立:2016年9月
代表者:所長 松本裕介
事  業:新たな〝しあわせ〟創出に向けた九州における共創活動
URL:http://q-lab.jp/

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